新見市の森林状況は、森林面積79,327haの大部分を民有林が占め(59,292ha)、林野率は約87%です。また、人工林率は約59%で、その大部分はスギ・ヒノキ(94%)で占められています。しかし、木材材価の低迷、林業従事者の減少・高齢化等により、市内の森林施業の実施は年々困難になり、間伐等の保育作業を緊急に必要とする人工林が増加しているのが現状です。こうした状況は全国のあちらこちらで発生していると思われます。こうした現状を打開する手段として、大学生が地域の専門家の指導を受けながら、一般社団法人人杜守(ひとともり)が主催され、新見市、新見市森林組合、林野庁など多くの関係者が連携してして、さらに岡山県備中県民局が後援しながら、新見市の健全な人工林を造成する「環境保全型森林ボランティア活動」を実施しています。今回の日程は、平成30年8月31日(金)集合、2週間の活動です。
さて、8月31日、大阪でのシンポジウムから自宅へ戻り、着替えをしてから活動拠点である新見市神郷温泉に向かいました。午前中までいた大阪の喧騒が嘘のように気持ちが落ち着きます。温泉につかり、今回から宿泊所となった古民家へ案内頂きました。
夜になって、新見市神郷も雷が鳴って雨がどしゃ降りです。今回から古民家再生の拠点で活動を展開するとあって、家の中では虫や蚊達と共存です。恒例となっていますが地元の皆さんからの差し入れで、学生たちは自炊自活しながら2週間の間伐ボランティア活動に入ります。夕食は、学生たちがカレーライスをふるまってくれました。自己紹介からはじまり、ミーティングがされ、諸注意や役割分担など真剣な時間が続きました。
9月1日は、あいにくの雨で午前中は現地へ行けません。そこで、主催団体である一般社団法人人杜守の本部機能を担っている「新見市移住交流支援センター」へご案内頂きました。
新見市では、新設されたにも関わらず、残念ながら休校になった未だ新築に近い「旧油野小学校」を移住交流支援センターとして利活用しています。その施設の指定管理を人杜守が受託しています。施設はおしゃれすぎとでも申しましょうか、小学校の面影を随所に残しながら素敵な地域活動拠点となっています。例えば大きなサイズの杉のテーブルは本学法学部の卒業生、佐伯佳和さんが制作した作品、商品です。新しい地方創生のウェーブを感じました。
さて、午後からは雨があがりましたので保全型森林ボランティア活動開始です。まず現地でのチェーンソー実習に入ります。主催の人杜守さんと、備中県民局のご指導により「玉切り」という、立木の伐倒後、枝払いをし、木の特徴に合わせ規定の寸法に切断して素材丸太にする作業を想定して、実際のチェーンソーを使って伐木を利用して実習に入りました。寄る年波には勝てませんが、いい汗をかかせてもらいました。最後に、指導を頂いている岡山県備中県民局の方に倒木作業のお手本を見せて頂き初日の作業は無事に終了しました。
明日から本格的な伐木作業開始です。安全第一を祈りました。
この日の夕飯は焼うどん、ちょっと時間はかかりましたが、岡山理科大学の学生の味付けは抜群で、みんな満足しています。夜は、みんな打ち解けて大いに会話が弾みます。こうした時間は、大学の教室での講義では経験できない貴重な体験となります。古民家には年代物のちゃぶ台はじめ懐かしい品々が雰囲気を盛り上げました。
9月3日の朝は5時半起き、お天気に恵まれさわやかです。稲穂が実るのどかな風景が広がる拠点周辺を散策しました。朝は味噌汁とふりかけオンリーのシンプルな朝げです。
地元米の味は抜群で、学生たちと楽しく頂戴いたしました。新見の風景が郷里の愛媛での子供の頃を思い出し、この様子はモノクロでアップします。
こうして間伐作業の安全を祈りながら、学生たちを見送り、新見から山あいの道を縫いながら笠岡へ向かいました。
途中の地道は7月の豪雨災害で被害を受けて、通行止めの地点があちらこちらにありました。注意深く車を走らせ、いくつかのビューポイントでシャッターを切りました。特に、最前から訪ねてみたいと思っていた高梁市成羽町にある「西江邸」に立ち寄りました。ここ西江邸は「宝暦元年(1751年)に高品質なベンガラの礎となる本山鉱山を開抗ベンガラの原料となるローハとベンガラの大量生産を行った豪農商 西江家の邸宅である。現存する建物の創建は宝永・正徳年間(1704~1715年)である。」とあります。見事な佇まいでしたが、残念ながら時間が早すぎたためか、オープンしていなくて拝観することはできませんでした。
岡山には、まだまだ、歴史と文化に彩られた素晴らしいスポットが数々あります。
新見市の最北から、高梁市、井原市を抜けてお昼に瀬戸内海を望む笠岡市に到着しました。
途中、井原市長選挙投票日で市民が行き来する井原市役所傍の「笠北」にて、笠岡ラーメンを食しました。
また、久しぶりに道の駅「笠岡ベイファーム」に立ち寄りました。相変わらず観光客で大賑わいでした。魚や野菜、果物や特産品を眺め、土産に無花果とブドウを買い求めました。
また、JA笠岡では、期間限定の無花果ソフトクリームを食しました。
おいしい旬の地産地消を楽しみました。
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