広島大学地域経済システム研究センターが12月14日に主催した「地域経済研究集会」に参加しました。テーマは「いまこそ地方創生 -地域金融と地域経済の課題-」、会場は平和公園近くのANAクラウンプラザホテル広島です。
湯﨑英彦広島県知事挨拶、辻庄一中国財務局長、池田晃治広島銀行頭取、福田幸雄(株)アスカネット社長、橋本卓典共同通信記者など、多彩な講師陣から話題提供がされます。
進行は広島大学地域経済システム研究センター伊藤敏安教授、コメントは広島大学大学院社会科学研究科鈴木喜久准教授です。
知事挨拶では、近年、広島県は40年ぶりに人口が社会増となっている点や、県民所得の伸びが全国1位など、各種の指標が上昇していることを披露されました。湯﨑知事の挨拶は、落ち着いた語りのなかにも自信に満ちていました。
話題提供では、まず、辻中国財務局長が「地域金融と地域経済」と題して、リーマンショック以降の経済立て直しに向けた金融機関の役割について、また、従来の担保主義から脱却するように求めてきた、リレーションシップバンキングから、最近の事業性評価とローカルベンチマーク、そして地方創生にむけた顧客との共通価値の創造による、金融機関経営の方向性を示唆しました。とりわけ、「日本型金融排除」の実態把握が必要である点を強調されました。なお、この「日本型金融排除」とは、十分な担保や信用力に乏しい先への金融機関の取組みが不十分なため企業価値の向上が実現できない状況を言います。実際に金融機関間の金利競争からは何も無まれません。
さて、この話を受けて、広島銀行池田頭取が、「地域における資金循環機能を果たすために」と題して、広島銀行の取組みを、頭取としては異例とも言えるかも知れませんが、広島県や周辺地域のデータを踏まえ、地方創生の観点を織り込みながら、地方銀行の果たすべき役割・機能、そして実践展開している、創業支援、ベンチャー育成、地場産業支援、観光支援、農林漁業者支援、個人の資産形成など、幅広く具体的な施策を紹介されました。最後は、地域再開発事業や都心活性化への貢献活動まで言及されました。
続いて、(株)アスカネット福田社長からは、「地域企業と地域金融」と題して、失敗を繰り返しながら、広島銀行と二人三脚で企業上場まで漕ぎ着けたプロセスと背後にあるご苦労話を披露されました。また、『捨てられる銀行』の著者として名高い、共同通信の橋本記者は、「生き残る地方銀行、生き残れない地方銀行」と題して、記者として培ってきた情報と理論に基づき金融界の生きる道を説き、その辛口かつ示唆に富んだ内容で会場を沸かせました。
話題提供が一巡したところで、講師への質問の機会が、進行役の伊藤先生から設けられました。どなたも質問者がいない様子であったので、小職から広島銀行池田頭取へ、地方創生による経済活性化には、自治体との連携も重要であり、とりわけ広島県自治体の公金を預かっている広島銀行の取組みについておうかがいいたしました。自治体連携を重視しておられる内容が伝わるコメントを頂戴することができました。
そのあとで、講演者によるパネルディスカッションがあり、さらに踏み込んだ深い議論が展開され、会場から惜しみない拍手がおくられました。
本音の議論が続けられた、誠に迫力ある研究集会であったと感激いたしました。
その後の懇親会にも参加させて頂き、広島銀行池田頭取と意見交換させて頂く機会を得ることができました。池田頭取は、地方銀行が置かれた厳しい環境と、それを乗り越えて、県民に信頼を持ち続けてもらうために何が必要か、まったく飾らないストレートなお話を、お時間の許す限り、次々と、してくださいました。小職も、過去における広島銀行との関わり、現在の岡山大学としての立場や地域での取組み、そして先ほどの質問させていただいた内容についての補足説明をさせて頂きました。それに対しても、きちんとしたご意見やご返答を頂戴することができました。
また、大勢の広島経済界の皆様方にもご面識を得ることができました。
広島大学の伊藤教授と鈴木准教授にお礼を申し上げ、一足先に会場を後にして帰路につきました。
元気にあふれる、お隣広島の話題は、とてもエキサイティングで、岡山の明日を考える上でも、有意義な研究集会でした。
余談ながら、会の前に流川(ながれがわ)の昔からあるカウンターだけの中華ラーメン屋「平和園」でラーメン、チャーハンで昼食をとりました。目の前が、老舗の「ひろしま国際ホテル」、広島の繁華街・歓楽街です。商店街も人通りが多く、また、平和大通りも師走の活気を感じさせてくれました。