人を大切にする経営学会全国大会参加報告~第3分科会報告を中心に

第4回 人を大切にする経営 全国大会が、9月9日~10日、法政大学市ヶ谷で開催されました。

統一テーマは「人を大切にするダイバーシティ経営」、初日の基調講演は、まず、基調講演1として、株式会社クラロンの田中須美子取締役会長による「障がい者と共に60年」。講演では、創業以来、障がい者の雇用を通じた自立支援を積極的に展開、現在の障がい者雇用率は県内トップの35.1%の水準を誇る実績を実践論を展開された。

次は、コーケン工業株式会社の村松久範代表取締役会長で、講演テーマは、「人」ありき“ぶれず”にやり抜き30年 家族のような300人の仲間~コーケンは凄い。何が?!社員が凄い そんな会社をつくりたい~、人材不足を補うために。講演では、高齢者の雇用を始め、現在では、60歳以上の社員が90人近く在籍、最高齢社員は89歳(製品の梱包業務担当・正社員男性)だといいます。また、1997年に特別支援学校からのしょうがい者雇用を始めてから今年で20年目となる一方、1994年から大学生の新卒採用を開始し、現在では4世代同居の会社となりアットホーム経営に会場から拍手喝采でした(通常の学会では考えられない光景でした)。

3番目は、株式会社日本レーザーの近藤 宣之代表取締役で、「ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み」、講演では、MEBO((Management and Employee Buyout=経営陣と従業員による自社株買収)手法で独立を果たす)で親会社から独立して10年、新卒社員も派遣社員、パートからフルタイムになった社員も全員が株主という日本で唯一と言われる会社を実現した実績を紹介されました。パネルディスカッションでも、西浦道明同学会副会長の進行により、基調講演者3名の登壇により、ダイバーシティ、障がい者雇用、高齢者雇用、外国人雇用、真の意味での男女共同参画の具体的な実例を経営トップが熱く語りました。厚生労働大臣賞、中小企業庁長官賞を受賞された企業経営の現場の声に会場から多くの質問が出されました。


二日目は4つの分科会(第1分科会:学生セッション、第2分科会:健康経営~障がい者雇用、第3分科会:ダイバーシティ、第4分科会:いい会社)のうち、小職は、第3分科会ダイバーシティ部会の進行役を担当しました。発表1は、株式会社パワーネット谷渕陽子氏による「多様性を「力」に変えるチーム作り ひとり輝く・・・みんな輝く!」、環境に雇用が左右されやすい派遣会社を運営されるご苦労や創意工夫に、会場から大きな声援が飛びました。

発表2は、静パック有限会社佐野智紀氏による「疎結合型IoT工場における労働環境改善とダイバーシティ経営に関する研究~中小企業へのIoT技術導入を事例に~」、IoTや人工知能AI活かして技能の伝承を行い、そこで浮いた人材は新たなイノーションの創出が求められる部門へ配属し、IoTや人工知能AIが担当できる部門へは、障がい者や高齢者などを雇用することで、雇用を創出しようとのコンセプトと具体の取組みが報告されました。IoTや人工知能AIが職場や仕事を奪うのではなく、生み出すのだとの持論に眼から鱗でした。

発表3は、多文化間キャリアコンサルタントの大橋典子氏と株式会社埼玉クリーンサービスの清水洋美氏による、「外国人も大切にする多文化共生に向けた取組み」~外国人労働者実態調査と事例~、人口減少、少子高齢化が急速にすすむなかで、ミャンマーを対象国に親御さん同席の上で採用面接から丁寧な住宅の斡旋まで、真の意味での外国人技能実習制度改革を推進している取組みに頭がさがる思いでした。

どの報告も現場から導いた課題を解決すべく、創意工夫をする様が克明に報告されました。

全大会で、各部会の司会者或いは討論者が、各部会の報告内容を解説いたしましたそして質疑応答がなされ閉会でした。
働き方改革は待った無しです。

多くの学びを持ち帰りたいと思います。

情報交流・懇親会でも、多くの皆様と名刺交換をして、第一線で活躍する企業経営者や福祉団体の皆さまから多くの示唆をいただけました。

運営いただいた事務局の皆様に感謝申し上げます。