広島の世界遺産は「安芸の宮島」と「原爆ドーム」です。
何年振りになりましょうか、6月11日、朝から一路「宮島」をめざしました。宮島は古代より島そのものが神として信仰の対象とされ、平氏にゆかりが濃く、平安朝の寝殿造りが有名な厳島神社と、手つかずの自然が現存する弥山原始林が、1996年(平成8年)に世界遺産に登録されています。広島駅まで新幹線、そして山陽本線の岩国行きで宮島口まで参り、港まで徒歩で数分、フェリーで宮島へ上陸いたしました。
今回は、商店街の通りを避けて、山側の古い町並みを残す「町屋通り」を散策しながら視察をいたしました。
この通りは、観光客より地元の皆さんが生活道路として使っておられる様子で、観光協会によれば、「かつては海だった場所を埋め立てて生まれた、江戸時代のメインストリート」だそうです。100年を超えるような間口が狭くて奥行きがある伝統的な町家の旧家が宮島の歴史を語りかけてくれます。同時に、昭和を伝える魚屋さんから雑貨屋、そして最近のトレンディーなカフェ、観光ホテルと異なる落ち着いた風情の民宿的な旅館などが並び、さらに狭い路地が山側と海側をつないでいます。厳島神社の朱色の大鳥居と神殿に代表される、きらびやかな印象が強い宮島ですが、実はのんびり宿泊して、自由な時間を過ごすことができそうな昭和レトロ感を漂わす街並みが残っているのです。
そして、この町屋通りを抜ける角に、厳島神社の大鳥居、神殿と並ぶ宮島人気のスポットとして紹介される五重塔を持つ豊国神社(千畳閣)があります。ここは豊臣秀吉にゆかりある神社と言うことで参拝いたしました。広い板張りの神殿は誠に広く、天井には様々な絵や書が飾られており、これらを眺めながら、気兼ねなく、しばし座り込んで休憩させて頂きました。そして、宮島と言えば「しゃもじ」です。戦勝祈願の言い伝えがありますが、今回は、岡山シーガルズの勝利と岡山市新アリーナの建設を祈念して願をかけ、岡山シーガルズへお届けいたしました。選手たちが、宿舎の神棚に奉納してくれたとの知らせを、後日、頂きました。
さて、もう一つの魅力のスポットが、「弥山原始林」です。宮島は周囲が30キロメートル、800メートルを超える山を抱く島であることから、神々が宿る島として神秘的な雰囲気を醸し出しています。ロープウェーの乗り場までは、厳島神社の裏から無料送迎バスが出ていました。そしてロープウェーを乗り継いで、山頂の獅子岩駅まで参り、展望台から眼下に広がる瀬戸内海の見事な景観を一望いたしました。午前中の早い平日ということで、外国人観光客の方も少なく、待ち時間なしでたどり着けました。展望台に着いた時刻は11時くらいで、はや気温が上がって6月とは思えない暑さでしたが、ここは瀬戸内海から吹き上がる風がさわやかであり、帽子をとって汗をぬぐい、この風に心地よく吹かれました。そこで、先に展望台で休まれていた白人の外国人観光客のご夫婦から、私が独りであることに気を使って頂いたのか「写真を撮ってあげましょう」と言われ、少し驚きましたがお願いしてお礼を申し上げました。誠にもって「時代と日本は変わったな」とインバウンドを実感した瞬間でした。「弥山」エリアは、ここから観光ルートがあるのですが、今回は午後から広島市内で校務がありましたので、急いで下山、さっと厳島神社本殿に参拝、そして海に立つ大鳥居と良く躾がされた鹿さん達にもご挨拶申しあげ、お昼も食べずに陸へ戻りました。そして、広島市内へは広島駅まで直通の「路面電車」に乗車、各駅停車の旅を楽しみました。途中で、原爆ドーム前にて下車、先週の火曜日に続き、2週連続で原爆ドームを拝観いたしました。
午後からの校務を終えて、広島駅で「炙り煮あなごめし」と「もみじ饅頭」を買い求め帰路につきました。