瀬戸内市で学ぶ

先日の岡山放送の番組審議会で、5月17日に放送された、瀬戸内市長島にあるハンセン病療養所での入所者への非人道的な対応をテーマとした番組「幾千のときを超えて」の審議がされました。

お盆前の8月12日、夏の休日を利用して、久しぶりに長島の国立療養所長島愛生園歴史館を訪問しました。この療養所は1930年に開設されていますので、100年近い歴史を有しています。
いつもは学生を引率しての見学となりますので、自ら考える時間が少ないのですが、今回はゆっくりと時間をかけて歴史館の館内を見学させて頂きました。
これまでもハンセン病に足する正しい医療医学の知識が低かったために、この病気はライ病として、長い間、罹患者だけでなく家族や親せきまでが、不当な差別や人権問題にさいなまれてきました。さらに、今回の岡山放送の特別番組では、岡山県にある2つのハンセン病療養所で、入所者を解剖していたことを示す1834人の「解剖録」の存在が明らかになった事実を伝える内容でした。この番組では、解剖が明らかに入所者の人権を無視した人としての尊厳を揺るがす問題であることを、多くの関係者の証言や資料を使ってドキュメント番組として伝えたのです。
この視点は、これまでの知識や情報としては知りえない事実でしたので、その観点から、もう一度、歴史館を見学いたしましたら、その入所者や家族の皆さんの無念さが、改めてこみあげてくる思いでありました。

医学の進歩により、現在では、ハンセン病は治癒する病気であり、ここ数年は日本においての発症の報告もなく推移しているようです。人権問題は、こうした病気による差別はもとより、今回のパンデミックとして対策が続けられる新型コロナ災禍、さらには多文化共生が言われる世界にあっても根強く残る人種差別、そして女性蔑視やマイノリティへの差別など、なかなか解決が困難な社会のテーマとして、私たちの生活の中に横たわっています。
さて、長島におられる入居者の皆様も高齢化がすすみ、入居されている方の数は減りつつあります。
しかし、私たちは、長島愛生園の歩みと同園が掲げておられる方針に耳を傾けて、ここでの入居者の皆さんの歴史はもちろん、そのお世話をされてきた医師や看護師、様々な関係者の皆さんの努力を忘れずに後世に伝え、未来につなぐ責任があると思います。

長島の海は青く、晴れた空には大きな入道雲が沸き立っています。
この豊かな自然に恵まれながらも、筆舌しがたい人道差別を伴う厳しい環境を生き抜いてこられた皆様、そして厳しい環境だからこそ、励まし、支援し続けてこられた皆様が、今日まで積み上げてこられた大切な歴史と足跡に学び、わたしたちは真の意味での人の幸福とは何かを考えながら、SDGs活動を実践して参ることが、とても大切であると改めて確信した次第です。

長島愛生園が掲げておられる基本方針

1. 入所者の名誉と権利をまもります
2. 安心で信頼されるチーム医療を提供します
3. 介護予防活動によるQOLの向上をめざします
4. 職員の教育・研修に努めます
5. ハンセン病の啓発活動を実践します
(出典:国立療養所長島愛生園ホームページより)