コミュニティ政策を語る会

3月21日、愛知学泉大学コミュニティ政策学部の同窓会が、名古屋駅マリオットホテルで開催されました。
愛知学泉大学コミュニティ政策学部の同窓会
現代コミュニティが内包する課題は、さまざまな社会事象を引用するまでもなく混迷の度合いを深めています。こうした不確実かつ不安定な多くの事象に対して確たる答えを見出し難い社会環境のなかで、豊田市に芽生えたコミュニティ政策研究の灯は、その長い歴史を刻みながら多くの研究成果を世に問い、そして答えを見出す気概溢れる人材を地域社会へ送り出す理論的運動体として機能してきました。同時に、この都市が産業城下町として世界に誇るテクノロジーを有した存在であるがゆえに、コミュニティ政策の研究と教育を通じた学術機関としての存在が、都市の生活や周囲の中山間地域にまで有機的に意志を持って関わってきた足跡は重要です。すなわち、愛知学泉大学コミュニティ政策学部が展開したコミュニティ運営実習という実践型人材養成の循環は、単に教育システムとして機能してきただけでなく、地域の市民やそれを支える自治体とも相互連関し、その固有の意志として、協働して魅力的な生活空間の実現に向けて機能してきました。
地方分権社会といわれながら、地方都市の衰退はもとより、わが国が世界に誇る里山もいつしか耕作放棄地が目立ち、「限界集落」という表現があちらこちらで不用意に公言される時代となっています。しかし、こうした少子高齢社会が進行する事態は、早晩、どの都市においても顕在化する現象です。つまり、こうした現象は、私たちの時間軸のなかで、中山間や島嶼地域において少し前倒しで訪れているだけであり、全ての都市において姿や形を変えるだけで同一に訪れるのだという、単純明快なロジックに気づかねばなりません。
こうしたなか、社会環境の変化に対応する知と実践力を提供する地域資源としての大学のあり方が問われています。つまり、大学と地域コミュニティが単に並存しているだけでは、近代都市としては死んでいるのです。愛知学泉大学コミュニティ政策学部の教員が研究し、人材の育成を通じて実現しようとしてきたものは、いわば『生きたコミュニティ』であったと言えます。また、その意味において産業都市”とよた”は、『生きたコミュニティ』の形成には極めて難解な課題をその成長過程において生起しながらも、常に課題と対峙しながら解決と克服に向けて歩み続けてきた都市と言えます。他方で、平成の合併により編入された旧町村では、過去の歴史のなかで紡いできた自らのコミュニティの資産と誇りを維持しつつ、新たな社会システムとの調和に腐心しています。
すなわち、新生豊田市は、世界の景気動向や為替相場の変動に一喜一憂するとした物質的な産業都市の顔と構造を所与としつつも、そこで暮らす市民が真の安心、安全、豊かさを実感できるまちづくりが成就して、はじめて世界に誇れる都市と言えるのです。愛知学泉大学コミュニティ政策学部は、その地を拠点として、豊かな人間性を育もうとする志と地域社会の課題を解決しようとする高度な専門性をして、大学を擁する魅力ある都市を創造し、もって『生きたコミュニティ』社会を形成しようと歩んできました。
つまり、今日の科学的水準にかなう高度な機能を持った都市空間には、同時に人間性の滋味にあふれるコミュニティ空間が実存しなければならず、そうした空間を創造することが現代コミュニティに求められてきました。そこで、われわれ大学人は、大学と地域コミュニティ双方において、協働して『生きたコミュニティ』を作ろうとする担い手の形成とそれを支える主体的条件が何たるかを明瞭に提起し発信することを使命としてきました。その意味において『生きたコミュニティ』を作る人を作る「人づくり」こそが、大学に課せられた最も重要な現代的課題であると信じて活動を続けてきたのであります。
愛知学泉大学コミュニティ政策学部の同窓会
 ▲ 手前左から2人目が中田先生
今回もコミュニティ政策研究の大御所である、中田實先生、山崎丈夫先生から、多くのご示唆を頂戴いたしました。これまでの経験を岡山の地においても展開してゆくべく活動を続けています。人づくりの礎となる実践知教育を構築してゆく予定です。
先生方に感謝です。

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