7月12日、朝から収獲したウニから殻をむいて中身を取り出す作業現場へご案内いただきました。ご説明頂いたのは、渡邉大樹(わたなべ・だいき)さんで、利尻漁業協同組合 青年部の部長(沓形支所青年部長兼務)さんで、26歳の時に漁師道の第一期生として千歳市から移住された38歳、若手後継者のリーダーです。
その作業は、渡邉さんが、見事な鉈(ナタ)裁きで、ウニを的確に割り、身を取り出す前段の作業を行います。その割られたウニを3人の女性が、手際よくオスとメスに分けて、ウニの身を壊れないように上手に掬って取り出し、塩水のお椀に入れてゆきます。ウニの身(生殖腺)は、殻の中で5列に並んでおり、特に利尻のウニは最高級の利尻昆布を好んで食べて育つため、ウニは食べ物で大きく旨さが変わるため、利尻のウニが最上級なのは、その餌である利尻昆布のおかげであるとお教えいただきました。また、ウニは壊れやすいので、凝固剤としてミョウバンをつかうことで知られていますが、渡邉さんはミョウバンを使わず、最新技術である無添加の塩水で詰めて、新鮮なうまさを届けているとのご説明に、試食をさせて頂いた絶品のウニに、一同、舌鼓をうちながら納得しました。
次は、利尻町の「ウニ種苗生産センター」を見学させて頂きました。ご案内は、一般社団法人ツギノバ理事の八木橋舞子(やぎはしまいこ)さんが担当してくださいました。
センター紹介のHPによれば「雑食性であるウニの味は何を食べて育つかが重要!良質で豊富な利尻昆布を食べて育つ利尻のウニは味の評価が高く人気です。反面、ウニは採りやすく資源量の変動が出やすい生き物。島では様々な制限を取り決め、安定した水揚げを得る努力をしています。養殖にも力を入れており、その拠点となるのがウニ種苗生産センター。親ウニを採り、採卵・受精した後、チビウニを海に放流できる大きさまで育て、島の沿岸へ放流しています。昆布を餌にするので昆布が枯渇しないようにウニと昆布のバランスを考えた放流、放流後の育成状況の確認、ウニの天敵ヒトデの駆除なども行っています。」とあり、貴重な水産資源を守り育てる漁業が定着しています。
八木橋さんは、早朝から昆布を干す作業に従事してから、先ほどの渡邉さんのウニの殻むきを手伝い、さらにツギノバの理事として、移住定住の相談はじめ、こうした島内施設の案内役、コンシェルジュとして働くなど、マルチで大活躍されています。
地域おこし協力隊を卒業後に、安定的な収入を確保するためには、複数の仕事にうまく携わりながら、更なる技術や技能を磨き上げることが、定住成功への鍵であることが広く知られていますが、八木橋さんは、そのお手本のような活躍を、楽しみながら、しかも、すがすがしくされていると感じました。
また、大久保さんの説明によれば、ここウニ種苗生産センターは開設時には公的資金でオープンさせたものの、現在、その運営はここで養殖した放流する小さなウニを、漁協が買い上げて放流するという事業モデルで運営されており、自走運営ができていることを学ばせて頂きました。そのモデルは、地方創生を成功させるうえで、とても重要なポイントであると確信します。
③神居海岸パーク
さて、次は神居海岸(かむいかいがん)パークへご案内いただき、ウニの収獲体験と殻むき体験をさせて頂きました。参加費は1500円です。一艘2名で乗船、箱メガネで海中を覗きながらウニを見つけ、長い柄のついた網で掬いあげます。これをウニ剥き用の器具を使って、殻を割り、スプーンで取り出し、採れたてを頂戴いたしました。
ここ神居海岸は、展望デッキや見晴らし台も完備されていて、日本海を一望できる利尻を代表する景観スポットでもあります。また、地ウイスキーの醸造所がオープンを控えており、多くの魅力あるコンテンツで観光集客と新たな産業の育成にチャレンジされようとしています。そのアイデアの素晴らしさと行動力、実行力に感服いたしました。