日本金融学会2015秋季大会in東北大学

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

アベノミクスの真価が問われるなか、「日本金融学会2015年度秋季大会」が東北大学川内キャンパスを会場として開催されました。前夜は7時限(21:10)まで、大学院の授業があったために前日入りが出来ませんでした。10月24日は午前5時に起床、午前6時の始発の新幹線で新大阪まで参り、電車を乗り継ぎ伊丹空港へ向かい、空路で仙台空港へ到着、電車とバスで東北大学へ入りました。紅葉が美しいキャンパスです。岡山大学と同じくキャンパスはオール禁煙です。

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

西垣教授

なんとか、午前の部に間に合い、セッション「金融仲介機関」の岡山大学経済学部西垣鳴人教授による報告「マイクロファイナンスを機能させる条件について」(A会場 B200教室)を拝聴することができました。座長は慶應義塾大学渡部和孝先生、討論者は新島学園短期大学の松田慎一先生でした。午後からは、セッション「各国金融機関」で、九州大学の同門である松山大学掛下達郎先生による報告「アメリカ大手商業銀行グループの引受業務への進出」を拝聴しました。座長は、武蔵大学大野早苗先生、討論者は、福岡大学神野光指郎先生でした。

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

掛下先生

続いて、「中央銀行パネル」関西学院大学の春井久志先生が座長をつとめられた「テーマ:金融システムの安定に向けて:マクロプルーデンス政策を中心に」(1) バブルの形成と崩壊に際しての日米の政策対応の比較、報告者は金融庁の屋敷利紀氏、(2)マクロプルーデンス政策と金融政策の役割分担、報告者は日本銀行木村武氏、討論者は黒田巌氏、野村総合研究所井上哲也氏を拝聴しました。とても勉強になりました。

報告された金融庁の屋敷利紀氏は、この6月まで日本銀行の岡山支店長をされていて、岡山経済同友会の勉強会など、いろいろなシーンで懇意にさせて頂いていました。報告後にご挨拶をさせて頂きました。

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

屋敷氏

初日の最後は、特別講演が大教室(C棟C200教室)で開催されました。司会は東北大学 の西山慎一先生、講演者は日本経済研究センター理事長(前日本銀行副総裁)の岩田一政氏で、演題は「出口戦略と長期停滞」でした。持論を余すところなく披露されました。会場からも積極的な質疑が出され、議論は大いに盛り上がりました。

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

岩田氏

夕方からの会員総会に続き、会場を川内北キャンパス厚生会館内「川内の杜ダイニング」に移して懇親会が開催されました。懐かしい顔ぶれにおしゃべりは尽きませんでした。

次回の大会開催校で大会委員長をされる予定の武蔵大学の大野早苗先生と、随分、話し込ませて頂きました。また、師匠である九州大学の川波洋一先生から「明日は頑張るように」と檄を頂きました。

大会二日目です。今回の日本金融学会では「地方創生と地域金融機関の役割」と題した広島大学村上真理先生からの研究報告に対する討論者(コメンテータ)の予定でした。ところが、当初予定していた村上先生が体調を崩されたために、先生に代わり報告内容を説明してコメントも行うという初めての経験をさせて頂きました。

さて、10時開始、セッションは「地域・中小企業金融」(C会場 B102教室)、座長は山形大学の山口昌樹先生です。まず第1報告は「Effects of Main Bank Switch on Small Business Bankruptcy」と題して、報告者は名古屋大学大学院大鐘雄太氏、討論者は立命館大学の播磨谷浩三先生で始まりました。第2報告は「無担保貸出の導入が企業の資金調達とパフォーマンスに与える効果の検証」報告者は一橋大学大学院の岩木宏道氏、一橋大学経済産業研究所植杉威一郎先生、神戸大学内田浩史先生、討論者は岡山大学の大熊正哲先生と続きました。

そして第3報告は「地方創生における地域金融機関の役割」です。村上報告の要旨は「地方創生における地域金融機関の対応を概観する中、相互扶助に代表される協同組織金融機関の役割について考察した。その結果、①地方創生への取り組みは成果が実感されるまでに相当の時間を要するため、地域金融機関の対応も長期の時間軸を前提とする必要があること、②人口動態の芳しくない地域においては相当の年数を経てもほとんど成果が伴わない事態も起こり得るため、共助社会づくりで標榜される住民主体の対応との連携も検討すること、③信金・信組・JAなどの協同組織金融機関は相互扶助の理念と自らの組織特性を踏まえ、積極的に独自性を打ち出すべきこと、との知見を得ている。」です。その内容をご説明申し上げながら、さらにコメントを小職の持論として随所に入れさせて頂きました。小職の師匠はじめ一門の先生方の前で、相当に緊張しましたが、何とか無事に終えました。人生長くやっていると思わぬ事に遭遇するものです。
余談ながら、第2報告の討論者が、奇遇にも岡山大学の大熊正哲先生でした。迂闊にも存じ上げない先生だと思っていたら、互いの自己紹介で、経済学部では無く教育学部の先生だとわかりました。教育学部唯一の経済学担当の教員だそうです。すっかり仲良しになりました。

二日目は全国大学女子駅伝が仙台市内であり交通規制が凄く、大会本部から「駅伝のため交通渋滞が予想されるため、遠方からお越しの方は、帰りを早めるなど交通情報にご注意ください」とのアナウンスがありましたので、残りのセッションは失礼して、結局、観光を兼ねて、大学から仙台駅まで歩くことにいたしました。

日本金融学会2015秋季大会in東北大学

いろいろなエピソードがあったのですが、実り多き東北大学での二日間でした。