「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」にて

「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」にて

今回が2回目となる「大原美術館とあなたが紡ぐ物語~小川洋子がいざなう朗読会II~」は、公益財団法人大原美術館の絵画や彫刻作品、建物、庭などをテーマとして訪れた人が思い思いの物語を創り、広く一般の方が400字程の短編にして応募、文学者で芥川賞作家の小川洋子さんが選者となり、受賞された作品をOHK岡山放送のアナウンサーが朗読するという企画です(審査の結果、今回は19作品が入賞)。
岡山放送と大原美術館が主催され、小職は岡山放送番組審議委員のため朗読会と表彰式へお招き頂く機会をちょうだいいたしました。選者の小川洋子さんは、岡山市出身。岡山県立岡山朝日高等学校を経て、早稲田大学第一文学部文芸科卒業。1988年、『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞受賞し作家デビュー。1990年、『妊娠カレンダー』で芥川賞受賞されています。
朗読会場は、大原美術館本館2階の展示室です。モネやルノアール、ゴーギャンなど世界の名作が展示されている展示室を使った特設会場は、特別な世界と申せる空間です。どの受賞作品も400字という短いなかにも奥深い趣のある内容で、また、日常の激務の合間をぬって練習をされたアナウンサーの皆さんの語りは、まさにプロの仕事でありました。そして朗読の合間では、日本を代表するオカリーナ制作・奏者である軽部りつこさんが見事なソロ演奏を入れて朗読を引き立ててくださいました。感情のこもったプロアナウンサーによる朗読、土でできた素朴な楽器による演奏、それを見守る世界最高水準の絵画が織りなす企画に会場は水をうったように物音一つ立ちません。
「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」にて
なかでも小職の記憶に残った作品は、亀岡孝則氏の『疎開』です。昭和20年、戦禍が最も激しかった終戦間近、6月に岡山市が大空襲を受け、続いて倉敷市水島(海軍の基地)も爆撃を受け、それまで大原美術館の邸内に防空壕などを掘り、守り抜いてきた世界を代表する作品が、これ以上は無理、爆撃による消失の危険が高まったと判断、現在の岡山空港に近い北部の村へ移送・疎開させた史実に基づく作品です。
その折、現場で陣頭指揮にあたった祖父を持つ亀岡さんの短編は、戦後70年を経た私たちに衝撃と感動を与えてくれました。決して、歴史の表舞台を飾る派手な話ではありませんが、だからこそ、こうした無名の方々の命がけの尽力により、大原美術館の宝が、今日、私たち訪れるものに感動を与え続けてくれていることに思いを馳せますと感無量となりました。そして、終戦後間もない、9月には再び戻され、美術館が再開されたという事実を知ることもでき、東日本大震災で甚大な損害を被りながらも、その一部区間ですぐさま運行を再開して人々に希望と勇気を与えた三陸鉄道の話とダブってしまいました。その感動を与えてくれたのは、萩原渉アナウンサーの朗読と読後の解説です。まさに「素晴らしい」の一言に尽きました。思わず、目頭が熱くなりました。
「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」にて
 ▲ 萩原アナ
朗読会終了後は、会場を1階へ移動して、入賞者の皆様への表彰式と懇親会が開催されました。和やかな雰囲気のなかにも粛々と行われた表彰式では、会場から受賞者の皆様へ惜しみない拍手がおくられました。大原美術館の大原謙一郎理事長はじめ岡山放送の役員の皆様、そして朗読を担当された7名のアナウンサーの皆様と感想を語り合うことが出来ました。とても得がたい貴重な経験をさせて頂きました。
「大原美術館とあなたが紡ぐ物語」にて
 ▲ 右が渡邊アナ、左が岡田愛アナ、後ろが上岡アナ
萩原渉アナ、そして上岡元、渡邊大祐、岡田愛マリーの3人の若手アナと記念撮影をさせて頂きました。
受賞された皆様に改めてお慶びを申し上げますとともに、企画や運営にあたられた関係者の皆様、本当にありがとうございました。心より深く感謝申し上げます。


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