第6回地域公共交通総合研究所シンポジウムin熊本

熊本市や熊本大学、国のご協力を得て、災害対策を念頭に置いた未来の公共交通のあり方やモビリティ政策を考えるシンポジウムを開催いたしました。

日時は8月9日、10日、会場は熊本国際交流会館大ホールです。

主催関係者のため8月8日から現地入りをいたしました。

第6回となる今回のシンポジウムでは、「激甚災害」、「公共交通の本質」をキーワードとして、国が進めるソサエティ5.0(超スマート社会)に深くかかわるMaaS実現に向けた様々な課題や実現可能性について、公共交通を視座に置き熱い議論を展開することが出来ました。

そこでは、世界の中で、自動運転をはじめとするIoT/AIをフル活用した新たな技術と新たなコンセプトにより地域の公共交通の未来が切り開かれていく動きが極めて活発化するなかで、一方では、災害により、人間の構築したものやシステム、コミュニティが崩壊するなかで「公共交通」は、人間の纏まりと繋がり、そして国や県、市町、大学、産業、事業者の知見と力を纏め上げ、崩壊した地域を作り上げる「明るい未来づくり」の大切なインフラとして如何に維持してゆくか、使いやすいシステムを構築すべきかが問われています。かかる観点から、激甚災害を通じて我々人間の知恵と勇気が切り開いてきた道を辿り、将来の明るい未来づくりに資するシンポジウムとして、多士済々の皆様から忌憚のない意見が展開されパネルディスカッションのコーディネートは緊張しました。

当日の流れは、まず、基調講演では、「地域公共交通の再デザイン 熊本市の挑戦とその成果」と題して、熊本大学溝上章志先生、次に「災害時の地域交通マネジメント」と題して、広島大学藤原章正先生、さらに「地域公共交通のイノベーションに向けて」と題して、国土交通省から総合政策局交通政策課の杉田茂樹同課長補佐(予定の蔵持京治課長が公務のため欠席)というお三方にお願いいたしました。

パネルディスカッションでは、このお三方よりお話しいただきました要諦を、ごくごく簡単にご紹介申し上げ、それを踏まえて、パネルディスカッション「災害復興から明るい未来への道筋を示す〜公共交通の役割と希望」へつなぐ流れをつくり、そのうえで皆さま方をご紹介申し上げました。そして、はじめに、熊本都市バス株式会社の高田晋社長から、災害対応を織り込んでいただきながら、公共交通網統合整備の道筋(実際の苦労話)と実績、実現できていない課題について披露いただき、未来に向けたご持論を披露いただきました。本音で語っていただけることを事前打ち合わせで確認していましたので、熱のこもった現場での活動の様子がひしひしと伝わりました。

それを受けて、(一財)地域公共交通総合研究所小嶋光信理事長から、両備グループの取組みを熊本の取組みを念頭に置いて頂きながら、これまでの足跡、課題、災害対応、熊本との共通点や相違点、そして未来へのご持論を披露いただきました。

次に、地元観光の観点から、災害時の影響と克服に向けた取り組み、その際のモビリティの重要性や将来に向けた期待や希望があれば、ということで株式会社玉の湯の桑野和泉社長に、利用者代表的なお立場と幅広いご公職も踏まえて、お考えをお聞かせいただきました。誠にクリアな筋の通った持論をご披露頂きました。

その3人のお話を受けて、国土交通省九州地方整備局の前佛和秀部長に、感想(国のこれまでの取組み)、国の大切にしたい方針、重要施策、今後の見通しについてお考えをお聞きしました。そのなかで、未来志向で何ができるか、ソサイエティ5.0やMaaS的な思想を踏まえて、現実的な課題と変わりそうな未来について、東京大学生産技術研究所の伊藤昌毅特任講師に、その先の日本や世界のモビリティについて、災害対策の観点も織り込みながら見通して頂きました。

以上を受けて、政策研究大学院大学家田仁先生が、広い視座からおまとめ頂き、本パネルディスカッションの意味付けの確認をこめて、大所高所から、将来に向けた道筋をお示しいただきました。家田先生の軽妙な中にも説得力に溢れた講話を頂き、会場は感嘆の声に包まれました。

その家田先生からのご示唆、方向性に従いながら、パネリストからお考えや将来に向けた持論・決意をそれぞれ伺いました。

時間がありましたので、会場にもマイクを向け、熊本大学溝上章志先生、広島大学藤原章正先生に一言簡単にコメントを頂くことが出来ました。

そして最後に総まとめを、小嶋会長、家田先生の順でお願いいたし、パネリストは登壇したままで、小職から、一言閉会・謝辞を申し上げました。

こうして地域の足を考えるシンポジウムの熊本開催無事終了、さすが火の国、熊本市の取組は力強く、晴れの国も頑張らねばとの勇気を頂戴いたしました。

二日目は、熊本市による、地震からの復興と中心市街地の再開発計画の説明を受けてから、エクスカーションとして、新しく生まれ変わるバスターミナルの現地での説明をうけたあと、熊本城へと入場して、復興作業の進捗状況について説明を受けました。

加藤神社では記念撮影をいたしました。

こうして二日間のシンポジウムの日程がつつがなく終わりました。

飛行機の時間まで余裕がございましたので、かねてから一度訪れてみたかった、路面電車の終点駅である「健軍」まで参りました。

商店街が伸びており、ここも地震で被害が出ています。

八百屋さんや魚屋さん、馬肉を扱う肉屋さんや辛子レンコンが並ぶ蒲鉾店など、冷やかしながら見物いたしました。地震で壊れた食堂を仮ながらリニューアルして営業を再開された食堂「煮込み家馬っ」で、馬肉の煮込み定食を食しながら、女将さんから復興の様子をお聞かせいただきました。

そして、準備で前泊しましたので二泊三日の滞在での楽しみは「食」でした。


熊本ラーメンはもちろんのこと、熊本名物の馬肉うどんや馬煮こみは、ゆずコショウとの相性で絶品、そして売り出し中が日本一大きいと言われる「天草大王鳥」手羽先がモモくらいありました。

〆は熊本県民食「太平燕(麺が春雨のちゃんぽん麺)」とした、誠に充実した熊本での活動でありました。