冒頭、われわれ訪問団を代表して、地域総合整備財団 梶田信一郎会長(元内閣法制局長官)から財団の紹介をいたしました。ちなみに、梶田会長は、岡山市御野小、岡北中、岡山大安寺高という生粋の岡山県人でした。そして、外部専門家平川さんから、野田市長のご意向を踏まえながら事業の進捗状況を説明、そして東大阪市より事業の補足説明と課題が説明されました。私から、財団アドバイザーの立場から所感と助言を申し上げました。集合写真をご一緒させて頂きました。
昼食も「天ぷら芳肴大喜」にて、野田市長とご一緒させて頂きました。市長からは、総社市長、高梁市長、赤磐市長、美作市長のお名前が、次々会話に出されたのには脱帽いたしました。また、財団からは、梶田信一郎会長から提供された内閣法制局長官時代の思い出話は興味深く、とても会話が弾みました。大阪大学や地元近畿大学との連携も実装レベルの凄さ、日本一の中小企業城下町「舞い上がれ」の首長の地方創生戦略の展開手腕に感服しました。市長をはさんで平川さんと記念ショットを撮らせて頂きました。
さて、企業訪問では、まず甲子化学工業株式会社を訪問しました。甲子化学工業は、1969年創業のプラスチックメーカーです。病院やオフィス、コンビニで利用される様々な製品のパーツや生活雑貨などを開発・生産しています。本事業では、第2期参加企業の4社のうちの1社です。デザイナーの熊野亘氏と組み、環境に配慮したプラスチックを用いた製品を開発中です。ご対応いただいた南原徹也企業開発部長のプレゼンでは、産廃化した北海道猿払村のホタテの貝殻及び長崎県対馬に朝鮮半島から漂着したプラスチックごみを活用して、環境配慮型ヘルメットに再生するSDGs実践活動企業を展開しているご苦労話をご披露頂きました。
特に、具体的な資料や写真を用いて、廃棄ホタテ貝殻と廃棄プラスチックを組み合わせた、エコプラスチック新素材「カラスチック®︎」を開発、HOTAMET(ホタテ貝の形状のヘルメット)を製造した開発話は、奥が深く、技術と創意工夫の凄さを痛感しました。
「カラスチック®︎」の特徴については、以下の通りです。
・新品のプラスチックを100%利用するのと比較して、最大約36%のCO2削減に寄与
・石灰岩由来のエコプラスチックと比較して、約20%のCO2削減に寄与
・ホタテ貝殻をプラスチックに混ぜ込むことで、強度(曲げ弾性率)が約33%向上
さらに、廃棄物を活用したリサイクル素材のため、世の中の廃棄物を減らすことができ、地域の廃棄物問題解決の一助となることが期待されていますとご説明頂きました。
これは、まさにSDGsのお手本と言える素晴らしい活動です。そして何より、今回の事業のコンセプトである、素材のホタテ貝を美しく、そして洗練されたデザインの見事さです。中小企業の場合、技術力が高くても、商品化のノウハウ不足と、うまく良い製品が開発できても市場と販路の開拓が不得意で、商業ベースに乗らずに赤字で残念な結果になるケースが多いのです。販売はネット販売として、無駄な在庫や商社への中間マージンを払う必要が無い手法を用いています。こうした安定的な販路確保に向けたハードルを越えられる手前まで到達しています。
そして、SDGs(持続可能な開発目標)」達成の目標年である2030年まで残り5年となる2025年は、大阪・関西万博が開催されるため、このタイミングを活かして販路拡大を目指しているとお聞かせくださいました。誠に多くのことを学ばせて頂きました。
今回の訪問の最後は、東大阪市産業技術支援センターのミーティングルームをお借りして、東大阪市モノづくり支援室と財団が揃って振り返りミーティングを実施、まず、アドバイザーの小職から僭越ながら講評をさせて頂き、各人から意見や感想が述べられました。今後の本事業の展開シナリオと、年明けの財団の報告会に向けた確認してお開きです。
JR高井田駅までお見送り頂き、平川さんと東大阪市の皆様に心から感謝申し上げ、再訪をお約束して、失礼いたしました。誠に充実した二日間でした。