G7倉敷労働雇用大臣会合

G7サミット(主要国首脳会議)は、フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ(議長国順)の7か国、及び欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催される国際会議です。世界経済、地域情勢、様々な地球規模課題を始めとするその時々の国際社会における重要な課題について、自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有するG7各国の首脳が自由闊達な意見交換を行い、その成果を文書にまとめ公表します。

今回のG7では、倉敷市において「労働雇用大臣会合」が、4月22日と23日の2日間、開催され、開催前日の4月21日、夕方から、倉敷市美術館を会場として開催された、ウエルカムレセプションに、岡山大学からは、那須保友学長がお招きを頂き、わたくしも帯同させて頂きました。

レセプション本番では、各国大臣や国連ILOの事務局長など、労働雇用分野の責任者である要人を前に、伊東香織倉敷市長が、誠に流暢な英語でスピーチをされました。
素晴らしい発音に驚きました。
伊原木隆太岡山県知事挨拶、井上峰一倉敷商工会議所会頭の乾杯で幕開けしました。
会場には、岡山を代表する政治家、経済人、文化人、学識経験者などが招かれ、倉敷市の伝統芸能でお迎え、岡山産のヒノキを使った枡に地元の日本酒で乾杯、食事も岡山祭り寿司、鰆はじめ瀬戸内の魚、地元の連島牛蒡の煮つけなど、岡山県発で日本の食文化をお伝えいたしました。

さて、この度のG7労働雇用大臣会合の論点は下記です。

  • G7各国が生産年齢人口の鈍化(減少)に直面する中、「人」の重要性はますます高まっている。
  • 人的資本に注目して経済活力を維持していくことは、G7諸国に共通の課題である。
  • 社会・経済の変化に即した人的資本投資と、性別や年齢等に関わらず本人の意欲・能力に応じて活躍できる環境の整備が重要である。

そして、以下を論点に議論を行いました。

  • 労働市場のレジリエンスの涵養
    • 1-1 ポストコロナや現下の課題に対応した労働市場政策
    • 1-2 デジタル化・グリーン化による産業構造変化への対応と人的資本への投資
  • 包摂的な労働市場の整備
  • ワーク・エンゲージメントの向上とディーセント・ワークの推進

後学のために厚生労働省のHPを引用させて頂きます。
「G7各国が直面する人口動態変化、DX (デジタル・トランスフォーメーション)、GX (グリーン・トランスフォーメーション)を背景に対応の重要性が増している「人への投資」について議論がなされ、「人への投資」の中心となるリスキリングは、働く人への支援という位置づけのみならず、生産性 向上や賃上げにつながるとの観点から、「経費」ではなく「投資」であるとの理解を、G7の共通認識として確認。各国において積極的に取り組みを進める必要性があることを合意。 働く人がDX/GXによる産業構造変化に柔軟に対応して誰にとっても公正な形で新しい社会への移行が進むよう、そしてパンデミックの影響を強く受けた層や訓練機会へのアクセスが限られる層を取り残すことなく人への投資が行われるよう取り組むことについて、G7労働雇用大臣の決意を示した。

(副議題1-1関係)
コロナ下の雇用支援の振り返りでは、各国において既存施策の拡充や新規施策の実施に よりおおむね成功裡に対策が行われたものの、予期せぬ財政支出につながったケースもあるとの認識に立ち、 ①今般の対策を検証し 、危機対応時の timely, targeted, temporaryな対応の教訓を活かして社会的保護制度の持続可能性に損なうことのないよう対応する必要があること、②国家経済や国民生活の基礎となる産業については雇用対策と併せて個別的な産業政策を講じること、が重要との認識。 (副議題1-2関係) DX/GXを踏まえた人への投資については、生産性の向上など大きな可能性が見込まれる一方で機会に恵まれない労働者が取り残されるリスクやスキル労働者不足の懸念があることを指摘。特定のグループや産業分野にも留意した訓練機会の確保を図り、十分な賃上げや、本人の希望に沿った社内外の成長分野への労働移動の後押しに取り組む決意を述べた。 また、労働者本人のモチベーション維持を図るための方策や、訓練に充てる時間の確保など企業側の配慮の必要性を指摘した。
(副議題2関係)
包摂的な労働市場の整備については、年齢に応じて変化する働き方ニーズに寄り添った対応や、障害者雇用の「質」に留意した支援に取り組む姿勢を示した。また、無償ケア労働に関する女性の役割のアンコンシャスバイアスの解消や共働き共育てモデルの構築、若年者支援における教育から労働市場への移行の円滑化の重要性も指摘された。G7各国の多国籍企業等が高齢者や障害者等の雇用促進における役割も認識した。
(副議題3関係)
ワークエンゲージメント(WE)の向上が生産性にも資するとの共通理解に立ち、その 要素として、自律性、仕事の多様性、仕事の重要性、働く人の健康とウェルビーイング、 組織内で評価を受けること、適切な給与、昇進機会などを指摘。WE向上のために、格差 の是正、適切な賃金の確保、労働安全衛生の確保及び女性特有の健康課題に対応した労務 管理、職場における健康の促進、キャリア形成支援、ケア労働の仕事の質の向上などに取 り組む必要があるとの認識を示した。「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に示された5つの基本原則に取り組む決意を示し、社会対話の尊重を認識。グローバルサプライチェーンにおけるディーセント・ワーク確保に向けて、昨年のG7合意に引き続き取り組みを進めること、技術協力を進めるとの方針で一致。」

岡山大学では、今回のG7労働雇用大臣会合を受けて、時を移さず関連のシンポジウムや研究開発に取り組む予定です。
詳しくは、都度、ご紹介して参ります。
お招きいただきました、倉敷市に感謝です。