7月15日、今回の岡山日経懇話会例会のテーマは「地方が支える日本サッカー」と題して、日本経済新聞社運動部の武智幸徳編集員が講師に立たれました。
会場となったホテルグランビア3階「パール」の間には、岡山のプロサッカーチームである、株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブの木村正明代表取締役はじめファジアーノ岡山の関係者、経済界のトップ、金融機関など、多彩な顔ぶれが参加されています。講演冒頭は、カナダ での女子ワールドカップで準優勝した「岡山湯郷Belle」所属で、サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」のキャプテンを務める宮間あや選手(ポジションはMF)の素晴らしい能力と日本女子サッカーが世界に与える影響について、正確な分析に基づく解説がありました。彼女の選手IQの高さ、試合の流れを読みながら臨機応変に判断を変えられるシャープな戦術眼、左右どちらの足からも繰り出される正確なキックやパスまわし、そして「女子サッカーをブームでなく文化にしたい」と語る頭脳の明晰さ、など具体的な試合や記者会見での事例を引用いただきながらのお話に聞きほれました。
また、アメリカに代表される、「高さとパワーによる力任せのサッカーが主流のなかで、パスワークでつないで勝ちに行く日本流が、世界に「面白い」と賞賛されて、大きな影響を与えている」ことを知り、嬉しくなりました。また、後段では、「日本サッカーを支えるのは、日本代表選手の出身地が全国に広がっている状況からも明らかな通り、それは地方の力である」とした男子プロサッカーの人材輩出と育成に焦点をあてたテーマでした。確かに、小職の故郷である、愛媛県西条市からも長友佑都(ながとも ゆうと)選手が世界に羽ばたいております。さらに、「全国に指導者ネットワークが広がってきたことにより、47都道府県にプロチームが出来る勢いであり、それが地方創生に結びついて欲しい」、との熱い思いもご披露いただきました。再び故郷ネタで恐縮ですが、昨年の秋に愛媛県西条市の隣町である今治市では、日本代表監督を務められた、大阪人である岡田武史氏が、四国リーグ「FC今治」のオーナーに就任され、10年後に「J1で優勝争い」と「日本代表5人 輩出」を目標に掲げ、「選手の指導、育成に生涯をかける」との宣言が愛媛県人を大そう驚かせました。
質問タイムでは、小職より「地方創生にプロスポーツを活かす可能性とシナリオ」について教えを請いました。武智編集委員からは、「ヨーロッパでは、サッカースタジアムが試合設備に止まらず、飲食とおしゃべりを楽しむ空間としてとらえられ、試合前から終了後の感想会まで、顧客がスタジアムにいるため(まるで居酒屋状態だとか)、観客の滞在時間が長く、結果的にお金も多額に落とされる点、日本では、ひと昔前はプロサッカーが「斬新」で、プロ野球が「保守」のイメージであったが、いまは逆転しており、プロ野球が、どんどん新たな企画やイベントを繰り出して、ファンの確保に努力している。いつの間にかサッカーからは、わくわく感が失われつつある点、日本では、行政や経済界が、ある政策局面ではプロスポーツを讃えるものの、肝心なシーンでは本気でお金を投資する姿勢に欠ける点、白紙に戻すことになったとは言え、新国立競技場に2250億円もかけるなら、観客席をもっと多く設けられるスタジアムを20箇所以上、全国に配置することが予算面では可能である点など、専門家の知見から示唆に富んだご意見をくださいました。まさに眼から鱗でありました。
講演後に、ご挨拶をさせて頂き、岡山で本格的に動きつつあるスポーツコミッション(SPOC)研究会が、具体的な施策と市民参加により合意形成が出来そうなステージまで行ければ、ぜひ、日経新聞に取り上げていただきたい旨をお願いさせていただきました。