地域社会にとっての「レガシー」

日頃、休日を利用して、美術館や博物館、寺社や名所旧跡を訪ねることはありますが、スポーツや音楽会を、直接、アリーナやスタジアム、コンサートホールやライブハウスに出向いて楽しむことは、できていませんでした。スポーツには、「する」「みる」「ささえる」といった多様な楽しみ方があると言われますが、人生でスポーツを生活の風景に置く心の余裕は、現役生活の時代には無理と半ば諦めていました。ところが、東京五輪の開催も後押ししてか、ここ数年、地方創生やまちづくりにスポーツを活かそうとする機運が岡山で盛り上がり、「ささえる」に該当すると考えますが、岡山シーガルズのサポートがご縁となり、時折、試合を観戦する機会を得ることができました。

お気に入りのチームを贔屓して、直接、その試合を観戦することは、生涯を通じて長く楽しめる豊かな財産を得ることに等しいのだと思います。現在、岡山シーガルズを「ささえる」お手伝いをしています。その役目は、選手やスタッフの方々全員が、最高のパフォーマンスを発揮し、チームにとってベストの体制で試合に臨めるよう、また会場準備と運営によって、最高のファンサービスが提供できるよう、チームのスタッフ力の強化やそれに連なる事業体としての諸環境を整えることです。また、小職は「専門分野としてのスポーツ」については能力ゼロですが、スポーツを地方創生やまちづくりに活かすことができれば、結果的に岡山シーガルズの組織力や事業体としての体力も向上すると考えています(大学の社会貢献活動の一環として位置づけています)。

現在、プロバレーボールはシーズンたけなわです。1月26日、27日、「2018-19V.LEAGUE DIVISION1女子」の公式戦が、ジップアリーナ岡山を会場として開催されました。岡山シーガルズにとってはホームゲームです。初日、1月26日の対戦相手は「KUROBEアクアフェアリーズ」で、試合結果は、岡山シーガルズ 3 (25-19,25-20,25-22) 0 KUROBEアクアフェアリーズ、二日目、27日の対戦相手は、「トヨタ車体クインシーズ」で、試合結果は、岡山シーガルズ 3 (25-17,25-18,25-21) 0トヨタ車体クインシーズ、二日間ともにストレート勝ちをおさめました。特に、トヨタ車体には、2020東京五輪に日本代表として出場する可能性が高いと言われる、全日本の内瀬戸真実選手や荒木絵里香選手(岡山県出身)が所属しています。そうした強豪チームを相手に、横綱相撲と申し上げて過言でない危なげない試合運びで、ストレート勝ちをおさめたことに大きな感動を頂きました。

また、毎回の楽しみのひとつが、アリーナの屋外に出店される屋台群『かもめ食堂』で地元グルメを楽しむことです。今回も美咲町が出店提供している「黄ニラ雑炊」(黄ニラは岡山の特産品)を購入、寒さをふき飛ばしてから試合観戦に臨みました。加えて、学生サークルの面々が、競技会場の整備や大会準備にボランティアとして汗をかいてくれ、県内ファンはもとより、県外や海外から観戦にお見えになる皆様への「おもてなし」のお手伝いをしており、学生の社会貢献活動やまちづくり参加として頼もしい限りです。

さて、東京五輪では、「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする。」とした『多様性と調和』、さらに「東京1964大会は、日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度成長の弾みとなった大会。東京2020大会は、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく。」とした『未来への継承』が、目標に掲げられています。

試合観戦を通して、岡山におけるスポーツを起点とした『多様性と調和』、『未来への継承』の実践、私たち地域社会にとっての「レガシー」とは何か、改めて思いを馳せ、考えを巡らせた二日間でありました。

岡山シーガルズや大会関係者の皆様に感謝。