熊本市のまちづくり調査

熊本城
 ▲ 熊本城

12月20日(火)、熊本市のまちづくり調査に参りました。岡山大学18名、岡山市3名の総勢21名という大規模な編成で、熊本市、すきたい熊本協議会、熊本大学まちなか工房を訪問しました。
まず、最初の訪問先、熊本市では、九州新幹線の全線開通を受け、さらに来年4月に政令指定都市になる熊本市の中心エリアにおけるまちづくり施策に関して、関係する複数の部署にご参加いただき、多面的な意見交換をさせて頂きました。事前に政令指定都市や中心市街地活性化に関する6項目からなる質問状をお届けしており、それら各項目について丁寧な回答を頂きました。公務ご多忙のなかをディスカッションの時間も十分にとって頂きました。
熊本市中心市街地活性化基本計画では、熊本地区を[1]熊本駅周辺地区(陸の玄関口ゾーン)、[2]新町・古町地区(城下町風情ゾーン)、[3]熊本城地区(シンボル・歴史文化ゾーン)、[4]通町・桜町地区(商業・業務ゾーン)の4つにゾーニングし、それぞれの地区の事業の進捗状況について各種の調査統計資料に基づき紹介を頂きました。郊外に大型のショッピングセンターが次々と開業されるなかで、中心市街地の賑わいを維持・拡大するための行政施策が総合的に実施されているとの印象を受けました。全国的にも極めて健闘していると感じました。実際に岡山市(同じく政令指定都市)の中心市街地と比べると、商店街の人通りの多さに驚きました。また、市民の誇りである、名城熊本城をフルに活かした周辺住民と観光客の両方に配慮したバランスの取れた施策展開がなされている点も大いに参考となりました。さらに路面電車の定時・定速運行のための信号機の改良や景観を高めるための軌道緑化など、公共交通の利便性向上に関する取り組みも他県に比べ先進的であると感じました。
熊本市
 ▲ 熊本市(左)、すきたい熊本協議会(右)
次の訪問先は、すきたい熊本協議会です。”すきたい”とは、「好きたい=好きです=LOVE (方言)」です。この組織は、2008年8月に、熊本市役所でも紹介された郊外への大型商業施設出店計画の浮上による中心市街地衰退への危機感から発足した団体で、「商店街だけでなく行政、学校、企業が一体となって中心市街地の活性化について議論する場」として、地域の諸団体が互いに知恵と力を集中させてまちづくりに取り組む様子を紹介いただきました。その構成メンバーは、熊本市中心商店街等連合協議会、地元百貨店・企業、公共交通事業者、大学(熊本大工学部まちなか工房)、行政機関などであり、魅力ある施策提案を行っています(活動内容は下記関連リンクをご参照ください)。上通り商店街の代表も務める泉冬星会長のレクチャーは、中心市街地の変遷を西南の役や第二次世界大戦の戦災復興など歴史的な観点も織り込んだ、軽妙ななかにも含蓄と協働の必要性に対する説得力を込めたハイレベルな内容でした。泉冬星会長が呼びかけ人となり、大型商業施設出店への危機感をバネとして、それまで競い合っていた各商店街や百貨店を一つに結び付けたのです。こうしたリーダーシップを発揮する方の存在は、まちづくりには欠かせないと再認識させられました。
熊本大学まちなか工房
 ▲ 熊本大学まちなか工房
最後に熊本大学まちなか工房を訪問しました。2005年5月に、工学部を主体にまちづくりを通した地域貢献の拠点として開設されたまちなか工房は、上通り商店街のアーケードを抜けた通りの商業ビル2Fに120㎡の広さ(12席の研究スペースと40人収容の展示スペース)を持つ熊本大学の”まちなか拠点”です。そこでは、教員や学生の皆さんが、中心市街地を様々なオリジナリティに富んだ観察調査を展開しながら、個性的で魅力的な「まちづくり」について学び、実践活動を展開しています。特に、先に訪問した、すきたい熊本協議会との連携による、「大型店立地による地域交通への影響評価」では、大型店の進出を食い止める成果をあげ、さらに「都心結節とまちづくりを考える交通社会実験」では、LRTの延長計画を提案するなど、その活動には目を見張るものがあります。こうした大学の専門性を活かして地域の団体や行政と深く関わりながら地域に貢献する姿は、これから岡山のまちづくりに参画しようと準備を進める私たちに勇気を与えてくれました。
クマもん
 ▲ 熊本市商店街(左)、クマもん(右)
三か所の訪問を経て、帰路につきました。商店街の出口で、全国の「ゆるキャラグランプリ2011」で優勝した”くまモン”を発見しました。くまモンは九州新幹線全線開業に合わせて機運を盛り上げる「くまもとサプライズ」運動の一環として生まれたキャラクターです。若い女性を中心に大勢の携帯カメラが向けられていました。
商店街のアーケードを彩るクリスマスネオンや熊本城を背景に走る路面電車の雄姿を眺めながら、多くの皆さんのまちづくりへの情熱と行動があって、この光景が実現しているのだと感慨もひとしおでした。
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私たちの訪問を温かく迎えて下さった熊本の皆様に深く感謝です。

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