「岐路に立つ図書館運営」(NHK)


従来、図書館の機能は「教育機能」と「情報提供機能」の2つと言われてきました。2月8日、NHK岡山放送局の夕方のニュース番組「もぎたて」では、民間のアイデアや発想を活かしてオープンした高梁市図書館と、あくまで自治体で地域と一体運営にこだわる瀬戸内市図書館をとり上げ、「岐路に立つ図書館運営」というタイトルで、双方の比較がされました。

そのなかでは、従来の図書館機能を前提としながら、地域の「知」の拠点として、また、コミュニティの核として新たな図書館を位置づけようとする姿が浮き彫りにされました。

図書館そのもののあり方を検討する視点をミクロとすれば、地方創生の潮流や人口減少、少子化に歯止めをかける装置・役割としての視点をマクロとして、議論する必要があると申し上げました。民間委託か自治体運営かという比較の論点は、決して無意味とは申しませんが、それよりもアーバンデザイン、シビックプライドなど、活用主体である住民にとっての価値を幅広な観点から議論してゆき、それを汲み上げながら、利用者にとって「知」の憩いの場であり、「自己研鑽」の場であり、情報を得る場であることはもとより、子育て支援の場であったり、知的市民交流の場であったり、地域資源の発信やマッチングの場であるなど、さまざまな機能が求められる時代であると思います。

すなわち、図書館単体の機能論の域を超えて、地域にとって、その地域が持つ歴史や文化、風土や住環境を踏まえたうえで、自治体が直面する課題の解決や未来への都市の目指すべき道筋の線上に図書館があり、如何なる役割を果たすのか、その舞台としての図書館の議論が求められると思います。もちろん、演者としての主役は子供たちや市民です。

高梁市図書館、瀬戸内市図書館のオープン、その陰で関係者により多くの議論が尽くされたご苦労・ご腐心を垣間見ることができた番組でした。

(取材は1時間近かったのですが、出番は数十秒(笑)、ただ、解説者が、小職の持論を咀嚼(そしゃく)して、まとめてお伝え頂いたと思います。地方創生とインフラ投資にはますます創意工夫、市民参加、そして維持管理コストの議論が求められる時代であります。