一般財団法人日本自動車研究所代表理事٠研究所長の鎌田実先生(東京大学名誉教授)が、6月24日、来岡され小職が随行させて頂きました。鎌田先生は、わが国におけるパーソナルモビリティ(グリーンスローモビリティ)分野の第一人者です。また、2009年、東京大学がわが国の高齢社会に対応する政策研究・実践を目的として全学横串体制で設立した「東京大学高齢社会総合研究機構」(現在の東大SDGs活動拠点のひとつ)の初代機構長を務められており、国土交通省や経済産業省のみならず厚生労働省とも強いパイプをお持ちです。さらに日本学術会議の自動車技術や交通安全にまつわる各種研究部会、加えてトヨタ自動車はじめ自動車メーカへのアドバイスなどを長く担当されています。
近藤市長同席のもとでしたので、高梁市と吉備中央町との政策連携の可能性、さらに岡山大学と同研究所との連携可能性についても意見交換をさせて頂きました。 会談後、高梁市担当者に吹屋へアテンドいただき、同市吹屋地区で運行しているグリーンスローモビリティの現地調査に随行いたしました。
高梁市グリーンスローモビリティは、現在、観光目的での運行ですが、本来は高梁市の駅を拠点としたJRや路線バスと結節した中心市街地でのモビリティ確保のための運行を検討してきた経緯があります。吹屋ではまちなかを散歩しながら歴史や文化、ベンガラ技術の伝承や観光のコンセプトについてヒアリングいたしました。
また吹屋小学校を訪問して、様々な展示品の説明を受け、さらに見学コースで学びを深めました。 そしてグリーンスローモビリティの発車時刻に合わせて、わたしは乗車させて頂きました。鎌田先生は、写真撮影に専念されるとのことで別行動、そして私の乗車した写真を撮影頂きました。得難い経験を積ませて頂きました。
乗車運賃は無料だと聞いて驚きました。 次に、吉備中央町へご案内申し上げました。
車中にて、これまでのデジタル田園都市健康特区の採択に向けた岡山大学の那須学長をトップとした、医学部を核とした協力・推進体制の歩みについてご説明を申し上げました。
また、鎌田先生からはデジタル田園都市構想のポイントと課題について持論を拝聴することができました。吉備中央町では、活動の中心部となる吉備高原都市を車中からながらご案内申し上げました。バスの運行状況の確認を含めて、停留所にて、運行状況の確認や課題についてお話を承りました。また、岡﨑嘉平太記念館や新装した館内のローソンなどは現地をご案内申し上げました。
さらに、吉備中央町から山越えをして岡山市建部町に抜けてから国道53号線を久米南町に向かいました。久米南町役場のご担当者に出迎えて頂き、オンデマンド型の乗り合いタクシーの説明を受けました。
名称は「カッピーのりあい号」、運営は、年末年始(12月29日~1月3日)を除く7時30分~18時30分(平日)、8時00分~17時00分(土日祝日)にされており、事前予約をする場合は、翌日分まで可能、また、スマートフォンアプリからは前日、電話の場合は前営業日に連絡を受けつける仕組みになっています。
乗車料金は一回につき300円で、小学生及び生活保護受給者、おかやま愛カードの保持者、該当の各種障害手帳等をお持ちの方は半額、小学生未満は無料、AIによる予約・配車システムの導入により運行時間内なら久米南町内はどこからどこへでも自由に利用ができ、町外からの来訪者も、このデマンド交通システム「カッピーのりあい号」が利用可能となっています。ただし、町外へはJR津山線はじめ他の交通手段を利用して頂くことになっています。
実際に、利用状況を確認させて頂くために、配車されたタクシーの後ろをついて行かせて頂きました。行きつけのお店お買い物を楽しみ、それからご自宅へお帰りになる女性高齢者の利用事例でした。杖をついておられましたので、重い荷物や買い物した商品を持っての移動には介助が必要であると理解できました。また荷物の運搬にも対応しています。
事務所では、このデマンドシステムについての利用状況や配車予約システムについて詳しく説明を頂きました。
鎌田先生から、久米南町の制度は全国的にみても好事例であり、地域で導入を検討する価値があるモデルであるとアドバイスを頂きました。
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