釜石市平田地区仮設住宅見学

釜石市の最後の視察先として、平田地区(へいたちく)の仮設住宅を見学いたしました。ここは2012年に「Good Design Award」を受賞されています。その事業主体は、岩手県、岩手県釜石市、東京大学高齢社会総合研究機構の3者であり、鎌田先生はこの東京大学高齢社会総合研究機構の初代機構長をされています。
平田地区仮設住宅
 ▲ 平田地区仮設住宅
視察をして、まず感じた点は、遠野市でもそうだったのですが、建物全体がウッドデッキ仕様で、実質的に高床式であることから、とても安心感と安定感があるということです。通常の建物には基礎工事が施されていますので、その感覚が安定感を生んでいると思います。また、夏は通気性、そして厳しい冬期には低温や雪から生活を守る効果が期待できるのではと感じました。
また、身近な生活用品を販売している建屋や診療所がある点、そしてコミュニティを支える集会所もモダンで、また広場・公園には品質の高い子供たち向けの遊戯施設が完備されている点も見逃せません。特に診療所・ケア施設の若い職員の方は、とても礼儀正しく、見知らぬわれわれに対しても、明るく気軽に挨拶の声をかけてくれました。また、バスの待合所も喫茶・軽食コーナーがついていて、高齢の女性の皆さんが、バスを待つ間に、井戸端会議を始めています。
平田地区仮設住宅

平田地区仮設住宅
こうしたハード面だけではなく、ソフト面にも配慮されたコミュニティが形成され、住居者自らの力で、支え合え、励まし合えるシステムが、しっかりと出来上がっていると関心しきりでした。ここでも東京大学の実践活動に感服です。
施設を紹介したHPの一部を引用します。

高齢者、子育て層など、震災後ケアが必要とされる世帯を中心に、被災者が安心で快適に生活できる物的・医療福祉的・社会的環境の形成をはかるコミュニティケア型仮設住宅団地をデザインした。具体的には1)ケアゾーンを設定しウッドデッキでサポートセンター、商店街そしてバス乗り場を繋ぎバリアフリー化、2)向かい合わせの住棟配置とすることで近所付き合いの促進を図った、3)クリニック付のサポートセンターを配置し、さらに商店街も配置し生活に必要な機能を擁した仮設の「まち」とした、4)商業者、医療・福祉事業者、住民自治会、行政等からなるまちづくり協議会をたちあげ、弱者の見守りや居住者の共助活動を持続的に展開している。
(注)Good Design Award
「グッドデザイン賞」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、総合的なデザインの推奨制度です。「グッドデザイン賞」は、家電やクルマなどの工業製品から、住宅や建築物、各種のサービスやソフトウェア、パブリックリレーションや地域づくりなどのコミュニケーション、ビジネスモデルや研究開発など、有形無形を問わず、人によって生み出されるあらゆるものや活動を対象としています。(公益財団法人日本デザイン振興会HPより)

平田地区仮設住宅