「商店街等調査事業」は岡山商工会議所・岡山市・岡山大学の3者で構成する岡山市経済戦略懇話会で力を合わせて実施展開してきました。イオンモール岡山の出店を控えて、この商店街等調査事業の結果をイオンと商店街や専門店との共存共栄に活かしたいと考えています。そのために機会を頂き、調査結果の内容と課題の解決策のヒントをお伝えするのが役目です。
6月2日は岡山市の呼びかけで、岡山市が予算を措置した政策パッケージの説明(岡山市資料参照)をふまえた講演を、6月5日は岡山県商店街振興組合連合会の総会、研修会を利用して調査結果の話をベースに、内外の都市で活き活きとまちづくりを進める事例をご紹介申し上げました。
▲ 6月2日の講演で説明した岡山市政策パッケージ図
さて、この調査では3つの調査を実施しました。分析は岡山大学の7名の教員が担当いたしました。まず、ひとつが商圏(消費購買動向)調査です。そこでは、岡山市の商圏がどのような構造になっているのかを調べました。その結果、岡山市内が中心で東備エリアが多いことがわかりました。備中エリア(県西エリア)は、すでに倉敷にイオンモールをはじめ大型商業施設があるため岡山市への来街者は少ない事実が判明しました。
▲ 6月5日に行った商店街連盟講演
また、来街者調査では、実際に岡山市に来た人を対象にその実態と回遊性を調べました。その結果、ショッピングが最大で駅前と天満屋ゾーンに明確に分かれていることが詳細に確認できました。岡山市が重視する回遊性を議論するベースとなる結果をえることができました。
▲ 商店街等調査事業の結果(2014年3月12日 報告用)。
こちらからPDF版[5.1MB]がご覧いただけます。
三番目の調査は商店街現況調査(組合・個店)です。そこでは、商店街の経営実態と課題ならびにイオン出店の影響を調べました。その結果、課題は「後継者不足」、「集客の核となる店舗がない(弱い)」、「魅力ある店舗が少ない」と続き、「商圏人口の減少」「空き店舗の増加」「店舗・設備などの老朽化」「駐車場・駐輪場不足」「空き店舗を賃貸しない」などが並びました。また、「貸す意志の無い店舗」については、「家賃補助・改装費などの補助」、「家主に対して賃貸の要請」、「情報発信による新規出店の促進」、「マイナスとなる店舗の出店/進出の抑制」が並びます。すなわち、商店街のメイン顧客はミドル・シニアの常連客が多く若者へのアプローチが弱い、後継者不足、空き店舗対策の弱さ、契約駐車場不足、カード戦略の弱さが浮き彫りになりました。また商店街の経営者の皆さんはイオンを驚異に感じていることが確認されました。
来街者の声では、駐車場の整備をはじめ、フルーツパフェを出すような若者向けの店、託児所の希望、商店街を楽しく ” ぶらぶら歩き ” できる工夫、若い主婦層、親子や孫世代と一緒に出かけられるスポットの整備など、多くの意見が寄せられました。こうしたわくわく感を共有できる魅力を演出して賑わいを創出する施策を考える方向を見出すべく、複数世代の発想で新しい商店街のカラーを醸成してゆく組織体制の実現が希求されます。
今回の調査結果を参考にして頂き、課題解決に向けた具体的な活動を一歩、一歩ながらスタートしてくださることを願っています。