国が進める地方創生で、最も力を入れるCLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー(Cross-Laminated- Timber)建築の普及に向けた国際シンポジウム「木質構造物の未来と可能性」が、3月8日、岡山大学創立50周年記念館にて開催されました。
一般社団法人日本CLT協会のHPによれば「CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。厚みのある大きな板であり、建築の構造材の他、土木用材、家具などにも使用されています。
CLTは1995年頃からオーストリアを中心として発展し、現在では、イギリスやスイス、イタリアなどヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されています。また、カナダやアメリカ、オーストラリアでもCLTを使った高層建築が建てられるなど、CLTの利用は近年になり各国で急速な伸びを見せています。特に、木材特有の断熱性と壁式構造の特性をいかして戸建て住宅の他、中層建築物の共同住宅、高齢者福祉施設の居住部分、ホテルの客室などに用いられています。
日本では2013年12月に製造規格となるJAS(日本農林規格)が制定され、2016年4月にCLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。これらにより、CLTの一般利用がスタートしています。
CLTは構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの複合的な効果も期待できます。木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌触りを感じる心地のいい空間ができます。また、木材は持続可能な循環型資源であり、森林資源を有効活用した省CO2型の建物を建てられます。
その他にも、工場内で一部の材料を組み立ててから現場に搬入するプレファブ化による施工工期短縮が期待でき、接合具がシンプルなので熟練工でなくとも施工が可能です。災害時の仮設用住宅にパーツとして保管し、必要な時に組み立てて利用することも考えられます。RC造などと比べた場合の軽量性も大きな魅力です。」と紹介されています。
今回のシンポジウム開催にあたっては、同協会に大きなご支援を賜りました。
さて、シンポジウムでは、講師として、ブリティッシュコロンビア大学からフランク・ラム教授、グラーツ工科大学からゲルハルト・シックホーファー教授、東京大学から腰原幹雄教授という、世界を代表するCLT研究者をお招きしました。
そして地元岡山からは、銘建工業の中島浩一郎代表取締役と同社(本学卒業生)瀬崎景己さんが登壇いたしました。
主催は岡山大学地域総合研究センターと岡山大学大学院環境生命科学研究科、後援は岡山経済同友会、岡山市、真庭市、日本CLT協会です。
参加費は無料で同時通訳付きでの開催で、100名を超える専門家が全国から集まりました。
冒頭で、加賀勝副学長と共にご挨拶をさせて頂きました。
日本の森林資源の有効活用に向けての大きな第一歩を刻むことが出来ました。