城の崎にて


伊根町から丹後半島を横断するように、兵庫県の豊岡市へ抜けました。
お目当ては、久しぶりでの城崎温泉です。
GWの具体的な予定を立てていませんでしたので、観光地の旅館やホテルは満員だと思料されましたので、ネットで豊岡市内のビジネスホテルを検索したら、わずかながら空き室を見つけることができましたので、早々に予約して現着、チェックインしました。それから山陰本線で、豊岡駅から城崎温泉駅まで二駅乗車、日が暮れる時分から、温泉巡りを楽しみました。列車の本数が極めて少なく、上りも下りも最終列車が21時33分、乗り遅れないように時間を気にしながら外湯温泉巡りを楽しみました。城崎温泉観光協会によれば「湯巡りが楽しい城崎温泉の外湯はそれぞれ趣が異なります。日本国内には多数の温泉がありますが、これだけ近接した場所に趣向の違う大浴場があるという数少ない温泉地です。天下一と称された「一の湯」や解放感溢れる露天風呂が特徴的な「御所の湯」など、それぞれ巡ればマイ・ベスト外湯が見つかるはず。」に謳われているとおり、7つある外湯のうち3か所に入湯いたしました。最初の一乃湯にて、湯めぐり券を買い求め、宿泊客の浴衣姿と温泉街に響き渡る、カラン、コロン、下駄の音を楽しみながら、すっかり上機嫌でございました。地元の関係者の方も入浴されていて、「明日5月3日からは、城崎の宿は、全ての施設が満室、通常料金の2倍以上の宿泊代を示した宿もあるようですが、それでもあっという間に予約で埋まったそうですよ」と話してくれました。確かに、5月2日は、平日でしたが、当然と申せば連続休暇が当たり前にとれる時代となりましたので、城崎の立ち寄り湯も、3か所とも大混雑でした。妻は、小職の亡き両親を「元気な時に連れてきてあげられて良かったね」と当時の思い出を振り返り、その時の子供や孫の思い出を懐かしそうに語っていました。
さて、遅い刻限になりますと、温泉街は宿で食事をされるお客さんがほとんどですので、一般のお店は閉じてしまいます。最終の電車も早いため、21時33分の最終に乗り込み豊岡駅まで戻り、ホテル近くの居酒屋で、かなり遅い夕食となりました。メニューに黒糖焼酎「龍宮」と言う銘柄を見つけました。昼間に浦嶋神社へ参拝したこともあり、ロックで頂き、ほろ酔い気分、いい気分、龍宮城へいざなって頂きました。
歳を重ねて参りますと、旅館やホテルの豪華な食事は素晴らしいのですが、なんせ、品数多くてボリューミーです。城崎温泉は立ち寄り湯、少し離れたビジネスホテルに気軽に泊まって、近くの居酒屋で地のモノを少しだけ賞味させて頂くという流儀もイイねと感じました。志賀直哉の文脈とは違いますが、老後の生き方と死に方を、夫婦で盃を重ねながら考えた「城の崎にて」でありました。