瀬戸内市牛窓港から小さなフェリーで前島に渡りました。風があったのですがお天気は良く、港でレンタル自転車を借りました。腕に自信はあるものの、はや一つ目の上り坂で情けないかな息切れです。上り坂あれば下り坂ありで、そのあとは海岸線をスイスイ快走して、次の急な上りまでは順調です。
▲ 島の風景
途中、思いの外、民家があり、海を見つめるように墓石が立ち並び、ちょっとした集落があるのに驚きました。出かける前は、とても小さな島で、ほとんど人は住んでいないと勝手に思い込んでいました。
自転車を走らせること20分ほどで、ハイキングコースの入口がありました。自転車を盗む人はおるまいと踏んで、入口に自転車をとめ、そこからは徒歩で山の斜面を登ることに。一汗、ふた汗かいたあたりで、大阪城の土台を立てるために切り出された、石切場跡がありました。
▲ ハイキングコース(左)と石切り場
池田藩など各藩が幕府に命ぜられ、その任を果たすために人足を島に集めて、藩の事業として巨大な石を切り出した、その当時の様子がリアルにうかがえます。何らかの理由により途中で作業が中止になったのでしょう。石ですから無理に保存しなくとも当時の姿をそのまま残しているのです。石の角に藩の印が刻んである石塊もあります。
さて、石切場をあとに、もうひと踏ん張り、頂上の展望台に到着です。そこからの展望は絶景です。360度見渡せる位置にあり、瀬戸内海の島々から、小豆島はすぐそばに、そして遠く屋島を望むことができました。しばらく景色を眺めながら小休止しました。風は冷たいのですが、爽やかです。
それから逆の斜面を下ることにしました。いろいろな鳥のさえずりが聞こえてきます。観光客の姿もなく、風が枝を揺らす音と、鳥のさえずり以外に音はありません。あとは自分の足音だけです。こんな体験は都市の生活では考えられません。時々、木立の切れ間から瀬戸内海の青と島々の緑が眼に飛び込んできます。
そして下ること30分、ようやく島の反対側の車道に降りてきました。ところが誤算は、歩けども歩けどもレンタル自転車をとめた場所まで着きません。時間に余裕はありましたので焦ることはないのですが、午後の日が陰るのは早くて、風も強くなってきました。手袋と帽子を置いてきたことを悔やみました。通るクルマもほとんどありません。このまま日が暮れたら参るなあ、そんな不安が心をよぎり始めた頃、ようやく目印としてチェックしていたカリヨンハウスが見えました。
▲ カリヨンハウス
さらに歩くと、斜面一面のキャベツ畑、そして最近の新聞が伝えた山火事の現場が出てきました。結構に広範囲で山火事があったことが分かりました。
▲ キャベツ畑
足が疲れを感じた頃、ようやくレンタル自転車発見。なんともうれしくなりました。
元気回復、急いで自転車を走らせ港に帰還。無事に待っていたフェリーに乗り込み牛窓港へ向かいました。船賃往復大人240円、レンタル自転車500円也。とても非日常的な体験に満足な一日となりました。