地域包括医療ケアを学ぶ

岡山大学は川崎医療福祉大学と連携して、毎年、実践型社会連携教育として、授業のテーマを「人々の暮らしを考える」と位置づけ、多職種連携と地域包括ケアのワークショップ授業を実施しています。

本授業は、岡山大学が定めた実践型教育の定義「実践型社会連携教育のタイプ分けの基本」のうち、島しょ部における地域包括医療ケアをテーマに、「判断基準」:社会連携した実践活動の度合いAタイプ「(a)地域や企業等の現場に出向き、(b)その時間数が全授業時間数の3分の1以上、(c)成果報告会を開催する(学外の関係者が参加し、授業自体の評価をすることが望ましい)の3条件を満たす。」を忠実に守り授業を実施しています。

具体的な授業日程と授業全体のカリキュラムは下記の通りで、2単位の授業となっています。

  1. 10月1日(火)16時20分~オリエンテーション(岡大津島キャンパス・一般教育棟C25)
  2. 11月19日(火)の16時20分~事前講義(岡大津島キャンパス・Ⅽ25)
  3. 11月23日(土)~24日(日)笠岡諸島北木島合宿(宿泊研修施設「石切りの杜」)
  4. 12月7日(土)笠岡市の合同研修会、午前10時~11時半認知症サポーター養成講座(場所は笠岡市内)。午後は笠岡市の愛育委員の方々と合同研修会(笠岡市内)
  5. 12月17日(火)16時20分~まとめの講義(岡大津島キャンパス・Ⅽ25)

対象を全学とし、文系、理系、医歯薬系の学生から幅広く募集し、今年度の参加者は、岡山大学8名、川崎医療福祉大学7名の15名です。

カリキュラム編成の留意点は、学生が異分野(介護・福祉・医療を通じた地域包括ケア及び多職種連携)、異社会(大都市とは異なる岡山県内で最も少子高齢化が進行する島しょの社会)、異文化(日本が古来由より受け継いできた島の歴史、文化、風土、暮らし)の経験知を得ることにより、現場で必要な、対話力、創造力、行動力、統率力、決断力を涵養し、実践の現場で適切な判断をくだすことができる能力(実践知)の修得を目指すことに置いています。

担当教員は、責任者が医学部の浜田淳教授、サポート役として川崎医療福祉大学医療福祉学部の竹中麻由美教授、そして地域総合研究センターの三村聡教授の3名です。

地域のサポーターとして、笠岡市保健福祉部西江雅子地域包括ケア推進室長(保健師)、そして学生たちの指導に笠岡市の今城慶太氏がついてくれる体制で実施いたしました。また、島でのプログラム全体のコーディネートを、NPO法人島づくり海社がお世話してくださいました。

こうして、実践教育の現場である笠岡市ならびにNPO法人島づくり海社に協力を仰ぎながら、岡山大学と川崎医療福祉大学が連携して学習計画を作成いたしました。2019年度の実践型講義は、笠岡市北木島での合宿、笠岡市内での愛育委員との合同研修等現場での体験学習を通じて、人々の暮らしについて考える内容となっています。

その授業計画は、以下の通り3段階に分かれます。

まず事前学習で課題を明確にし、現地調査の目的を学生たちは理解、授業の準備に入りました。そして2度にわたる笠岡市でのフィールドワークを経て、現地での活動や学び、その結果を300名市民の前で報告いたしました。その活動を経て、主担当教員の浜田淳教授が中心となり、振り返りの授業を実施、現場体験では理解の落とし込みが不十分であった点を、学生が提出した成果報告を活用して意見交換を行い、教育効果を高めました。

こうして学生たちは、ガイダンスと事前講義を経て、岡山大学と川崎医療福祉大学の学生たちは、11月23日早朝笠岡港に集合、待合施設にある「コモンズ」前のスペースを利用して、11月23日、24日の一泊二日の行程について事前の打ち合わせを実施しました。そして全員の集合を待ってから、チャーター便高速艇で一路北木島を目指しました。

今回の実習では、笠岡市とNPO法人かさおか島づくり海社のご協力を得て現地視察を2コース4班に分かれて実施、笠岡市北木島にて介護ケア施設や高齢者のご自宅を訪問、地域社会の実像を学ばせて頂きました。

瀬戸内の島々に日が暮れ、夕方から島の皆様との交流会です。島でとれた柑橘類や特産品、漬物などを差し入れてくださいました。

夜はグループごとに提案書の作成を行いました。合宿所の近所に“千鳥”大悟の生家を発見、人の良いお父さんがガイドをしてくれると島の方から伺いました。

翌日朝からチームごとに成果の発表を行いました。

指導は、専門的な知見とフィールドワークのまとめ方について岡山大学は医学部浜田淳、川崎医療福祉大学は竹中麻由美教授担当、地域社会やコミュニティの課題について岡山大学の三村聡が担当しました。また、笠岡市の島民の暮らしぶりについて今城慶太氏から、具体的に解説を頂くことが出来ました。

現場体験により深い学びと生きる力を得ることができました。