ボルドー訪問③中心市街地見学

市街地へ戻り、10時半にホテルで岡山大学からボルドー大学へ留学している学生と待ち合わせして、まちを案内頂きながら生活の様子をお聞きしました。休日ですので、ユネスコ世界遺産に指定されている中心市街地を徒歩とトラムで散策しながら、まずはブルス広場にある国立税関博物館を拝観しました。旧大蔵省の公益法人に長く勤務していましたので、関税局の業務についても少しかかわった経験があります。ここ国立税関博物館は、フランスで最も古い役所のひとつとされ、長い関税の歴史を雄弁に語る展示品が数多く拝見することができました。輸入品の重さを量る巨大な天秤量り、数多くの特殊な道具類、密輸業者の摘発や偽造品検査の資料、アヘン吸引器具からライオンのはく製まで、誠に興味深く拝観させて頂きました。

次は、アキテーヌ美術館へご案内いただきました。ここは先史時代や古代の人類の起源とも言える数々の遺跡をスタートしてから、有史以降のボルドーの歴史の足跡を部屋ごとに見学できるコースとなっていました。また、アキテーヌ博物館は別名「文明博物館」とも呼ばれ、16世紀の哲学者のミシェル・ドゥ・モンテーニュ(Michel de Montaigne)が、墓碑棺から発掘、とりだされる現場の映像が流されていました。博物館となる前、この建物はモンテーニュの思想を源流としたボルドー大学の教養・人文学部として使用されていたと教えて頂きました。
また、ここボルドーは大航海時代に大いに繁栄した都市です。アフリカ大陸から持ち帰った品々や奴隷船が着く港でしたので、奴隷貿易時代の実際の様子を残した絵や資料の数々が展示され、克明に理解することができました。

アキテーヌ美術館を後に、徒歩でサン・タンドレ大聖堂と鐘楼ペイ・ベルラン塔へ参りました。ボルドー市の観光HPによれば「ボルドー市庁舎の直ぐ近くに聳え立つ、ボルドーで最も美しい宗教的建造物では、かつて多くのロイヤル・ウェディングや盛大な葬儀が行われていました。大聖堂の隣には鐘楼ペイ・ベルラン塔があり、塔の上からは雄大な景観を一望することができます。王室御用達の大聖堂では、この大聖堂の外観を見ると、イル・ド・フランスにある大聖堂とは明らかに異なっているのが分かります。アミアン・ノートルダム大聖堂やシャルトル大聖堂、ランス・ノートルダム大聖堂等と比べることは難しいですが、その一方で、サン・タンドレ大聖堂の独特な外観は鐘楼を別にすることで、どこか独創的で魅力的な面を持っています。聖堂では、1137年にアリエノール・ダキテーヌと後のフランス国王であるルイ7世との婚礼が行われ、その5世紀後にはアンヌ・ドートリッシュとルイ13世の婚儀も行われました。フランス革命の最中、大聖堂は秣場として使用されていました。聖堂の悲運はこれだけにとどまらず、19世紀には大規模な火災被害を受けました。大聖堂内部にあった家具は焼失してしまったため、廃墟となった教会から集められた家財を再使用しなければなりませんでした。身廊の北側壁面に位置する「王の扉口(Portail Royal)」では、13世紀最高傑作のゴシック様式を見ることができます。扉口は再建されるにつれ、本来の姿を取り戻すことができました。また、他の大聖堂と同様、人々が目ですぐ認識できるように彫刻には明るい色が施されています。
ペイ・ベルラン広場にあるサン=タンドレ大聖堂は「パレロアン (Palais Rohan)」というボルドー市庁舎の目の前にあり、ボルドーの旧市街と新市街の境目に建っています。大聖堂とは離れた位置に建てられた鐘楼、この12世紀に建てられた大聖堂は、低音の大鐘の重さを支えられるほど頑丈なものではありませんでした。1440年に聖堂とは別の場所に鐘楼が建てられたのはそのためです。こうしてボルドーで最も高い建造物、ペイ・ベルラン塔が誕生しました。もともと塔の屋根の先端は細く尖っていましたが、1617年に起きた暴風雨によって折れてしまったため、代わりに十字架が先端部分に取り付けられました。また、1863年にはドネ枢機卿により、ノートルダム・ダキテーヌの聖母子像が頂上に設けられました。1853年には、重さ11トンの大鐘が塔に設置されました。この大鐘は、フランスで4番目の大きさを誇ります。塔の最上階(地上50m)までは229段もの階段を登る必要がありますが、そこでしか見ることのできないボルドーの街並みや建物は必見です。ペイ・ベルラン塔は月曜日を除き、毎日開放されています。」とあります。
今日は休日で、訪問予定が無かったため、時間に余裕がありましたので、大聖堂の中を、時間をかけて拝観したあとで、クリスチャンではありませんが、長椅子に腰を掛けて、静かに聖堂を眺めながら心を清めさせて頂きました。とても貴重な得難い経験を積ませて頂くことができました。

日が暮れてきましたので、夕飯はピザ店に参りました。
結構、歩きましたので、お腹がペコペコでしたので、ぺろりと平らげました。