星と宇宙と人類の未来を考えるシンポジウム

美星町観光協会では、世界基準の評価である「星空保護区」の認定に向け、地域が一体となり星空保護活動に取り組んでいます。12月12日、美星農村環境改善センター大ホールを会場に、星の郷・美星に宇宙医学者と天文学者をお招きし、美星の星空から宇宙、未来へと講師の先生方に熱く語っていただく企画「日本一の星の郷・美星町で星と宇宙と人類の未来を考える」が開催されました。

シンポジウム開始前のお昼の時間を利用して、美星地区や井原市全体の観光や地方創生を考える関係者が一堂に介し、大舌勲市長にも加わって頂き、ランチミーティングを実施しました。コーディネートを小職が担当させて頂きました。

さて、シンポジウムでは、ゲスト講師は、嶋田和人教授 JAXA、中里龍生博士 NASA、綾仁一哉博士美星天文台前台長、そして総合進行を同僚である岡山大学地域総合研究センター副センター長の前田芳男教授が担当いたしました。

また、新型コロナ災禍対応の意味も込めて、井原放送さんがYouTube ストリーミングでシンポジウムの様子を生放映いたしました。

講師の中里先生によれば、宇宙医学とは「無重力状態は不思議な世界です。無重力状態に人体が曝露されるとどのような身体的変化が生じるのか、宇宙酔い、体液の移動、筋肉の萎縮、骨量の減少、放射線等未知の問題が山積しています。そのため人が安全に宇宙で生活できるよう長年地上で行われてきたシミュレーション実験や宇宙での体液移動、筋萎縮などの予防対策などを解説して行きます。また、NASA、JSCでの研究生活の中で自分が見てきた宇宙飛行士たちの変化や将来人類が長期間宇宙滞在をした場合、予想として脳に変化が現れると考えられますが、その話を宇宙酔いから解説していきます。」と紹介され、さらに嶋田先生を「先生はJAXAで長年の宇宙飛行士の健康管理をしていた方で、NASA、ESA(ヨーロッパ航空宇宙局)、CSA(カナダ航空宇宙局)、ロシアのバイコヌールなど、古川宇宙飛行士が草原にパラシュートで降りてきた時には健康管理のためその草原に若田宇宙飛行士と出向いた方で、日本の宇宙医学の草分けです。また綾仁先生は京大出身で、長年ここ美星町で天文台長をされている方で星のエキスパートです。」と紹介されています。

実際に「宇宙と人」が行き交う世界に、直接関わられた二人の講師の体験談に基づく、世界観(宇宙観)に会場は熱気に包まれました。また、綾仁先生の地球の歴史を365日に例えれば、人類の歴史は265日目の残りの数秒でしかない、との語りに魅了されました。

パネルディスカッションの質疑応答では、本学法学部3年の河原菜摘さんが、質問にたち、講師陣との応酬に、会場はさらに盛り上がりをみせました。


夜は、新型コロナ災禍に考慮して、ごく限られた方々ですが、「喜楽別邸」にて、ゲスト講師をねぎらう意味を込めた交流会が開催されました。中里先生はサックス奏者でもあり、迎える側は、美星町観光協会の西野会長の令夫人がハモンドオルガンの演奏でジョイント、大舌勲市長はじめ関係者一同、満ち足りたひとときを過ごすことが出来ました。

河原さんと大舌市長、前田先生の笑顔溢れる記念写真が印象的です。

宿泊は、美星天文台近くのペンション星の里コメットです。

清潔感に包まれる宿から眺める満天の星空は最高です。

さて、翌13日は、朝食を済ませ、井原市内(旧芳井町)の高野山真言宗 吉井山 成福寺(じょうふくじ)を目指しました。片岡住職さんのお気遣いにより、380年前に建立されたお堂で中里先生の演奏を昨晩に引き続きお聴きする機会を頂きました。演奏に先立ち、真言密教に基づく曼荼羅の説明と人として生きる意味について拝聴いたしました。

素晴らしいサックスの音色が、まちを見下ろす成福寺の丘から、冬の澄み渡った空気に乗って市内に響き渡りました。

演奏会を終えて、住職のご自宅にお招きいただき、コーヒーに抹茶、ケーキに蜜柑を頂きながら、井原市のまちづくりについて語らう時間を過ごしました。


成福寺の皆様にお礼を申し上げ、お昼は、最近、定番の浅口市かも川手延べ素麺「麺蔵人」で、今回は饂飩と蕎麦のざる相盛を楽しみました。

時間があったので、岡山で一番老舗、創業寿永三年(1184年)と言われる藤戸饅頭本店を訪ねました。同店のHPによれば「源平合戦の古戦場として知られる史跡・藤戸の渡し。源平盛衰記によると、源平両軍が大戦した寿永三年(1184年)、この辺りは一面海であった。源氏の将・佐々木盛綱は、村人の案内で藤戸の浅瀬を馬で渡り、平家の虚を衝いて大勝。しかし作戦の秘匿上、この村人を斬り捨てた。村人の霊を永さめる供養が藤戸寺で行われ、近くの民家からまんじゅうが供えられた。これが藤戸まんぢゅうの起源だと伝えられています。」とあります。

藤戸饅頭本店の周辺を散策して帰路につきました。


心に残る二日間でした。