日本計画行政学会第42回全国大会が、2019年9月12日(木)~14日(土)の日程で、徳島文理大学徳島キャンパスを会場として開催されました。
さて大会に先立ち、理事会が開催されますので、早朝に岡山を発ち、高松で特急に乗り換え、徳島を目指しました。
久しぶりの徳島であり車窓から吉野川やレンコン畑を眺めながらの到着です。
「坂東太郎」は「利根川」、「筑紫次郎」は「筑後川」、「四国三郎」は「吉野川」です。
昔から洪水や水害の多い「暴れ川」として、特別な存在として見られ、ほかの大きな川とは区別して特別な呼び名がつけられています。
今回の第42回大会のテーマは「地方創生大競争時代と計画行政」です。
大会要旨を紹介しますと「2014年9月に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されて以来、特区の創設や政府機関の地方移転、各種の人材支援などの政策が順次実施されています。ただし、各自治体から見て、これらの中心をなすのは「新型交付金」であり、各自治体は「地方版総合戦略」を策定し、「KPI(重要実績評価指標)」を設定して、それぞれの独自な取り組みにより地域の活性化を目指すべし、とされています。すなわち、国による地方創生の大号令の下、例外なく財政状況が乏しい各地の自治体は、まずルールに則り交付金等を確保せねばならず、その上でさらに実施した施策の成果を試されるわけです。つまり、以前のように自治体を一律に扱うという状況ではなくなっているということであり、これはまさしく「大競争時代」と表現されうるものでしょう。
他地域に先んじて人口減少及び高齢化が著しい四国の状況を鑑みると、この大競争時代を乗り切るだけの創意工夫を発案し、早急に実行に移していくことが喫緊の課題となっています。具体的には、街づくり、公共交通、移住の促進、農商工の連携、地域資源の活用などの諸分野で、優れたコンセプトと実行力を備えた体制づくりを行っていかねばなりません。そして、その推進を行う上で得られた各種の知見をどのように行政に取り込むべきなのか、このことがまさに計画行政に求められているのでしょう。
そこで、今大会では、シンポジウムにおいて、このような状況に直面している四国から、特徴ある取り組みを行っている自治体等に登壇していただき、その詳細な内容をお伝えいただきます。その上で、みなさまとのさまざまな建設的な議論が交わされるのを期待しております。また、報告やワークショップではさまざまな視点からの議論を期待します。」であります。
さて、理事会を無事に終え、いよいよ大会が始まりました。
冒頭では、主催者挨拶や開催校の挨拶、そして学会賞の授与式が執り行われ、まず特別講演では、徳島県飯泉嘉門知事が、『VS東京 とくしま「未知」知るべ戦略』と題して、地方創生とSDGsの取組みを一気に1時間、速射砲のような講演されました。さすがに全国知事会会長にふさわしい自信にあふれながらも映像を多用したわかり易く訴求力の極めて高い内容の濃い講演でした。
次に基調講演では、はじめに高松丸亀町商店街振興組合の古川慶造理事長(写真)が、「高松丸亀町まちづくり戦略~住民をベースにしたデベロッパーによるメインストリート再生計画」と題して、進化を続ける商店街創造事業モデルを開示、さらに大阪大学大学院の土井健司教授が「クロスセクター効果を重視した小豆島の交通まちづくり」、道の駅「よって西土佐」の林大介駅長が「道の駅の運営と課題」と続き、高知県須崎市職員の守時健氏の「マスコットキャラクターとふるさと納税事業」では、ゆるきゃら「しんじょう君」のSNSを活用した地方創生戦略は会場を大いに沸かせました。
そしてパネルディスカッションでは、この4名の話題提供いただいた皆様へ徳島県政策創造部地方創生局長の梅田尚志氏が質問を投げかけながら進めるスタイルで会が進行され、会場からも続々と活発な意見や質問が出されました。
多くの実践的な卓越した知恵を頂き、会場を移しての情報交換会でも多くの皆さんと意見交換をさせて頂き、さらに夜は阿波踊り会館を見学させて頂きました。
初日の理事会への参加から、二日目、三日目と充実した時間を過ごすことが出来ました。
また、徳島城址や県庁前のヨットハーバー、そして新町川の袂に「国道11号線起点」の石碑を発見、私が子供のころから慣れ親しんだ故郷を走る主要幹線道の起点がここなのかと感動ひとしおでした。
大会を成功に導かれた徳島大学や徳島文理大学の諸先生方やスタッフの皆様方、また、理事会メンバーの先生方や地域の皆様方に心より深く感謝申し上げます。