北海道寿都町訪問②


寿都町では、道の駅の次は、曹洞宗の寺院である龍洞院を視察訪問いたしました。
誠に気さくなご住職であり、地域の皆さんとの交流企画を盛んに展開されています。地元の方の悩み事や相談事にものっておられる様子が、そのお人柄から窺えました。
最近は、全国に「子ども食堂」が広く開設され、子供のためだけでなく、保護者や地域コミュニティをつなぐ拠点となっています。一方で、古来より、そうした地域コミュニティの拠点が神社仏閣でありました。弊職の出身の愛媛県には四国八十八か所の四国霊場札所があることで有名ですが、郷里には、古くから毎月、空海(お大師様)が入定した、3月21日の前夜、毎月20日夜に、「お大師講(おだいしこう)」と呼ばれる地域の小字(こあざ)単位で行う、コミュニティが集う習わしがあります(岡山にもお大師講があります)。座元は各戸の持ち回りで、お大師様の御影を掲げて般若心経を唱えて拝んだあと、その小字の単位を郭(くるわ)や組(くみ)と呼んでいましたが、地域の連絡事・相談事等をする寄合の場になります。いわゆる五人組のような最小単位のご近所を少し広げたコミュニティです。その地域全体である大字(おおあざ)のエリアを支えるのが寺院です。この地域の連絡事・相談事等の寄合が、地域協議会やコミュニティ協議会の市民協働を支える古くからの日本の源泉となっています。北海道は全国からの開拓民の人たちで構成され、進化を遂げてきた土地柄です。ここ寿都には、寺町通が形成されており、多くの寺院が並んでいます。様々な宗派が全国から集い、甍を並べて共存共栄してこられたのではないかと推察いたしました。ここ寿都の龍洞院も、まちの歴史と共に歩みながら、地域社会を支える拠点として、その歴史を刻んできた証人であり、現在のご住職がバトンを受け取り、次に手渡す役を担っておられるのだと確信いたしました。地域の皆さんが集まり、歌い、酒を酌み交わしながら、地域の課題を持ちより、地域を元気にするために解決策を考える、そんな光景を思い浮かべました。ご本堂で記念写真を撮らせて頂きました。

夕方からは、寿都町役場へ参り、町長室にて、片岡春雄町長と面談させて頂きました。
寿都高校視察の報告をいたしましたところ、例えば、近隣の高校生世代を寿都高校に進学してもらうために、部活動が終わり、路線バスが終わった後には町役場が送迎バスを出すなどの利便性向上施策の実施、若者を地元に惹きつける創意工夫をする政策推進、また、地域の稼ぐ力を生むために風力発電設備の町営事業を開始、更新時期が訪れるため今後の継続手法についての検討、漁業を核とした地域振興と道の駅の活性化との組み合わせ施策の推進、そして寺町通り「御朱印巡り」観光の推進など、地方創生戦略シナリオの説明を頂くことができました。そして、この度のふるさと財団地域再生マネージャー制度への期待を熱く語ってくださいました。

夕方、18:00から、地元の新鮮な魚尽くしの「魚よし」さんで懇親会を開催いたしました。町役場、派遣されている専門家、財団関係者のメンバーで、これまでの財団事業の振り返りと今後の展開シナリオについて、胸襟を開いて本音で語り合いました。地方創生の話題で酒席が大いに盛り上がり、さらに珍味のホヤキムチ、アンコウのトモアエ、獲れたての刺盛りと地元の新たな特産品バジル焼酎「壽(ことほぎ)」との相性が抜群で、杯が進み情報交換会は宴席となりました。魚種は、ソイ、ハッカク、サクラマス、ブリ、ヤリイカです。

翌日、9月3日、朝は町内を散歩して廻りました。港の傍の宿でしたので、早朝から漁に出ていた漁師さんの作業を見学させて頂き、さらに朝焼けの美しい海を眺めました。そして、道の駅、地元企業、北海道名物コンビニのセイコーマート、バスターミナル、寿都小学校、寺町、役場、警察、郵便局、町営住宅など、ぶらぶらしてから朝食を頂きました。

そして寿都町役場で最終の振り返りミーティングを実施して、残された課題と本事業の今後の進め方を確認して散会しました。位置づけは、地域再生マネージャー定例会議、内容は、外部専門家と寿都町の事業進捗と今後の取り組みの調整、協議の要諦は、事業を自走させる主体の確立状況と自走に向けた実施体制の確認でした。
そして、和菓子の土産物屋を二軒ご案内いただき、千秋庵菓子舗「昆布羊羹」、若狭屋老舗「わかさ屋いも」(元祖)を買い求めました。そして再び長万部駅までお見送り頂き、寿都町の皆様とお別れましました。長万部名物かにめし本舗かなや駅弁「かにめし」が休業でしたので、センスの良い駅前の喫茶店でカレーを食して、JR特急北斗9号、JR快速エアポート96号、新千歳空港でSKY174便にて神戸空港、三宮駅、JR新神戸駅から岡山駅へ戻りました。

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