釜石市の中心市街地を視察、情報交換

釜石市役所は、高台にあったために被災を免れています。また、避難場所にもなっています。市役所の近くに釜石市オンデマンドバス ” にこにこバス ” の基地があるということで訪れました。
釜石市役所とオンデマンドバス
 ▲ 釜石市役所(左)と、オンデマンドバスの基地
この交通ネットワークについては、オンデマンドバスの運行を釜石市とトヨタ自動車が共同事業としてスタートさせたもので、トヨタ自動車がシステム開発とその提供を行い、その後、東京大学への依頼により鎌田実先生と鳩山紀一郎先生がサポートすることにより運行されています(車両は復興交付金で市が購入、実証実験そのものも復興交付金での事業)。大学や企業の社会貢献は、専門的な知見や研究成果を如何に実際の社会の課題解決に活かすことができるかどうかにかかっていると言って過言ではありません。研究者の自己満足では、復興はもちろん、実際の市民の役に立てないケースも多いのではないでしょうか。具現化した取り組みに、釜石市からも高い評価と感謝の意を示していただいています。鎌田先生やトヨタ自動車の取り組みに大いに学ばせて頂きました。
こうした取り組みに加えて、被災した高層ビルも、目立つものでは最後に近い取り壊し作業が進行中であり、さらに道路も耐震装置がしっかりとされているなど、様々な点で、復興の力強さを市役所の周辺では実感することができました。
道路の耐震装置
 ▲ 道路の耐震装置(左)、取り壊し中の建物
このように、釜石市の中心市街地の復興は、急ピッチで進んでいます。クルマを移動して、青葉通りに向かいました。青葉通りでは復興した花壇に花が咲き、周辺部分の建物も新しくなっています。仮設の青葉通り商店街を見学して歩きました。いろいろなお店が賑わいをみせています。
釜石市青葉通り
 ▲ 釜石市青葉通り(左)、釜石市青葉仮設商店街
また、この通りは門前町の様子をとどめており、名刹石応禅寺の門前には、津波が止まった地点を示す碑が建てられていて、神社仏閣は過去からの津波の記憶を活かしてこうした自然災害を予知して安全な地点に建立されていることを改めて感じました。そうした人々の記憶や、厳しい環境を乗り越えて、次の新しいまちづくりに取り組む市民の皆さんや外部からの協力者の皆さんのひたむきな努力にただただ頭が下がります。
名刹石応禅寺
 ▲ 名刹石応禅寺にて
夜は、会費制にて、「一助」にて、三陸の新鮮な魚介類を頂きながら、釜石市嶋田賢和(しまだよしかず)副市長、復興推進本部の石井重成主査、釜石リージョナルコーディネーターの荒木淳さん、そして東京大学文科2類の学生で1年間休学して現地支援をしている田久保彰太さんと意見交換会を持ちました。田久保さんは嶋田副市長の講がきっかけで支援を決意したそうです。そこで、東京大学が実施する”入学直後の学生が1年間、特別に休学して国際交流体験や社会貢献活動などを行う「初年次長期自主活動プログラム(フライプログラム)」”に応募して実践活動を続けています。
釜石市会合
 ▲ 三陸の新鮮な魚介類。「一助」にて
復興の進捗状況と当面の課題について、嶋田副市長から丁寧なご説明を頂きました。苦労をしながらも一歩一歩復興を実現する経過や人口減少への対応など市役所の皆さんの努力はただ事ではありません。また、イオンが出店してくるという計画をお聞きし、便利になるがイオン出店により買い物が一極集中すると、まち全体の活気や地元の小売業者の再生に影響が出る点も指摘されました。岡山でも2014年秋に岡山駅前にイオンモールが完成予定です。必要なテーマでありながら、同時に悩みもある点を語っていただき、岡山市でも同じ課題に悩んでいる点をご紹介しました。
右端副市長
 ▲ 嶋田副市長(右)
釜石市の皆さんに、貴重な時間をいただいたお礼を申し上げ、宿泊先である、釜石市から離れた山田町のビジネスホテルに向かいました。宿には、復興関係者の皆さんでしょうか、広い駐車場はほぼ満杯の状態でした。日中は30度近くに上がった気温も夜は12~3度くらいまで下がり冷え込みました。(初日の調査終了)
山田町のビジネスホテル
 ▲ 山田町のビジネスホテル。こちらから1日目の「被災地復興状況調査」の写真がご覧いただけます