五島市でEV・PHVタウン推進事業を視察

福岡から五島列島の下五島(五島市)へ足を伸ばして、懸案であったEV・PHVタウン推進事業の様子を視察しました。
長崎県のホームページによれば、この事業は「電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の本格普及に向けた実証実験のためのモデル事業である「EV・PHVタウン」の実施地域として選定され、構想推進のため、市町・民間事業者の導入を支援、長崎の教会群とキリスト教関連遺産などの世界遺産登録を目指す取り組みを行っています。
その中でも、ここ五島列島においては、電気自動車(EV)と高度道路交通システム(ITS)が融合した未来型ドライブ観光の実現を目指した長崎EV&ITSプロジェクトを展開、EVと専用カーナビ、パソコン、携帯電話、スマートフォン等を連携させた新たな地域型ナビサービス「長崎みらいナビin五島」を稼働させています。
これまで、平成22年度には、五島地区のレンタカー等に、EVを117台、PHVを2台導入、急速充電器を8箇所15基、普通充電器を22箇所29基整備、地元の観光情報をITSスポット対応カーナビを通じて発信、特に観光客に人気が、上・下五島に各10のおすすめ観光ルートを設定して、案内サービスを展開しています。さらに、平成23年度には、EVを21台追加導入、急速充電器を6箇所12基、普通充電器を22箇所29基整備、ITSスポット、観光情報プラットフォームを整備し、観光情報等を配信しています。平成24年3月末でレンタカーとして、17,535台の利用実績」を誇っていると記されています。
実際に、想像していた以上に島内で三菱i-MiEVを随分見かけました。貸出しているレンタカー会社も多く、特に充電スタンドが多く設置されている点は安心です。ここ五島市は環状道路として島を1周する国道384号があり、総距離は100キロに満たず、約3時間30分で回ることができるとレンタカー会社で説明を受けました。また、i-MiEVは1回の充電で約60キロ(エアコン使用)走るとあって、島の特性を活かして利用客が多いのもうなずけます。さらに、島内でEV車やPHV車を持っている人は、無料で充電スタンドを利用できると聞き、驚きました(燃料代がタダ)。とりわけ、道の駅のインフラは整っていて基地的な様子です。2台のi-MiEVが充電中でした。また、ITSの実用もスタートしており、観光ルート案内をはじめ道路情報サービスが受けられます。さらに、電動アシスト付きの自転車の貸出もスタートしていています。これはフランスのナント市など、公共交通や自転車先進都市での光景に匹敵します。ぜひとも電動アシスト付き自転車の台数を増やしていただきたいものです。また、風力や太陽光発電システムもあり、エコモードさながらの道の駅であります。
五島列島の美しい風景に溶け込む、環境に配慮したモビリティシステムの実用化の姿に触れて大いに満足いたしました。
下記に長崎県のホームページと五島市内の急速充電スタンドを紹介させていただきます。
ev&its_model.gif
(長崎県HPより)
五島市内にある急速充電器
●福江港ターミナルビル(福江)2基
●中央町商店街(福江)2基
●道の駅ふるさと館(三井楽)4基
●富江温泉センターたっしゃかランド(富江)2基
●玉之浦カントリーパーク(玉之浦)2基
●荒川(玉之浦)2基
●宮の森総合公園キャンプ場(奈留)1基

*EV:Electric Vehicle(電気自動車)
*PHV:Plug-in Hybrid Vehicle(外部電源から充電できるタイプのハイブリッド自動車)
*ITS:Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)

それでは、五島市の観光ホームページを引用させていただきながら、訪れたポイントを紹介します。

堂崎教会

堂崎教会
案内によれば「1879年創建/1908年改築。海辺に佇むこの教会は、明治6年禁教令解禁後五島に初めて建てられた天主堂で、長崎で殉教した二十六聖人の一人、ヨハネ五島を記念して創立されました。赤レンガのゴシック様式の天主堂内には、現在キリスト教弾圧時の様子をうかがえる資料が展示され、資料館として残されています。」
その資料館には、キリシタン迫害の歴史を物語る踏み絵をはじめ、多くの貴重な品々が展示されていました。眼前に広がる美しい海の光景と迫害の歴史が重なり、なんとも筆舌に尽くしがたい気持ちにさせられました。                 

水ノ浦教会

水ノ浦教会
案内によれば「1880年創建/1938年改築。水ノ浦の入江を望む丘に立つ天主堂。木造教会堂としては最大規模の建物。昭和13年(1938年)現在の聖堂が建設され、白を基調とした聖堂内は見事なコウモリ天井と色鮮やかなステンドグラスを通して注がれるやわらかな光が印象的で、厳粛な雰囲気をつくりだしています。教会裏には、悲しい五島キリシタン弾圧の牢跡・26聖人のうちの一人である聖ヨハネ五島の像もあり、厳しく迫害された歴史を物語っています。アンゼラスの鐘の音が悲しくそして優しく響きます。」
本当に清楚な感じの素敵な教会です。シンプルながらステンドグラスの窓が気持ちを落ち着けてくれました。

三井楽町道の駅「遣唐使ふるさと館」

三井楽町道の駅「遣唐使ふるさと館」
ここの道の駅は、電気自動車のインフラが見事でありますが、それと肩を並べて遣唐使の歴史を解説するコーナーが数多くあり見事でした。また、特産品も豊富で、観光客の皆さんが足をとめて、お土産物を買い求めています。レストランも人気のようで、並びができていました。道の駅のホームページによれば「道の駅遣唐使ふるさと館は、長崎県初の離島の「道の駅」です。九州では鹿児島県奄美大島に続いて二駅目の離島の「道の駅」となります。五島列島は、その大部分が西海国立公園に指定されており、美しい海と豊かな自然に恵まれています。また、教会、寺社をはじめとする多くの歴史遺産が残っているため、たくさんの観光客の方が訪れています。電車がない五島の道の「駅」として個性ある空間創りを目指します。」とあります。また、大きな凧がひときわ目を引きました。この凧はバラモン凧と呼ばれています。案内によれば「バラモン凧は五島に古くから伝わる大凧の名称です。「バラモン」とは五島の表現で「活発な、元気のいい」という意味です。絵柄には鬼に立ち向かう武士の兜の後ろ姿が描かれており、羅生門の鬼退治の伝説を表現しているという勇壮なもので、彩りも鮮やかです。民芸品としての評価が高く、魔よけやインテリア、お土産として親しまれています。」とのこと。

空海記念碑 辞本涯(じほんがい)

空海記念碑 辞本涯
車幅一杯の道を、少し不安な気持ちで運転すると、ようやく三井楽町の先っぽの「柏崎灯台」にたどり着きました。案内によれば「柏崎灯台や姫島を背にして建てられている空海の像と辞本涯の碑。遣唐使にゆかりのある三井楽町と第16次遣唐使船で唐に渡った空海が深く関わりのあることを広く紹介し、その偉徳を顕彰するために、地元の有志によってこの地に建立されました。記念碑に刻まれた「辞本涯」の文字は高野山清涼院住職の書によるもので、「日本の最果ての地を去る」という意味です。これは空海が書物に残した言葉。この丘に立ち、東シナ海を見つめていると、この地を最後に命がけで唐に渡った遣唐使たちの思いを感じ、胸を打たれます。公園内には万葉集に詠われている(遣唐使として旅立つ)我が子の無事を祈る母の歌が刻まれた歌碑も建立されています。」とあります。
命をかけて大陸へ渡り、多くのことを学んだ人々の切ない気持ちが伝わってくる風景です。

高浜海水浴場

高浜海水浴場
ここの海の色は、過去の経験からすると石垣島の珊瑚礁のブルーに勝るとも劣らぬ見事さで、思わず息を飲んでしまいました。本当に絶景です。案内によれば「日本一美しいといわれる砂浜を持つ全国的にも有名な高浜海水浴場。輝くほどの砂浜を取り囲むように連なる山々の緑、波打ち際から水色、青色、藍色となって東シナ海に広がる様は美しいの一言。 周囲に人工的な建物がないのも魅力で、浜の背後にはハマユウやサキシマフヨウの自生群があります。近くの展望所から見る景色も素晴らしく、沖に浮かぶ嵯峨島や水平線を真っ赤に染めながら落ちていく大きな夕陽は雄大です。また、高浜海水浴場の背後を走る国道384号線は日本の道百選にも選定されている快適なドライブコース。自然をいっぱいに感じながらのドライブが楽しめます。」とあり、いつまでも見つめ続けていたくなる美景であります。

皿うどん

「たつみ食堂」皿うどん
漁港にある「たつみ食堂」の看板が目にとまり、昼食に皿うどんを頂きました。やはり長崎ですので、ちゃんぽんか皿うどんは食さねばなりません。長崎中華街とは、少々味が異なりましたが、なかなかの味で、一気に平らげました。
また、この食堂の張り紙に、「電気レンタカーを借りた人には500円のラーメンサービス」とあり、思わず笑みがこぼれました。ここまで普及しているとは流石です。

大瀬崎灯台

大瀬崎灯台
西海国立公園のなかでもその雄大な景色であると言われる大瀬崎灯台まで、クルマを進めました。本当に島の西のはずれです。案内によれば「九州本土で最後に夕陽が沈むところ」として、九州本土最西端に位置し、東シナ海の荒海に面しています。激しい風や波に打ちひしがれて浸食された断崖絶壁が作り出す壮大な風景は圧巻です。海に突き出た場所に立つ白い灯台は青い海とのコントラストが美しく、近海を航行する船の道しるべとなっています。」とのことで、展望台と展望デッキがあり、それぞれに迫力ある風景を楽しむことができました。

風力発電所

風力発電所
クルマを出発地点の福江港の方へ帰る途中、突然、眼前に巨大な風車が現れました。案内によれば「第三セクタ-(五島風力発電株式会社)が建設し平成14年6月完成。2基で得られる電力で約660世帯分まかなえ、電力は全部九州電力へ売却しています。高さポ-ルだけで50メ-トル、ブレ-ドと呼ばれるプロペラが最高地点に来ると72メ-トルになり、真下から見る風車の迫力に圧倒されます。」とのことで、確かに道路から至近にあり息を呑みました。

五島のグルメ

五島のグルメ
五島は当然ながら魚の宝庫、新鮮な魚介がウリです。また、五島牛も有名です。奮発して、ウニ丼と五島牛の牛タンを頂きました。とれたてのウニは甘くて絶品でした。

石田城(福江城)

石田城(福江城)
市内中心部に石田城があります。石垣と門だけではありますが、なかなかの威厳と風情を放っています。案内によれば「五島藩主の居城跡で、第30代盛成公の時に黒船の来航に備えて造られました。お城は寛永2年(1849)8月から15年の歳月と二万両の公費を使って文久3年(1863)6月に完成。城郭は東西291メートル、周囲1346メートルで、城壁の三方を海に囲まれた日本唯一の海城です。」とあります。お庭が改装中で入れず、悔やまれました。

鬼岳天然温泉

鬼岳天然温泉
さて、芝生に覆われたような鬼岳までクルマを進め、さらに有名ということで、鬼岳温泉に入湯いたしました。ここの露天風呂は鉄分のせいで真っ赤です。案内によれば「こちらでは鉄分を含む赤褐色の湯が特徴の鬼岳温泉が楽しめます。泉質は含鉄ーナトリウム・マグネシウム・塩化物泉。神経痛や筋肉痛、冷え症や慢性婦人病にも効果があります。赤褐色の温泉は肌をキュッと引き締め、美肌効果も期待できるそう。」とあり、確かに温泉として一流の部類にはいると言えましょう。出たり入ったりを繰り返して、つい長湯をしてしまいました。
飛行機の時間を図りながら走っていると、後続車がi-MiEVでしたので、最後に後ろ向きに勘でシャッ。
i-MiEV
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