トヨタ生産方式と地方創生

夏休み前、8月1日、教養科目「現代コミュニティと地域創生」最後の授業は、40年以上にわたりトヨタ自動車に勤務、トヨタ生産方式で、ものづくり現場の改善に携わってこられた濱松史郎先生を、愛知から講師にお招きして、トヨタのノウハウを棚田の再生支援に活かすという内容で特別講義をお願いいたしました。

製造業のノウハウを農業の現場に活かすことができるのか、150名を超える学生たちは興味津々で聞き入りました。

まず、ものの見方を整理して情報処理を助けるという「フレームワーク」の考え方、次に「ものづくり」とは「設計情報を創造し、媒体に転写すること」という東京大学大学院経済学研究科藤本隆宏教授の提唱された「ものづくり観」の説明、その「設計情報」を要素に分解した定義と、それを支える根幹は「人財育成」にあるとの明快な解説、そして本日の講義の肝である「ジャストインタイム」と「自働化」(異常があったら止まる・分かるという意味の自働化)について、それを「建築物=家」に見立て、わかり易くご指導いただきました。そして業務プロセスを「標準化」をすることにより「作業原単位」や「工程」が明確になり「平準化」の環境を整えることにより、「後工程引取り」と「サイクリックオペレーション」が可能となり「見える化」も実現するという結論を提起してくださいました。

また、実際の農業の生産現場でトヨタ生産方式を駆使して、収益を飛躍的に向上された具体事例と棚田再生支援への展開手法をご披露いただき結ばれました。

トヨタモビリティ基金では、この手法を実際に美作市上山地区の棚田の再生に向けた支援活動を通じて地方創生に貢献される予定です。岡山大学からも数名の学生が、この活動でトヨタ生産方式を学ばせて頂く予定です。

その昔、トヨタの研究所に、しばらく在籍した当初、藤本先生の著書で学んだ思い出がよみがえりました。