新見神郷地区森林ボランティア[2]


9月7日、2週間目を迎える森林ボランティア活動の様子を見に現地へ参りました(9月1日に訪れた際の記事はこちら)。

最初に伐倒を始めた地点には、人影は無く、倒木された木が並びます。急な斜面を山上のほうへ登りながら、活動する学生たちを探します。昨日までの雨の影響もあり、足場がぬかるみます。普段、運動不足で慣れない老骨に鞭を打ちながら、滑らぬように歩みを進めます。湿度が高いこともあり、汗がじわりと首筋を伝い、背中へとにじんできます。そうこうするうちに、ようやくチェーンソーの音が聞こえ始めます。その音に誘われるように山肌を進むと、山頂近くに学生たちの姿を発見しました。

樹齢何年物の檜でしょうか、ずいぶんと大物にアタックしています。安全を考え、現場の上手まで行き足場を固めて、その作業を見守ります。学生たちは、伐倒する方向が狂わないようにプロの皆さんにご指導を仰ぎながら、注意深く作業を進めます。その動作やポジションを決めたときの体勢は、初めてチェーンソーを手にした初日と比べ、明らかに度に入っており、安心して見られます。

そして、チェーンソーの音が止み、静寂が山を包むなか、巨木は重力に引っ張られるようにして自らの重みで、ゆっくりと大きな音を立てて倒れてゆきます。枝が近くの木々の枝に当たります。この枝同士が、かかってしまいますと、「かかり木」といって、途中で引っかかり倒木できない状態になってしまうことがあります。今回の視察中はすべて大丈夫で、巨木は想定どおりのコースに向けて倒れました。斜面に着いた瞬間、その重みが発するエネルギーは凄まじく、地鳴りとでも言いましょうか、大地を伝い「ドーン」という地響きが辺り一面にこだまします。伐倒する方向も読み通り、それを確認して再び静寂が戻った瞬間、今度は「よおし!」という満足した歓声とみんなの笑顔、初日と比べ物にならないくらい、学生たちの動きは山に慣れていて、そして顔つきも引き締まっています。

大学の教室での座学では、決して教えることのできない、理論や理屈を超えた貴重な学びの時間であります。

岡山県の皆さんも大勢が現地入りをされていて、彼らやご指導頂いている地域おこし協力隊、そして主催のNPO人杜守(ひとともり)の皆さんと、しばし意見交換や雑談をさせて頂きました。

こうして、しばらく様子を観察させて頂き、体調を崩した学生がいるというので、神郷温泉にある宿舎へ回ることにいたしました。寝ていたようなのですが、起きてもらい様子をヒアリング、たいしたことは無いというので一安心です。

実践型の活動では、学生たちの健康と安全が一番気がかりであります。

残された期間、病気や怪我の無いようにボランティア活動にあたって欲しいと願いつつ帰路につきました。