わが国が進める民間活力活用による地方創生と2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を契機としたスポーツを活用した地域の産業や観光の活性化に向けて、産官学民連携による具体的な取組みが全国で展開されています。岡山にもプロスポーツやアマチュアスポーツが盛んで、県内外はもとより海外からも多くの観客が来岡しています。
この岡山が持つ天の利、地の利と、この集客力を活かして、宿泊、飲食、土産物、特産品、観光、アフターコンベンションなどの、スポーツ振興をきっかけに更なる産業振興や観光振興の力を伸ばし、観光事業を推進することを目指して、ストーリー性の高い事業モデルを検討し、地域全体が潤う産業・観光施策を推進する好機が到来していいます。さて、プロバレーボール女子チームの岡山シーガルズは、大企業チームと異なり、専用練習場や優先して使えるアリーナを持てないなかで、岡山の地域が支えるクラブチームとして活躍を続けています。このオリンピックメダリストを擁する岡山シーガルズは、公式試合のみならず、岩手県から鹿児島県まで幅広い高校チームの合宿を受け入れ指導にあたり、また、県内外で子供向けバレーボール教室は年間200回を超えて開催しています。地域と共に歩むクラブチームとしての社会貢献マインドから、バレーボール教室の依頼には極力応える方針で、多い日には同時に3箇所で手分けして開催することもあります。
こうしたバレーボール教室は、地域密着のクラブチームだからこそ成しえる日本で唯一の活動といえ、メダリストを含むトップチーム選手や指導者が、ここまで社会貢献活動を本気で実施する事例は他にありません。明日を担う子供たちに、世界を見せ、将来への夢を育むきっかけ作りを行い、健全な身体と精神を涵養する活動です。
加えて岡山シーガルズは、ナショナルチームの招聘にも数多くの実績を誇ります。一般的に大企業が所有するチームは、手間と費用がかかるため海外からの受入れに消極的です。Ⅴリーグ(一般社団法人日本バレーボールリーグ機構)によれば、世界のトップリーグで世界の加盟国数218カ国のなか、日本女子バレーボールは世界ランク6位、この実績の一翼を担う岡山シーガルズの観客の受け入れ実績は、有料入場者数が年間約2万人、合宿だけでも子供たちだけで8,500泊の実績があります。
このチームの顧問を岡山大学としてお受けして2年程がたちました。ようやくオール岡山の体制(産官学医金言士民など)で、念願の専用練習場、優先して利用できるアリーナ建設に向けた検討を開始する運びとなりました。2月16日、岡山経済5団体で構成する岡山県経済団体連絡協議会(中島博会長)は、経済界連名で岡山市庁舎建替えに合わせたアリーナと産官学による複合施設を併設する提言書を、オール岡山を代表して、大森雅夫岡山市長ならびに宮武博岡山市議会議長に提出いたしました。アリーナと産官学による複合施設は民間主導で建設する予定です。
恥ずかしながら、私の専門は金融とコミュニティ政策、バレーボールについては、全くの素人で、無礼ながら、未だに選手のお名前も十分には存じ上げません。当初、シーガルズファンやスポーツ専門家の方など、周辺からご批判やご心配を頂きましたが、提言書作成に向けた合意形成や提言書の執筆作業を、岡山シーガルズ顧問と岡山大学の社会貢献活動の立場から、精力的にお手伝いいたしました。
さて、物事、評論家は多いが土壇場になると、まとまらない、と言われる岡山県民です。ところが岡山シーガルズさんへの応援の声は、私の予想を遙かに超えて素晴らしく、その皆様方のご協力・ご尽力により、合意形成は順調に進み、経済界から岡山市長への提言書の提出に1年ほどでこぎつけました。建設用地の必要面積や民間主導による建設資金集めの手法など、課題は多いのですが、いよいよスポーツを起点にした、まちづくり、地方創生の具体的な検討ステージに入ります。
2月17日、18日、岡山シーガルズは、地元岡山に対戦チームを向かえて公式戦、2戦とも勝利しました。バレーボール女子チャレンジリーグでは現在1位です。こうしたなか、東京の自宅でオリンピックを応援、また、お気に入りのコースで散歩を楽しみながら、これまでの取組みを振り返りながら、一橋大学国立キャンパスで、はや満開の梅の香を楽しみ気分転換をいたしました。また、東京を中心に全国へ人気が広がりつつある、国立市が発祥の「スタ丼」の店を訪ねました。大学時代から通い続けて40年、久しぶりにパワーを充填しました。 羽生結弦選手の金メダル獲得に感激しながら、2020東京オリパラを目標に設定して、岡山シーガルズの岡山での持続的な定着と優先して利用できるアリーナ建設に向けた次のシナリオ作りを整えつつ、市民の皆様の合意形成に向けて邁進したいと思います。全国の皆様方の応援とご支援をお願い申し上げます。