岡山放送(OHK)番組審議

岡山放送(OHK)番組審議(20140528)

5月28日に行われた今年度2回目となる番組審議は、「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」と題して、昨年暮れのクリスマスイブに大原美術館で開催された「美術館の絵画や彫刻を素材にして、訪れた人が思い思いの物語を創り、それをプロのアナウンサーが朗読する」という番組の審議でした。
大原美術館では、子供向けワークショップの開催、絵画とコンサートを組み合わせた催し、モネの描いた本物の睡蓮を美術館の池に寄贈してもらい、本物の睡蓮の花と絵画の「睡蓮」を両方楽しむなど、興味深い企画がなされています。今回の企画は、世界を代表する絵画を素材にして来館した方が思い思いに自由な発想で物語を書いて投稿し、岡山放送アナウンサーが入選作品を実際の絵画の前で朗読するという趣向です。
番組を拝見しながら、ヨーロッパの美術館では、学芸員や引率の先生のお話を小グループの子供達が聞いたり、座って絵を模写したりしている姿をしばしば目にすることを思い出しました。そしてこの番組では、美術(芸術作品)、言葉(ストーリ)、朗読(声)の組み合わせの妙が、新たな世界を生み出しています。そして朗読の合間に、応募された物語の中から優秀な作品を撰した芥川賞作家の小川洋子さんと大原美術館学芸員である柳沢秀行さんが親しみやすい解説を交えて視聴者を美術と言葉の世界に引き込みます。こうした流れがさわやかな番組でした。
また、専門的な知識が少なくても作品を身近に感じることにより、それが、時代背景、芸術世界の流れ、技法、などを深く知ろうとするきっかけを与える。そんな仕掛けを感じました。特に、芸人に近い姿で女子アナを取り上げるネタが多い昨今、アナウンサーの方々は「本当にプロだと」感じました。「かたりべ」としての実力を遺憾無く発揮したプロの姿に魅了されました。担当ディレクターによると、全員のアナウンサーが綿密な事前打合わせと相当な練習をされたそうです。
私たちも話すのが商売でありますが、「教員と学生が、同じ目線の対話で、直感を話し合う」そうしたことを大切にする教育が問われています。こうした新しい美術館の楽しみ方を紹介する番組の域を超えて、今の時代に求められている「発想の豊かさ、幅広な感性の必要性」について、深い示唆とヒントを与えてくれた番組でした。
改めて「企業は単に営利だけを追求するのではなく、社会にとって必要な組織や施設の整備など公益性を重視した貢献事業を進めることにより、市民の人間性や品格を高める」活動を積極的に手がけてこられた大原家の「社会事業家」としての気高いイズムを感じました。
こうした番組を続けて頂きたいと思いました。

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