『真庭あぐりガーデン』オープンセレモニー

『真庭あぐりガーデン』オープンセレモニーが、4月29日、同ガーデンで開催されました。海外出張の学長の代理として出席させて頂きました。セレモニーのテーマは「ローカルSDGs真庭―吉備 資源循環とお節介の拠点」でした。
セレモニーでは、主催者を代表して、十字屋グループの牧一穂代表から挨拶を受け、同社の100年以上にわたる足跡を記した映像を拝見しました。十字屋さんは、岡山SDGsアワードで最優秀賞を受賞されています。そして、来賓あいさつとして、冒頭、加藤勝信厚生労働大臣の代理として周子令夫人が祝辞を述べ、続いて国会議員5名の先生方、環境省松田尚之廃棄物規制課長、岡山県小谷敦副知事が祝辞を述べ、次に岡山大学長の代理として、僭越ながらわたくしからも祝辞を述べさせて頂きました。さらに、「SDGs未来都市」について太田昇真庭市長、真庭市関係者から実践的な取組み紹介がありました。

その代表例として、真庭市では、生ごみ、し尿、浄化槽汚泥などの有機性廃棄物を、お金をかけて処理するのではなく、バイオマス資源として活用しようとバイオ液肥を作っています。真庭市によれば「現在は小規模なモデル事業ですが、将来は真庭市全域の生ごみ、し尿、浄化槽汚泥が活用できる施設を整備し、持続可能な循環型社会を目指しています。このバイオ液肥は、生ごみ(久世地区から収集したもの)、し尿、浄化槽汚泥を、生ごみ等液肥化プラント(真庭市西河内)で、メタン発酵させて作ったものです。肥料取締法に基づき、登録も行っている安全な肥料です。安心してお使いください。」と広報しています。この取組については、ドローンを通じて散布活動が開始されており、セレモニー会場にドローンが飛来、液肥散布の実演がデモンストレーションされました。

さらに吉備中央町からは「デジタル田園健康特区」について山本雅則町長が紹介されました。「デジタル田園健康特区」は、国家戦略特区諮問会議における審議等を経て、国は2022年4月、茨城県つくば市及び大阪府大阪市がスーパーシティに、岡山県吉備中央町、長野県茅野市及び石川県加賀市がデジタル田園健康特区にそれぞれ指定しました。スーパーシティ及びデジタル田園健康特区は、デジタル田園都市国家構想を先導することが期待されており、岡山大学は那須保友学長がシステムアーキテクト(総括プロジェクトマネージャー)に就いています。そして、医学部や大学病院が中心となり、吉備中央町を応援する活動を開始しています。

こうした活動と呼応して、「恩送りとお節介~一人ひとりが主役のふるさとをつくる」と題して、東京大学大学院教育学研究科の牧野篤教授(人生100年社会デザイン財団代表理事)が基調講演をされました。恩は着せるものではなく、無償の愛で送るものであるとの、誠に心に染みる、興味深い講話でした。また、牧野先生は東日本大震災の復興支援で「大槌町」に深くかかわってこられたとの話題が提供されました。懇親会の席で、わたくし自身も東京大学の鎌田実教授に帯同させて頂き、大槌町へ現地調査に参った経験をお話しますと、牧野先生は鎌田先生とは懇意であるとお聞かせいただき、すっかり交流を深めることができました。
セレモニーでは、地元の勝山高校のブラスバンド演奏に合わせて、オープン記念の風船が青空に放たれました。その後の懇親では、関係者の皆様が挨拶に登壇、この真庭あぐりガーデンは、「今一番おいしい旬の朝摘み野菜を届けてくれる生産者の方、地域の学校給食の野菜を切ってくれる90歳のおばあちゃん、地域の食材を無駄なく自然な味付けで調理する料理人、子供たちの食育イベントを手伝ってくれるボランティアの高校生、そしてみんなで作った食材を召し上がってくれるお客様」という地域全員が企画٠運営٠出品、お客様も一緒に参加して楽しむことが基本コンセプトです。調理を担当される、地元のアダルトな女性陣の挨拶は、感動的でありました。
素晴らしい「循環型社会」創生拠点が本格的に船出です。