グローバル実践型教育CO-OPプログラムスタート

今月、いよいよカナダのブリティシュコロンビア大学(UBC)から2名の留学生を受け入れ、岡山県内の林産企業へ岡山大学生と共に実践型インターンシップに派遣する教育プログラムがスタートしました。このプログラムを現地でコーディネート頂いた地域総合研究センター伊藤公久アドバイザー(K. Ito & Associates 代表)に来日頂き、6月5日詳細な打ち合わせと今後の進め方について意見交換会を開催しました。
UBC会議
これまでの岡山大学の取り組みベースは、教育担当理事・社会貢献担当理事名で荒木理事が、2013年2月22日に出された「実践型地域連携教育プログラムに関する基本方針(案)」に基づいています。
この基本方針「理念的部分」で、「今なぜ実践型地域連携教育プログラムが求められているのか」と題して、荒木理事は、岡山大学が掲げる『森田ビジョン』から「学都は、大學だけの力に依って達成されるものではなく、大學が置かれている都市・地域とともに達成される。」「私は、この気概の養成という教育課題を地域社会の現実に大学が真剣に向き合う中で達成したいと考えています。」と宣言、大学と地域の連携、学都の創生、学都を担う人材養成を提起するなかで、実践的地域連携教育の可能性が生じるため大学は「地域の良き頭脳」となる必要がある点、また、教育理念の中に、地域の伝統を生かし、気概の涵養を行う必要、それはすなわち、正しい方向を持った、知的感性的な強い意欲を持つために感動を与える地域社会での経験の共有が必要である点、を指摘しました。地域総合研究センターでは、この考え方を大切にしながら、このたびのCO-OPプログラムの開発を進めてまいりました。それを具現化するために、当時を振り返りますと『平成25年新年互礼会・学長挨拶』(2013年1月7日)では、森田学長自らが「若い学生に知的な感動を与え、彼らを学習、研究へと駆り立てること、その意味で、大学が地域の良き資源となることを目指した「COC(地(知)の拠点事業)」プロジェクトは今後の岡山大学の将来にとって、非常に重要な問題提起的事業になると思っています。
端的にいえば、学生を、大学と地域が共同して教育するというプロジェクトであり、地域が抱える現実の問題に学生の知的意欲を向けさせ、その中で学生自身の知的感性力を磨くというものです。」と宣言、そのために「岡山大学モデルといわれるような、現在、どこにも存在しない新しい高等教育モデルを作ることを目指してください」と、指示を受けました。これが、これからのキーワードとなる「グローバルスタンダードな実践型教育(グローバル実践知教育)」の土台になって参ります。その際に重視すべき点として、荒木理事が引用されたのが、平成24年8月28日の中央教育審議会『新たな未来を築くための、大學教育の質的転換に向けて』の報告から、大学教育が質的転換をはかるためには、「予測困難な時代における学士力の重要な要素」として、4つの柱があり、それは[1]答えのない問題に解を見出していく知性の涵養、[2]人間としての責務の自覚、他者への配慮、協調力と指導力、を発揮できる、倫理的、社会的能力、[3]知的総合力と構想力、[4]想定外の困難に際して的確な判断をするための基盤となる教養、知識、経験、であると定義付けています。
まず、こうした諸点が、UBCが展開しているCO-OPプログラムの基本理念と、どの程度合致しているのか、その作業を通じて共通軸と相違点(異分野・異社会・異文化)を認識すると同時に相互理解するプロセスこそが「対話」であると考えています。そのためには、UBCのCO-OPプログラム体系を、UBC側の実施理念・目的・狙いから、参加学生の意思・目的・狙い、さらには企業側のニーズにいたるまで詳細に整理・抽出して、現在の岡山大学の目指す、教育改革の目的・狙いはもとより、実践型教育の派遣先対象である県内企業、大企業、行政それぞれのニーズと比較して差異を明らかにする作業が第一歩・大前提となると考えています。そのためにはUBCを起点として、他の海外主要大学が実施している実践型教育のプログラムを調査分析する体制を学内に組成して、相手方をまずは知ることから始める必要があると思います。
この点については、荒木理事からは、「学校制度全体の見直し」として、学知(論証知、体系知、理論知)と実践知(蓋然知、個別的場での個別的判断知、生産・医療の現場の技術知)の両立的涵養が必要であり、従来のような受動的な教育の場の根本的転換、学ぶ方法の転換、そして、それを具現化するため、[1]アクティヴ・ラーニングへの転換、[2]授業前・授業後の転換を促す教育指導(学習時間)、[3]教室外学習プログラムの提供(インターンシップ、サービスラーニング)が、60分・クォーター制では必要となる点が必要であり、そうした諸点をベースに、地域社会・企業・留学の参画型教育の教育上の意義を確立すべし、との指示があり、まず「教養教育課程」では、[1]成熟社会における社会的自立と、自らの進路を深く考える力、[2]想定外、一義的な答えのない問題への対応力、[3]責任と社会的連帯の涵養、[4]気概、正しい方向性を持った強い知的・感性的意欲を念頭に置いた教育プログラムへの転換を目指します。
また、プログラムについては、[1]学生、[2]教員、[3]連携プログラム教員、[4]地域人、による4極体制、キャンパスとキャンパス外の統一カリキュラム、相互性(地域と大学、企業ニーズと大学シーズのマッチング、学生参加時における派遣先企業・組織との互恵性)、教員と派遣先による評価の2重構造、アセスメントとエバリュエーション、関係者に広く集まって頂くオープンハウスの実施、を条件にできるよう工夫するなどの諸点を勘案したプログラム作りに取り組んでおり、「給料をもらう」というカナダやアメリカでのCO-OPプログラムの実際を日本で受け入れられるかが、今後の大きな定着に向けた分水嶺になると認識しています。これらの課題を明らかにして、大学全体として大学改革の具体的な理念・目標の再認識とロードマップを描く必要があると思っています。
UBC会議

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