かっぱ橋道具街と浅草の夜

東京メトロ銀座線、銀座から上野を越えて、終点の浅草駅のひとつ手前の駅が「田原町」です。ここで下車すると「かっぱ橋道具街」商店街や大小数々のお寺が続きます。

8月4日の昼下がり、日本橋駅から乗車、田原町駅で下車、界隈に集積するお寺や商店街を探索しました。大相撲ファンには、横綱日馬富士はじめ安美錦、宝富士、照ノ富士などの幕内力士を擁する伊勢ヶ濱部屋は有名ですが、寿町では伊勢ヶ濱部屋ゆかりのお店でしょうか、ちゃんこ屋さんを発見、また、浄土真宗東本願寺派本山である東本願寺をはじめ、大小数々のお寺がひしめく寺町にふさわしく仏壇店が軒を連ねます。また、合羽橋交差点の近くには曹源寺があります。岡山藩池田家の菩提寺は曹源寺、岡山を代表するすばらしいお寺です。スマホマップで見つけた曹源寺、猛暑のなか汗をかきかき探してみると、合羽橋の合羽(河童)にちなんだ可愛いお寺でした。

さて、タウン情報からは、大正の初めに旧新堀川の両岸に古道具を商う人たちが店を出し、大正12年の関東大震災の後、合羽橋周辺に”食”に関連する商店が集まり、震災前後や第2次世界大戦以降も浅草の盛衰とともに地域の歴史を支え、高度成長以降は外食産業向け、プロの目利きを持つサプライヤー集団として、今なお約170店もの店が軒を連ね、時代の足跡を刻み続けていることが窺えます。現在は、全国の飲食業界の最新の情報と社会の流れを包摂しながら、最先端をゆく「食のスタイル」をリード、さらには日本の食文化を世界に発信しています。

この日の道具街は、ほとんどのお客さんが外人客でした、と言うより海外に来ている錯覚に陥るほどです。刃物、箸、食器、調理器具、食品サンプル、提灯・ネオンサインなど、個性的で専門的な店舗に交じり、純喫茶、甘味、食堂、寿司、和菓子、煙草屋など、古きよき時代の浅草の面影を今に伝え、「道具街」という姿を保持しながら、光り続ける商店街として発展を続けていることを実感できました。

夕方から、大学人が集い、浅草どぜう「飯田屋」にて猛暑払いの会でした。小職以外は、日本のトップ金融機関や外資系金融機関の日本代表を歴任した後に、大学人となり、数々の業績と職績を積み上げられてこられた皆様です。出会いは、小職が旧大蔵省の公益法人勤務時代に、取材や編集を担当、可愛がって頂いたことがご縁の始まりです。

エビスビールで乾杯のあと、先日、日本経済新聞に寄稿されたK先生(小職の博士学位論文指導教官)の論旨を皮切りに、日本経済の行方や中央銀行の政策(アベノミクス)の功罪、少子高齢社会における社会保障・年金問題、オリンピック前後の株価や地価の予測、アメリカやEUの経済や移民問題、最後は各人の余生の送り方、云々。

今年は2回、土用の丑の日があり、7月25日に続き、8月6日が二の丑です。泥鰌と鰻を肴に議論は尽きませんでした。

小職からは、岡山での地方創生の活動と大学の関わり、果たすべき役割について持論を申し上げ、アドバイスを頂戴いたしました。また皆様から「岡山の地方創生に役立つならば、ファイナンスの領域から知恵を貸しますよ」と心温まるエールを頂戴できました。

東京の拙宅には、K先生がN生命役員を辞して、東京から京都へ引っ越される際に拝領した「百日紅」が、今年も美しい花を咲かせています。

人は出会いや縁で支えられていることを、改めて噛みしめることができました。

感謝です。