二日目、6月8日は、朝から駅前にある豊岡市民まちづくり拠点の2階座敷を報告会場として、現在、ふるさと財団が支援する専門家派遣事業の内容を精査、派遣している、まちづくりシンクタンク合同会社Roofの共同代表である佐伯亮太さんから、これまでの活動状況について報告を頂きました。それを受けて、市側と財団側で意見交換会を実施しました。また、その場へ豊岡市門間雄司(かどまたけし)市長にお越しいただき、更に豊岡市の課題と未来に向けた創生シナリオをご披露頂き、皆で地域創生談義を重ねて参りました。弊職からは、アドバイザーとしての立場から、腹蔵なく意見を交わすことができ、学生とのまち歩きをしながら、市内の歴史、文化、産業、新たな創生に向けたチャレンジ事業の数々を拝見したことへの感謝と、そこには地方創生の宝箱を数多く発見させて頂いた点、更に、なんと言っても、現在も地域おこし協力隊が、約30名おられ、皆さんが生き活き活躍されている点、そして協力隊の任期過ぎても、その約7割が豊岡に住み続ける魅力を創出してこられた市のご努力とご苦労に感服した点を申し述べさせて頂きました。
それから、市のご案内により、コウノトリテラスリニューアルオープンに合わせ、同市コウノトリ文化館及び研究拠点の兵庫県立大学を見学させて頂きました。同館のHPのトップページに記された「1971年に日本の空からコウノトリの姿が消えました。最後の生息地であった豊岡から、コウノトリをもう一度大空に羽ばたかせる事業を進めています。2005年から野生復帰に向けた試験放鳥を行い、2007年には野外での繁殖に成功しました。今では、豊岡盆地の田んぼや湿地でコウノトリと出会うことができます。」とあります。この屋外繁殖の記念日の様子は新聞やテレビで広く取り上げられ、その日のニュースに感動した思い出が蘇りました。同館は、まさに、「人と自然の共生を考えるエコミュージアムの拠点施設」として、コウノトリを公開飼育しています。会場では、豊富な資料や写真、保護増殖事業の歩み、模型などを拝見した後で、飼育場所でコウノトリが餌をついばむ現場を拝見しながら、解説員の方がコウノトリの動きや鳴き声(コウノトリは鳴けなくて、くちばしをカタカタ鳴らす音)について丁寧に説明してくれました。ハイビジョンシアターでは、コウノトリ野生復帰の取り組みが紹介され、設置された巣にはひなが三羽望遠鏡で観察することができました(ここでは四羽が生まれ、巣立つのは三羽だそうです。また、コウノトリに天敵はいなくて、時に、なわばりを奪い合おうとするコウノトリ同士が争うそうです)。貴重な経験を積ませて頂きました。
最後は、平田オリザ学長のもと、徹底した体験型学習で舞台や劇場の演出、アートマネジメントツーリズム産業や観光まちづくりのプロを育成する芸術文化観光専門職大学を視察訪問させて頂きました。同大学は「芸術文化及び観光の分野で活躍することによって、芸術文化と観光による価値連鎖を創出し、観光事業による交流の拡大、消費活動の喚起を通じて芸術文化の振興、観光の振興、地域の活性化の好循環を促すことのできる専門職業人を育成する。また、地域に根ざした教育研究活動を展開するとともに、産学官連携及び小中高大連携の強化、生涯教育の充実、地域との協働等を推進する拠点として地域社会に貢献する。あわせて芸術文化を生かした新たな観光ビジネス、芸術文化の創造活動や優れた文化政策の進展に寄与し、グローバルなネットワークの形成に貢献する。」と建学の目的を謳っておられます。こうした先進大学が、ここ豊岡にあることは意義深いと感じました。キャンパスは実践的に作られていて、日曜日だというのに、キャンパスのあちらこちらで、学生たちが忙しそうに動いていました。とてもアクティブな空間と若者が一体となって躍動する姿に驚きを隠せませんでした。
こうして、2日間のふるさと財団地域再生事業アドバイス業務を完了いたしました。土日の2日間、総出で休日出勤頂いた、豊岡市くらし創造部の皆々様に心より深く感謝申しあげます。