地方鉄道のこれから

朝から富山城址のまわりを散歩してから、ホテルの部屋で仕事を済ませ、投宿していたホテルをチェックアウト、徒歩で直ぐのANA CLOWN PLAZAホテルのロビーで富山大学都市デザイン学部 都市・交通デザイン学科 の本田豊教授と待ち合わせをいたし、ランチをご一緒しながら、地方鉄道と路線バスの将来の在り方について意見交換をいたしました。


本田先生は、氷見市都市計画審議会の会長や呉西地区交通まちづくり市民会議の顧問をはじめ、地方路線存続・活性化の市民会議の活動支援をされており、具体的な合意形成の進め方、地自体をまたぐ路線についての予算の在り方、利用方法の検討などのコーディネートに汗をかいておられます。北陸エリアでの今後の課題は、北陸新幹線が福井県敦賀まで延びますと、敦賀が新幹線の基地となり、電力供給も関西電力となるそうです。基地維持のためのJRからの税の恩典は敦賀市に入ることになりますので、富山県や石川県は蚊帳の外となるようです。一方で、JRはこれまで100年、北陸の輸送を支えてきた北陸本線をJRから切り離す方針を決定しているため、地域の自治体が協力しながら、この路線の維持により市民の足を守る義務が出てきます。まさに上越新幹線開通に合わせて、在来線の運行が維持できなくなり、新幹線の停まらない地方の駅を利用してきた人たちの足の確保が重要な交通権の視座から問題となったことを思い起こしました。駅弁で全国に名高い「峠の釜めし」を売る声が消えてしまったニュースを覚えている方もいらっしゃるかと思います。ところが、日本海の大動脈とも言える北陸本線を軸(背骨として)に、JRはじめ私鉄など多くの支線(ローカル線)が運行されています。また、JRと私鉄が並行して走る路線もあります。これらの維持・存続についても議論すべき段階に差し掛かっていることをお教えいただきました。岡山では山陽新幹線が開業しても山陽本線は健在です。ただし、県北を走る、姫新線や芸備線などのローカル線は、中国自動車道をはじめとする高速道路網の整備により、上下合わせて日に数本の有様となり、存続の危機に瀕しています。改めて、急速に進む少子高齢社会と地方部の過疎化の進行にまつわるモビリティの課題について、深く考えさせられました。


冨山駅で町田専務と別れて、帰路につきました。
金沢駅で新幹線から在来線特急サンダーバードへの乗り換え時間が随分ありましたので、一旦改札を出て、金沢駅前で気分転換をいたしました。修学旅行の生徒さんたちで活気がでていました。岡山県が誇る銘建工業さん製の金沢駅玄関にそびえるCLT(集成材)モニュメントに久しぶりにお目にかかりました。


帰りの車窓からは、北陸新幹線延伸工事の様子や敦賀の新幹線基地工事の様子を眺めることができました。サンダーバードに乗車するのも、もしかしたらこれが最後になるかもと思いますと、なんだか複雑な気持ちになった北陸出張でありました。