娘二人が定年退職祝いにフルムーン旅行をサプライズプレゼントしてくれました。
長女の出産が早かったため、妻と二人で出かける本格的な旅行は、新婚旅行以来、実に40年ぶりのことです。
ありがたいことです。
5月21日、準備を整え、朝の西国立駅を7時50分に出発、立川駅8時25分発のあずさ5号白馬行きのグリーン車に乗り込み、中央本線、大糸線と線路を継ぎ信濃大町まで、山梨の葡萄畑、八が岳、南アルプス、そして北アルプスと、持参のお茶とおやつを食べながら、また、ワゴンサービスでは、岡山県産のシャインマスカット入りのアイスクリームを頂きながら、車窓からの眺めを楽しみました。
さて、信濃大町駅からは、途中、大町温泉郷を抜けて、黒部の入り口駅となる扇沢駅までバスで参りました。
こうして、旅のメインのひとつである、黒部ダム・立山黒部アルペンルートを経由して、宿がある宇奈月温泉までのワクワク旅のスタートです。まず、黒部ダム行きの電気バスに乗り込み、長いトンネルを行きました。昔は、懐かしいトロリーバスで運行していましたが、いまでは電気バス車両に衣替えしています。黒部ダム駅からは、長い坑道を抜けて進みました。途中に黒部ダム建設の記録を紹介する数々のパネルが展示されていました。ちなみに、黒部ダムの渡り初めは昭和38(1963)年6月、私が生まれた昭和34(1959)年9月は、コンクリートの打設が始められると記されていました。小説『黒部の太陽』は有名ですが、TVではプロジェクトXでも、その過酷で困難を極めた偉業が紹介されています。今回は、観光放流はされていませんでしたので、ダイナミックな放流の様子を眺めることはできませんでしたが、谷底を見下ろすと目がくらむ光景に息をのみました。また、奥にそびえる山々は雪が残っていて、湖水との対比が見事でありました。
こうして黒四ダムを渡り、向こうのトンネルに入り、黒部湖駅を目指しました。13時20分発のケーブルカーに乗車、急な傾斜を一気に登りました。終点の黒部平駅に下車しますと、視界には雄大な黒部峡谷を成す山々が広がりました。雪を踏みながら展望スポットへ参り、凛とした山の空気を吸い込み、そして無限に広がる感覚に酔いながら、日本の屋根と呼ばれる景観に感動、記念写真を撮りました。余談ながら駅構内にあった「立山そば」の暖簾にひかれましたが、先を急ぐことにいたしました。
次は、13時40分発の大観峰行きの立山ロープウェイに乗車、車内は満員となりましたが、タイミングよく座席にかけられましたので、余裕をもって車窓からの一面の雪景色を堪能することができました。ここは2,316メートル、いよいよ標高が2千メートルを超えました。そして、大観峰駅からは、立山電気バスに乗り継ぎ、長いトンネルを走ること約10分で、ルート最高峰の室堂駅に到着です。この山頂の室堂駅では、標高2,450メートル、待望の「立山雪の大谷ウォーク」が、私たちを待っていてくれました。公式サイトでは「毎年春に現れる、室堂付近の雪壁に挟まれた道のこと。アルペンルート開通時には、多量の積雪をブルドーザーなどで除雪するが、その際、道路の両側の雪が壁状に残される。雪壁の高さは、積雪の多い年には20mに達する場合も。アルペンルート全線開通後の4月中旬~6月下旬には、普段、立山高原バスしか通行できない道路の一車線を歩行者専用として開放するイベントを実施。雪の壁の大迫力を間近で楽しめる。」と説明されている通り、生涯に一度は訪れてみたい日本の観光スポットと申し上げて過言では無いでしょう。幸い、お天気にも恵まれましたので、ここは時間をかけて散歩を楽しむことにいたしました。私たちの訪れた5月21日は、最高地点が15メートルの表示がありました。この見上げて余りある雪の壁が両サイドに続きますので、深い深い谷底を進むような錯覚に陥ります。娘たちの気遣いのおかげで、いつか行きたいと思っても現役時代は、なかなか訪れることが叶わなかった場所にようやく念願かなって立つことができました。
こうして、雪の大谷から、標高3,015メートルを誇る立山の頂上を遠望しながら、大満足な時間を過ごすことができました。
さて、室堂駅からは、美女平駅まで、立山高原バスで、約50分をかけて一気に下りました。途中から雲の合間に入り、霧がかった雪景色の中、九十九折の坂を、何度も何度も折り返すようにバスは下ります。この車窓からのモノクロな幻想的な世界は別世界です。心の奥底が震えた気がしました。
美女平駅でバスを降り、さらに乗り継ぎは、立山ケーブルカーで、15時40分発、立山駅まで最後の下山です。信濃大町でバスに乗ってから、何種類の乗り物に乗り換えて、ここまで来たのか、数時間前の出来事ですが、はや既に記憶が曖昧なほど、乗り換え、乗り継ぎの連続でした。景色を楽しむ時間よりも乗り物に乗っていた時間の方が長かったかも知れません。
そして、今回の旅では、まだ、立山駅から、富山地方鉄道に乗り換え、電鉄富山行きの特急に乗車しました。途中の寺田駅で下車、最終地である宇奈月温泉駅行きの各駅停車に乗り換え、宇奈月駅に到着したのは18時40分でした。
宿「やまのは」まで歩きましたので、家を出てから半日がかりの乗り物を乗り継いだ長旅となりました。
生涯で一番、一日に乗った時間と種類と停車した駅の数の最高記録であり、これから先も、この経験をすることは無いと確信した、思い出に残る一日でした。
宿では、子供や孫たちのすこやかな幸せを祈念しつつ、富山特産「白海老」の木の芽あえや「ほたるいか」の沖漬けを肴に一献傾けました。
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