「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」設立

全国で地方創生の取組みが進むなか、高梁川流域では、昭和29年に大原總一郎氏らによって設立された高梁川流域連盟の理念を礎として、時あたかも、倉敷市が高梁川流域中枢拠点都市となり、流域圏の七市三町に暮らす隣人たちが手を携えて、地域の明るい未来を創るために産官学民が連携して多様な活動を展開しています。

また、市民活動の視座からは、平成15年から流域の環境教育を中心に活動を続けるGREEN DAYの成果を反映して、平成27年度に(一社)高梁川流域学校が、さらに、平成25年度には水島で「環境学習を通じた人材育成・まちづくりを考える協議会」が設立されました。

そして、平成28年度には、倉敷でのG7教育大臣会合を契機に、ローカルサミットin倉敷おかやまが開催され、国内外を問わず高梁川流域での取り組みに注目が集まり、この潮流に呼応して、高梁川流域の市民・企業・行政・大学などが一堂に会したシンポジウム「世界一の環境学習のまち みずしまを目指して」において、滞在型環境学習プログラムが提案されたところです。

こうした高梁川と瀬戸内海が育んできた水島の豊かな自然や環境、歴史・文化・風土、暮らしや水と命、そして企業活動が生み出す英知を結集し、また、倉敷が日本遺産に登録された時宜を得た地方創生への気運の高まりを活かして、本格的な滞在型環境学習プログラムを企画・実施することにより、地域はもとより世界の子供や若者たちに、人類と自然が織り成す地域社会の素晴らしさを伝え、世界一の環境学習のまち“みずしま”の創造をめざしています。

こうした活動が実を結び、水島・高梁川流域の市民・企業・行政・大学などが一堂に会し、持続可能な地域づくりを担う人材を育成することを目的に「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」を立ち上げることとなり、3月29日、倉敷市の環境学習センターにおいてキックオフシンポジウムが開催されました。

まず、シンポジウムに先立ち、みずしま滞在型環境学習コンソーシアムの発起人会が開催され、G7倉敷教育大臣会合「倉敷宣言」の具現化と2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」を活動の理念に据えることが確認されました。そして、今回の目的である、高梁川流域において、持続可能な地域づくりを担う人材を育成するために、倉敷水島地域を今後ますます増加が見込まれるASEAN諸国、そして世界から集う留学生の学びの拠点、フィールドとして活用し、さらに、地域で生まれ育つ子どもが、地域の自然・文化・暮らしに触れ、地域への愛着を持てる地域社会の持続可能性を発見する教育プログラムを開発することにより、地域を愛し、地域に根づくグローバル人材の育成をめざして産官学民が連携して事業を展開することを宣言いたしました。
 発起人は以下の皆様です。

発起人代表
  • 萩原 邦章:萩原工業(株)代表取締役会長・一社)岡山経済同友会 顧問
発起人(五十音順)
  • 伊東 香織:倉敷市 市長
  • 井上 峰一:倉敷商工会議所 会頭・株式会社いのうえ 代表取締役社長、学校法人 関西学園 関西高等学校 理事長 
  • 大久保憲作:一社)高梁川流域学校 代表理事・一社)岡山経済同友会 監事、倉敷木材(株) 代表取締役会長
  • 岡 浩二:水島の未来を考える会 会長
  • 尾崎 浩子:水島おかみさん会 会長
  • 梶谷 俊介:ローカルサミットinおかやま倉敷 実行委員長、一社)岡山経済同友会理事・地域振興委員長、岡山トヨタ(株) 代表取締役社長
  • 古川 明:(一社)高梁川流域学校 理事、前新水マリン株式会社 代表取締役社長
  • 槇野 博史:国立大学法人 岡山大学 学長

なお、実際の活動を担当する「滞在型環境学習プログラム企画委員会」の座長には、萩原 邦章会長が、副座長には古川明理事が選任されました。また、実施チームの委員長には小職が選任されました。事務局はみずしま財団さんが主担当いたします。

さて、シンポジウムでは、まず、本学の槇野博史学長が「SDGsで拓く持続可能な地域づくり」と題して基調講演を行い、地域の課題がグローバル・イノベーションに直結する、地域循環型の社会課題解決サイクルの重要性を問題提起し、コンソーシアムへの期待を表明しました。また、発起人代表である萩原工業株式会社の萩原邦章代表取締役会長も、「地域への想いと、将来に向けて」と題した基調講演を行い、持続可能な地域づくりを担う人材を育成するために、SDGsの考え方を柱に水島を人材育成の教材教場としたい旨を紹介しました。

続いて各界の代表者によるリレートークが行われ、「滞在型環境学習プログラムに期待すること」として、倉敷市の伊東香織市長、JFEスチール株式会社西日本製鉄所総務部総務室長の和田尚樹氏、高梁川流域学校代表理事の大久保憲作氏、本学から小職、水島おかみさん会会長の尾崎浩子氏、みずしま財団理事・研究員の塩飽敏史氏が登壇し、コンソーシアムへの期待と各団体の思いを紹介しました。地域住民、企業関係者、行政関係者など約50人が耳を傾けました。

また、本学の高橋香代副学長・理事(企画・評価・総務担当)からは「岡山大学も水島地区の皆さんと共にイノベーションを起こす関係でありたい」というコメントがあり、続いて「環境学習を通じた人材育成・まちづくりを考える協議会」座長である広島修道大学の西村仁志教授からは政策協働への期待が表明されました。

参加者一同、持続可能な地域づくりを地道に粘り強く行う活動目的を確認し、盛会のうちに終了しました。