1月4日は、朝から岡山大学本部棟6階にて、新年を祝う互礼会があり槇野博史学長から新年の挨拶と訓示を受けました。
そして教職員の皆さんと初春の賀詞交換をさせて頂き、事務所へ戻り、社会連携課の職員の皆さんと新年を祝いました。そして仕事始めとして夜まで初仕事を頑張りました。
1月5日は、縁ある方々と、西川緑道界隈で、小さいながら新宴会として、夕食を共にさせて頂きました。なかなか先が見えにくい時代ですし、新型コロナ災禍も行動規制が緩和されたとは申せ、油断できないほどに感染者数が急増しています。こうしたなかで大学改革も待ったなしのところまで来ています。一方で、定年まであと2年となり、最後までつとめあげられるように健康管理も自己責任で留意せねばなりません。こうした話題で、岡山での新年のスタートといたしました。
槇野学長の新年のあいさつを紹介します。
皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。皆さんはお正月をどのように過ごされたでしょうか?私は穏やかなお正月を迎えました。
元旦には氏神様のとかくし様に初詣に行き、おみくじを引くと大吉であり、縁起が良い年になりそうです。
さて、昨年は様々な「長引く」出来事が続く1年でした。長引くコロナ禍、長引く国際紛争、長引く気象災害、そして長引く国や文化、宗教などを背景とした人々の分断や経済不安が、私たちの予測を超えて、日常の至る所に深刻な影響を及ぼし続けた2022年であったという印象が、私には強く残っています。岡山大学も例外ではなく、コロナ禍と電気料金の高騰は、教育・研究はもちろん大学病院経営にも大きな影響を与え、学生はもちろんですが、教職員の皆さんもストレスが続く中で様々なご苦労をおかけしました。
だからこそ、新たな2023年は、「ありたい未来」という共通のビジョンに向かって、力強く連携・協働することで、様々な困難を乗り越えていく世界、地域、そして岡山大学でありたいと思います。そのためのキーワードが「トランスフォーム」です。
私は、昨年11月末、サッカー・ワールドカップで日本代表がコスタリカに敗れた直後に、国連平和大学で開催された地球憲章国際会議に招待され、岡山市と姉妹都市であるコスタリカのサンホセを訪れておりました。世界の賢人たちが集まる理事会の席上で私は、本学がESDの拠点やアジア初のユネスコチェアに選ばれたこと、第一回ジャパンSDGsアワードの受賞や2019年ニューヨーク国連本部のハイレベル政治フォラームでの講演並びにUNCTADとの包括連携協定締結、更には核の平和利用であるがん治療の中性子医療分野における初のIAEA協働センターに指定されたことなど、プラネタリーヘルスのコンセプトに基づく本学SDGsの諸活動について紹介いたしました。本学が、SDGs大学経営の下、大学組織をしなやかに「トランスフォーム」させ、地域や国際機関等と協働しながら全学を挙げてSDGsに取り組んできた事について、会議参加者の皆さんから高い評価をいただきました。
会議の締めくくりのセッションにおいては、今年のメインテーマが「プラネタリー・ウェルビーイング」であり、長い歴史を有する「地球憲章」と「次世代の夢と希望」が発展的に統合していくことによって、新たなインスピレーションが生まれる可能性があるとの話がありました。それは、昨年9月の国連総会で、国連事務局に若者を中心とする「国連ユースオフィス」の設置に期待したものでしょう。国連のあらゆる政策決定プロセスに、国や地域という枠組みを超えて「次世代」が参画するシステムの誕生は、歴史的な採択といえます。次世代、「Z世代」の皆さんの参画が、これからの社会の変容、「トランスフォーム」していく上での大きなカギであるという認識は世界的な潮流であると確認することができました。
私が学長を拝命して5年と9ヵ月が経ちました。SDGs大学経営の下で、最大のステークホルダーである学生さんの学びを豊かにし、夢を育み、それを支援することを責務と考えてきました。IB入試やグローバル・ディスカバリー・プログラムの設置による多様性の確保と、SDGsアンバサダーによる自分ごとSDGs活動、ヤングダボス会議とも呼ばれているOne Young Worldへの学生派遣、未来懇談会への学生の参加、データサイエンス(DS)部の活躍と学生発ベンチャー支援など学生たちが主体的に活躍する場を提供する中で、「トランスフォーム」を担う学生たちが育ちつつあると実感しています。
今後ますます深刻になりつつあるこのVUCA時代において、未来のありたい姿を目指して大きく成長する岡山大学を実現するためには、これまでの流れや考え方にとらわれず、「人類社会の持続的進化のための新たなパラダイム構築」という本学の目的の下、今まで以上に本学の次世代を担うZ世代の若い教職員・学生の意見や感覚をしっかりと活かせる組織ガバナンス並びに教学マネジメントシステムへのしなやか且つ大胆なトランスフォームが必要だと考えます。簡単なことではありませんが、今回の地球憲章国際会議のように、世界の6大陸から集った多様なメンバーが目的を共有し、志を一つにして建設的な意見を出し合うことができれば、道が拓かれると思います。
学生の皆さんと全ての教職員と大学執行部とが、気持ちと力を一つにし、地域社会そして世界からの期待に応えることを通じて、「ありたい未来を共に育み、共に創る研究大学」の道をしっかりと歩んで参りましょう。本年も宜しくお願い申し上げます。
令和5年1月4日
岡山大学 学長 槇野 博史