8月7日、一般財団法人地域公共交通総合研究所主催で公共交通シンポジウム「交通政策基本法、地域公共交通活性化・再生法の改正で地域の足を守るために、今、何をなすべきか?」が、岡山国際交流センター2階(国際会議場)にて開催されました。
冒頭、小嶋光信理事長より、2012年秋の井笠鉄道(株)の経営破綻と再生についての要諦、地元自治体と住民、公共交通事業者努力で地域の足が守られたこと。そして、長きに渡り審議されてきた「交通(政策)基本法」が2013年成立、今年5月には「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案」が国会で成立したことを受け、この法律への実践的な対応が必要であるとの問題提起がなされました。
続いて話題提供された東京大学大学院兼政策研究大学院大学教授の家田仁先生のお話『基本法のキモはどこに? 〜国民・情報・見える化〜』は、切れ味鋭く、さらに名古屋大学大学院 准教授の加藤 博和先生の講話『意識共有・役割分担・連携協働が地域公共交通を持続可能とする〜新しい法制度をかしこく活用せよ〜地域公共交通破綻の危機をいかに回避するか?』も深層に迫るすばらしい内容でした。
また、パネルディスカッションでは、井笠鉄道(株)の経営破綻に際して、自治体当事者であった三島紀元笠岡市長が登壇され、当時の状況と苦悩を克明に吐露されました。さらにパネリストとして、 講演された家田仁先生、加藤博和先生の他に、東京大学大学院教授の鎌田実先生、京都大学大学院特定教授の土井勉先生が加わられ、小嶋光信理事長の進行により本音トークがなされました。最後に、公務の関係で到着が遅れた、国土交通省総合政策局公共交通政策部長の藤井 直樹氏の講演で結ばれました。
公共交通の課題は、国、地方公共団体、事業者と国民の役割分担と連携・協働のあり方を起点として、事業者任せにされてきた公共交通システムの運営・維持・発展シナリオを、ステークホールダー全員がそれぞれの立場から自らのこととしてとらえ、具体的な役割分担を行うことが重要であり、その具現化に向けて踏み出すことがシンポジウムで確認されたといえましょう。