5月10日、実践型社会連携教育プログラムの一環として瀬戸内海へ出ました。今回の学びの目的は、地域開発が地域の産業や環境に与えた影響を知る、瀬戸内海の現状を知り地域の人(漁師さん)の話を直に聞いて漁業従事者の直面する課題を発見する、環境問題への眼を養う学びとして「フードマイレージ買い物ゲーム」を通じて低炭素社会実現に向けた視点を養う、グループワークを通じて課題を深堀し、人の意見に耳を傾け、自らの意見を述べ、合意できる見解を導く訓練を行う、そして最終の目的は、幸せな社会をつくりだすため、専門的知識や行動力を活かし、課題を解決できる力を養うことです。
さて、朝9時に岡山大学集合、一路、倉敷市玉島にある黒崎連島漁業協同組合を目指しました。車中で、今回の企画を担当いただいた、公益財団法人水島地域環境再生財団(みずしま財団)の塩飽敏史研究員から、瀬戸内海とその環境に関する事前学習を指導いただきました。
また、流域から流れて海に溜まっているゴミが環境に影響を及ぼしていることをビデオで学習いたしました。こうして、10:00に現地へ到着、さっそく体験学習の概要・注意事項等説明を黒崎連島漁業協同組合の平田晋也組合長から諸注意を指導いただきました。そして本題である、定置網魚法の手法など漁法について、漁師の生活ぶりと後継者不足、埋め立てと補償問題、水島コンビナートと瀬戸内海の漁業の変遷など、多くの話題を提供いただきました。
こうして、実習では、さっそく4隻の船に分乗して沖へと出ました。船を走らせること約10分で小型定置網を仕掛けてあるポイントに到着しました。この漁法は、魚の動線に網を仕掛けて、魚が最後は網から出られなくする漁法です。
平田漁業長はじめ漁協の漁師の皆さんが、息を合わせて網を船に引き揚げますと、中から大小さまざまな魚が踊ります。まず、漁師さんが、引き揚げた獲物の中から、毒を持つ赤エイとクラゲを船外へ捨てます。さらに墨を吐き出さぬよう真イカを活き絞めにして籠へ移します。この二つの作業は、学生を気遣ってくれてのことです。
この日は、大物の魚も数種類かかっていて大漁です。とれた魚についての解説もいただきました。こうして定置網の漁と作業を終えてから、船は水島コンビナートの方面を目指しました。
▲ 船から見る水島コンビナート
コンビナートの近くで停船していただき、埋立地と工場群を眺めながら瀬戸内海での漁業の様子や課題について、さらに多くの話をお聞きできました。島々の合間、遠くには瀬戸大橋が望めます。学生たちは、真剣な眼差しで漁師さんの話に聞き入っていました。
こうして陸へ戻り、お昼は、漁れたばかりの超新鮮な魚でバーベキューです。イカは、生でそのまま刺身、そして網焼き、さらに高級な「ベイカ」は煮つけと3通りの味を楽しみました。また、ワタリ蟹(ガザミ)は、超高級な食材ですが、鉢に山盛り、どんどん出てきます。
岡山名物ママカリは雑魚扱いで、炭火の網には5月に季節限定で漁れる珍しい「皐月鱒」、そして、チヌ、スズキなどが並びました。あと、鉄板では、定番の焼きそばを、出来た端から女子学生たちが次々と皿に取り分けてゆきます。漁師さんとの会話をしながら、バーベキューに舌鼓を打つ、この体験は、生涯の思い出になると思います。
後片付けを済ませ、記念写真をお願いして、黒崎連島漁業協同組合を後にしました。
ここ黒崎連島漁協のまちは、美しい砂浜を持ち、日本の渚百選に選ばれている沙美海水浴場は県内屈指の人気のスポットです。そして地域の瀬戸内海を一望できる小高い丘の上には諏訪神社があります。
▲ 沙美海水浴場と諏訪神社
さて、学生たちは、近所にある倉敷市玉島黒崎公民館へ場所を移して、ふりかえりと共有を行いました。まず、ふりかえりシートを記入します。そして、フードマイレージ買い物ゲームを体験したあとで、ふりかえりシートを班の中で討議、そして発表・共有しました。
限られた時間ではありましたが、体験学習の成果があってか、かなり突っ込んだ議論がなされた班もあり、反省点もありますが、初めての実践型社会連携教育プログラムのフィールドワークとして満足のゆく経験が積めました。