西日本豪雨災害から6年


7月が来るたびに、西日本豪雨災害を思い出します。
あれから6年が経ちました。
ハード面での復興は、小田川の付け替え工事や復興防災公園の完成で、一応の完了であると言っても良いと思います。これからはソフト面での地域の皆さんによる地域の再生活動が加速化することを祈念しているところです。
倉敷市さんが、復興を振り返り、さらに未来を見つけることを目的とした「復興への記録集」を制作されることとなり、7月5日、倉敷市の担当者さんと編集を担当される山陽新聞社さんが来学されインタビューを受けました。
持論として、次のようなコメントをさせて頂きました。
市民協働によるコミュニティの活性化と、私たちが災害やパンデミックに負けずに自由な生活を営む意志には、本来、人間が持つ「生存権」や「幸福権」への自然本源的な欲求が原動力となっています。そして復興活動が、行政の助けを借りながら市民の強い意志により実践され、生きるための様々な創意工夫のもとで復興を実現してこられました。ようやく河川の修復と陸路は整備され、真備地域のライフラインは新たな姿をみせ、ハード面での復興は、「人間の生きる礎」そのものとして蘇りました。ところが、人口減少、少子高齢社会にあっては、社会活動や経済活動自体が様々な制約を受けつつあります。今後は、地域社会の持続に向けて、「公」としての国や自治体、「民」としての事業者や市民が、果たすべき責務とその範囲を決め、このかけがえのない歴史・文化、芸術・自然景観を活かしながら、防災、減災活動はもとより、市民が協働して衆議を重ね、そこに集まる人たちが知恵と経験を持ち寄り、力を合わせて創意と実践を繰り返す活動が大切になります。
すなわち、それが「地域共創」であり、「ふるさと」を持続的、安定的に維持する社会的共通資本(Social Common Capital)の整備につながると思料します。
そこでは、地域人(ちいきびと)自らが、新たな魅力や地域の価値を共に創り上げ、磨き上げるために、もう一歩前に踏み出す「勇気」と「覚悟」を持つことが希求されています。
災害の記憶を風化させないためにも「復興への記録集」の刊行を心待ちにさせて頂きます。