地域の力『吉備野工房ちみち』

現在のわが国を取り巻く環境は厳しさを増しており、市民のニーズが多様化・高度化するなかで、地域社会が持続可能な役割を継続して維持するためには、市民参加による「協働」の推進が時代の趨勢です。さまざまな事象に格差が広がる不安な社会環境やNPOに代表される福祉、環境、まちづくり、子育て、雇用などの新たな社会問題やコミュニティが抱える課題に対して、自治体に任せきるのでなく企業等の営利セクターでもない「非営利セクター」の活動に期待が寄せられ、その存在の重要性が認められてきています。
こうした時代背景により、地域社会の担い手を育てる仕組みを創生しようとする流れがあります。そうした活動を地域社会へ普及させようとする取り組みが、総社市NPOの『吉備野工房ちみち』と慶応義塾大学大学院システム・デザインマネジメント研究科とのコラボレーション企画です。
6月1日、国民宿舎「サンロード吉備路」で開催された研究報告会のテーマは「地域システム・デザインマネジメント研究報告会~みちくさ小道から地域活性化へ~」です。メインテーマは「幸福度の定量化」という永遠の課題へのチャレンジでした。基調講演とした位置づけである前野隆司教授の「幸せに暮らすための地域づくりの秘訣」は、とても新鮮で目から鱗の連続でした。
地域システム・デザインマネジメント研究報告会
続くプログラムでは『吉備野工房ちみち』の一番の持ち味である「みちくさ小道」による「一人一品」運動の幅広い活動報告を興味深く聞かせていただきました。当然のことながら、会場は非営利活動を展開する方々や一般市民の皆さんですので、「幸福度の定量化」についての専門的な説明は浅い内容でした。この点は、研究論文そのものを拝読して内容の吟味に入らせていただきたいと感じました。ともあれ、非常にアクティブな野心的な研究報告会でありました(ワークショップがある午後のセッションは失礼させていただきました)。
岡山大学地域総合研究センターでは、現在の日本経済と社会を「歴史的転換点」と捉えています。実際、地域経済圏単位で個別事情は異なるも格差社会は拡大しており、人口減少が著しい県や地町村では地域経済は地盤沈下が続き、そうした地域は危機感を募らせています。大学も地域資源の一員として、行政や諸団体、経済界はもとより、非営利セクターと協働して地域社会のお役に立てるよう、学生を地域の現場へ送り出し、実践的な活動を展開して行く予定です。
加藤せいこ理事長はじめスタッフや関係者の皆さん、そして慶應義塾大学の先生方、貴重な学びをありがとうございました。岡山大学地域総合研究センターでは総社市山手地区社会福祉協議会が企画する総社市山手地区の「まち歩きマップ」を『吉備野工房ちみち』のご協力・ご指導を得て、学生たちが作成する活動を開始しました。皆様のご協力、ご指導をよろしくお願い申し上げます。
さて、総社市には、古墳群や備中国分寺などの歴史や文化遺産をはじめ、お楽しみの拠点が数々あります。そのひとつが、地元産の新鮮で安全、安心な野菜や果物が所狭しと並ぶ、JA山手直売所「ふれあいの里」です。ここのキャッチフレーズは『お客さまが待っている私の商品!』です。
山手直売所
朝8時30分のオープンには、大勢の人たちが開店を待ちます。ここの賑わいパワーは見事です。実は研究報告会の会場である「サンロード吉備路」でも、同じく朝8時30分から「サン直広場」と呼ばれる、総社産の農産物の直売所が開かれ、宿泊客はもちろん、大勢の来客で賑わいます。徒歩で10分とかからない2箇所に、こうした豊かな農産物や加工品の販売スポットが日常にある暮らしは、決して大都市では得ることのできない「幸福」であると言えましょう。


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