市民の声を如何に行政に反映するか改めて問い直した学会でした。
日本計画行政学会第44回全国大会が、11月13日、14日の両日、オンラインで全国を結び開催されました。今回の大会のテーマは「ウィズコロナと計画行政」であり、大会の趣旨は、「2019 年に感染が確認された「(COVID-19)」は世界的に感染が拡大している。いくつかのワクチンが開発されているが、短期的に接種や有効な治療方法が普及することは難しい状況にある。そのため外出などの自粛、他人との接触を避けることが求められ、日常生活、経済活動は重大な影響をうけることが予測され、あらゆる側面において社会システムは、大きく変容することが求められている。こうした状況の下で、少子高齢化、過疎化が進行している我が国、とりわけ地方においては、医療体制などの危機管理マネジメントを強化するとともに、地域資源を活かした観光産業など によって新たな自立した取り組みが求められる。本大会では、ウィズコロナの状況下において計画行政学がどのように貢献することができるかを考えてまいりたいと考える。」となっています。
大会2日目、「市民参加」分科会の座長を、徳島大学の矢部拓也先生と二人で担当させて頂きました。
そのなかの報告で注目すべき報告がありました。
研究テーマは「東京都内自治体における無作為抽出型市民参加の導入動向と課題」、東京都立大学・学部生の下山拓貢氏の報告でした。
住民基本台帳から人口比例的に無作為抽出した無作為抽出型の市民参加手法が、従来の公募型参加にみられる参加者の固定化などの課題の解決策として2000 年代から日本国内で導入が進み、東京都下の自治体では「市民討議会」「総合計画」「行政評価」「付属機関・審議会委員への市民委員公募」など、驚くほど導入が進んでいる実態を示す研究報告です。
東京と地方では事情が異なりますし、課題もありますが、岡山県自治体でも検討する価値があると思料しました。
直感的には、裁判員制度に似ているのかと感じましたが、多くの審議会や委員会が同じ顔触れになる傾向が否めない地方自治体で、いかに新しい意見や若い女性の声、そしてサイレントマジョリティと言われる層の意見、さらに投票行動を喚起するための方策として、市政、町政、村政に反映するか、思案のしどころです。
関係させて頂いている自治体の皆さんと意見交換の場を持ちたいと痛感いたしました。