高梁川流域ミーティング2018と岡山大学SDGs

「自然を楽しみ多様性を知る」「節季を感じ、旬を味わう」「先人に学び匠に習う」「未来を創る仕事を興す」「風土を学び次世代に繫ぐ」など、多くの市民の期待を受けて開校された高梁川流域学校は、今年の6月で3年を迎えます。こうしたなかで、高梁川流域学校の事業報告と、更なる飛躍に向けた「高梁川流域ミーティング2018」が、2月24日、倉敷中央病院のホールで開催されました。

主催者挨拶では、「世界はあらゆる方面での激動時代を迎えて、これからの時代をいかに生きていくか、一人ひとりが「今の私にできること」を問われる時代になっている点を踏まえ、今回の高梁川ミーティング2018では、それらの課題に第一線で向き合って生きている先輩と高梁川流域の森里川海、まちの次世代を担う方々を中心に、2040年に描く未来を実現するために、「今できること」を一緒に検討したい」と宣言されました。

事業報告では、備中人としての地域の教養をしっかりと身につけ、流域で活動する肝胆相照らす仲間の輪を広げる「備中志塾」の取組み、また、高梁川流域の自然を活かした高梁川トレイルによる風土ツーリズム事業の展開、さらに、岡山大学との関連では、当センターの前田芳男先生や岡山後楽館高校の室貴由輝先生が支援する『聞き書き』は人生の大先輩や地域で活躍・貢献している方々の経験や知恵を若者がヒアリングして書き写し、後世に伝承する活動です。また、水島コンビナート企業をフィールドに若者たちに、企業の活動や瀬戸内海の自然を守る活動を伝える活動、倉敷美観地区が有する町屋の歴史や文化を伝える活動などの報告に合わせて、こうした数々の取組を持続的に展開するために求められる人モノカネ、そして協働のあり方についても、具体的な提案がなされました。

そして今回のミーティングでは、注目すべき新たな方向性が示されました。それは、2015年9月の国連サミットで採択された、成長・雇用、クリーンエネルギー、イノベーション、循環型社会(3R:Reduce Reuse Recycle 等)、温暖化対策、生物多様性の保全、女性の活躍、児童虐待の撲滅、国際協力など持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載されたSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称)に沿った報告がなされたことです。これまで取組んできた流域での数々の活動が、SDGsの観点から話題提供されたことは、まさに先進的であり、大原總一郎氏により提唱された『高梁川流域連盟』の志を継承して、さらに未来を目指す流れが示されました。

このSDGsは、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っており、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としてもこの活動に積極的に取り組んでいくことを宣言しています。

ちなみに、2017年12月26日に総理大臣官邸で開催された、第1回「ジャパンSDGsアワード」表彰式では、安倍総理大臣からの挨拶や、アントニオ・マヌエル・デ・オリヴェイラ・グテーレス国連事務総長からの祝辞に続き、SDGs達成に資する優れた国内外の取組を行っている企業・団体が表彰されました。安倍総理大臣による本部長賞は、北海道下川町に、官房長官及び外務大臣による副本部長賞は、NPO法人しんせい、パルシステム生活協同連合会、金沢工業大学に、サラヤ株式会社、住友化学株式会社に授与されました。

また、SDGsパートナー賞(特別賞)が、吉本興業株式会社、株式会社伊藤園、江東区立八名川小学校、国立大学法人岡山大学、公益財団法人ジョイセフ、福岡県北九州市に授与されました。

このように岡山大学は、これまでのESDの取組みを含め、地域の総合大学としての強みを活かした活動が、国により高く評価されています(外務省HPご参照)。

母の見舞いがありましたので、主催者代表である、高梁川流域学校代表理事である大久保憲作クラモク会長のご講話をお聞きしたタイミングで、途中失礼いたしました。

見舞いの後で、夕暮れの牛窓海岸を眺めながら、一日の振り返りをしながら、この美しい瀬戸内海の自然を守り・育て・発展させるために、私たちは何ができるのか、高梁川ミーティング2018で頂いた多くの皆様方の報告を思い浮かべながら、静かに時を過ごしました。帰りに、久しぶりに牛窓「きびや」にて羊羹とお煎餅を買い求めました。これは絶品です。