旅するひとづくりまちづくりフォーラムは、「岡山県教育委員会が開催した「ひとづくり・まちづくりフォーラム」を前身とし、各地域の特色や課題に沿った実践紹介や参加者同士の交流を通じて、よりよい地域へつながる一歩を踏み出すことを目的としたフォーラムです。」と同フォーラムを紹介しています。
4月6日、ベネッセにて特別企画「みんなで話そう・幸せのものさし~ブータンの学校や地域を題材に~」が開催され、ベネッセのM氏からお誘いいただき、これは面白いと感じて参加、出席させて頂きました。同実行委員で、ブータンのチュカ中央学校で活動していた江森真矢子さんがホストを務め、ゲストに倉敷市出身でブータンの首都ティンプーにある私立小中高校「PELKHIL SCHOOL」の校長を務める片山理絵さんによるブータンの話題提供がありました。
ブータンは、中国やインドに挟まれ、人口80万人、広さは九州くらい、気候は長野に似ており、医療費や教育費は無料、王様は良いヒトとして国民に人気があり、立憲君主制度の国家だと紹介がありました。さらに、当地では、野菜は旬のモノを旬に食し、主食は米、小麦であり、ヤギの乳を加工したチーズが良く食されるとのこと。また、仏教国のため殺生は甚目だが、加工して出された肉は食べても良い習慣だと紹介されました。
そして、「ブータンの幸せとは何か」について議論がされ、有名な幸せの国として、国民総幸福量GNH:Gross National Happinessの幸福度指標の内容から教示頂きました。GNHは1972年、第4代のジグミ・シンゲ国王によって提唱され、「国民の幸福は経済成長よりも重要」として、①持続可能で公平な社会経済開発、②環境保護、③文化の推進、④良き統治の4つの柱と、心理的幸福、健康、教育など9分野について憲法に定めているとのことです。
江森さんと片山さんによれば、ブータンの国民が実感するハッピーの感覚は、日本人には、よくわからない部分が残るものの、国の調査アンケートに、国民の多くが幸福と答えています。こうした幸せの基準をどう解釈すべきか、また、子供たちにとって将来が楽しみか?と尋ねると、ブータンの子供たちは、ほとんどイエスと答えると説明頂きました。
一方で、1999年に情報公開制度が実施され、SNSが解禁されて以降、世界の情報が同国に自由に入り始めたため、諸外国の暮らしぶりや文化、教育、所得などを知る機会が増えた影響からか、幸福度ランキングが下がり始めたとのことです。そして、子供頃から英語を学ぶため、最近では、ビザの取りやすいオーストラリアやカナダへ移住者が多いのが実情であり、若者が海外へ流出、少子化や空き家問題が顕在化しつつあるとのことです。
明治維新政府の天皇による立憲君主国家体制に、ある日、SNSが解禁され、世界の情報が入ったような状態かな、と推察、想像しました。国情に混乱が生じているのかも、と思わせる印象を強く持ちました。
いずれにせよ、人の幸福とは何かを根本的な部分から考えさせてくれる、誠に興味深いフォーラムでした。
足の調子がいま一歩のため、残念ながら懇親会は失礼いたしました。
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