国際学都シンポジウム


10月3日は、国際学都シンポジウムの最終打ち合わせでした。

先発してフランスから到着されたヴァンソン先生と梅田阪急で会食しながらの集中した2時間でした。準備万端整いましたが、台風の影響だけが心配となりました。晴れの国の実力を発揮してもらいたいと願いました。

10月4日は、岡山円卓会議と国際学都シンポジウムの関係者全員で、すべての項目についてチェックを行いました。また、関係先との最終調整、配布資料や広報体制など最終準備をいたしました。この半年間、チーム一丸となって一歩一歩重ねてきた準備作業です。万全の体制が整いました。そしてリハーサルを行いました。

そして岩淵泰教員とカトリーヌ・トロットマン先生を岡山駅新幹線ホームまで出迎えに参りました。12時15分着、彼女とヴァンソン女史が笑顔でご到着です。ANAホテルまでお連れして、昼食をご一緒させて頂き、その後で通訳さんとの打ち合わせに同席いたしました。

10月5日は、11時より岡山大学創立50周年記念館2階の会議室において、念願の「おかやま円卓会議」設立会です。ここまでの道のりについて邂逅しますと、岡山大学は、第3期中期目標期間に向けた岡山大学の改革構想と将来ビジョンを「岡山大学改革プラン」として明確化しました。そこでは、急激な少子高齢化・グローバル化を見据えて、聖域なき組織横断型改革を断行するとともに、国際社会や地域社会と連携した世界に伍する最先端の研究及び実践的かつグローバル教育の展開による「学びの強化」に取り組み、大学が地域の資源として、その成果を地域社会と連携することにより地域創生に活かすことを目標に掲げています。さらに長期的には、人類が蓄積してきた知と、最先端の知とを総合的に継承するとともに、世界に向けて創造的な知の成果と技の結実を発信し、以って、岡山の地域社会と共存・共栄しながら若い力を地域社会へ送り出し、岡山はもとより、わが国のイノベーションを先導する真のグローバルな教育・研究拠点として輝くことをめざしています。こうしたビジョンを踏まえ、岡山の社会を構成する組織、団体が英知を出し合い、産官学民が一体となり、大学がプラットフォームとなり、岡山の持続的な発展を支える知恵と駆動力の源となることを目的として平成28年4月1日に「おかやま地域発展協議体」を設立しました。そして、このたび、こうした目標実現に向けた活動をオーソライズする組織として、「おかやま円卓会議(ラウンドテーブル)」の組成に向けて準備を進めてまいりました。そこでは、「学び」を求めて世界から人々が集まる学都を創生するためには、岡山の持続的な発展を支えるビジョンを産官学民が共有化し、人・もの・情報・資金についての相互支援体制の構築を協議する必要があり、そのためには、産官学民のトップで構成される、この円卓会議を組成することにより、定期的にオール岡山のトップが、議論する場を設ける必要性を関係者一同が認め、そして一堂に会することにより、地方創生の実現に向けた方策と、そこで求められる人材の育成について、互いが得意とする資源を出し合い相互補完しながら、岡山の社会が対応すべき課題や解決の方向性、例えば各組織・団体の総合計画・目標を、まずは「発展協議体」に持ち寄り、その場で共通理解を深め、多様化する諸課題の解決に向けて具体的なアクションプランを協議します。その方向性について、十分に議論を尽くし、その内容を円卓会議に具申する流れができたわけです。

円卓会議の具体イメージですが、まずメンバーは、経済界(岡山県商工会議所連合会、一般社団法人岡山経済同友会、一般社団法人岡山銀行協会)、行政機関(岡山県、岡山市、倉敷市)、大学(岡山大学)、マスコミ(山陽新聞社)それぞれの代表者、文化人等で構成されます。そして会議の目的は、世界や国内情勢の動向に基づき、岡山の社会が対応すべき課題や解決方法について、高い視座から自由に意見交換を行い、各立場からビジョンを語り、共通軸を見出す。なお、議題については、各団体の事務局が集まり事前協議により決定、それに合わせた資料を準備することとしました。そして、岡山の社会が持続的に発展を続けるために、大学生に求められる資質、若手経済人に求められる資質、若手自治体職員に求められる資質、それぞれの人材像について相互に意見交換を行い、人材育成の指針を示します。すなわち、産官学民が互いに補完しあえれば、大きな成果が望める施策について、各事務局が事前準備したテーマや資料に基づき、トップの知見から相互に意見交換を行う予定です。

そして、メンバー全員で記念撮影を行い、そこへ、フランスからお招きした、カトリーヌ・トロットマン元ストラスブール市長とデネケンストラスブール大学長に入っていただき、挨拶会を開催いたしました。

そして、13:00より、いよいよ「国際学都シンポジウム」が開催され、小職が進行役を担当いたしました。冒頭の森田潔学長の挨拶を引用します「さて、日本は少子高齢化の進展に加え、人口減少時代に突入しています。さらに国の財政難もあり、地方では地域力を結集して活力の持続を図っていくことが大きな課題となっています。そうした中、岡山大学は、わたくしの学長就任以降、大学が地域資源として地域とともに発展していく森田ビジョン「国際学都構想」を掲げ、地域総合研究センターの設置や旧国際センターをグローバルパートナーズに改組するなど、グローバルな視座に立ち地域社会との連携強化を打ち出して参りました。

また、厳しい時代における岡山地域の発展・活性化に向けて、森田体制5年間の取り組みも併せて、知識基盤型社会における大学の役割を最大限に発揮するため、関係方面に「産官学民が共に対話を重ねながら、地域の課題を解決する処方箋を考える拠点」の創設を呼びかけてきました。その甲斐ありまして、4月1日、岡山大学は、「国際学都構想」実現に向けた大きな一歩として、岡山県内の産官学民が連携、協働して地域が抱える種々のニーズや課題に関する検討・研究を行うプラットフォーム、「おかやま地域発展協議体」を、荒木勝社会貢献・国際担当理事・副学長を委員長として創設いたしました。

そこでは、岡山商工会議所、岡山経済同友会、岡山県、岡山市、倉敷市、中国銀行、山陽新聞社、はじめ地域の皆様と連携しながら、岡山大学が有する多様な分野にわたる専門性や、大学機関という公正中立的な立場を地域貢献に積極的に活かして参ります。また、産官学民の情報共有の場として有効活用していくとともに、市民協働による地域活性化に資する活動につなげていくことを目指します。本日は、ここに、その発足に際しまして、岡山地域の、益々の持続的発展を祈念して「おかやま地域発展協議体」のキックオフを宣言させていただきます。」

こうしてシンポジウムがスタートです。まず記念講演Ⅰとして『世界を牽引する国際学術大学の歩みと展望』と題して、ストラスブール大学長ミッシェル デネケン氏、続いて記念講演Ⅱとして『ストラスブール市における大学と地域が進める都市創生』と題してストラスブール市議会議員カトリーヌ トロットマン氏(元ストラスブール市長・元文化通信大臣・元欧州議会議員)が講演されました。大学と都市の関わりはストラスブールの先進性に感服です。心に染み入る講演の内容でした。

そして、円卓会議設立記念挨拶として、座長に就任された山陽新聞社会長の越宗氏が挨拶され、約250名の来場者を迎えて開催した会は閉幕しました。産官学民が連携・協働することの意義、そして展開される可能性や期待を先進事例から学び、地域が一体となり、さらなる岡山の発展・活性化を目指す本格始動の日となりました。

シンポジウム終了後、トロットマン女史を岡山市大森雅夫市長の下へ表敬訪問にお連れし意見交換の時間を持ちました。夜は、円卓会議の主催で、ANAホテルにてストラスブールゲスト歓迎会が開催されました。経済界はじめ迎える側から歓迎のスピーチがなされ、それに対してトロットマン女史はじめフランスから来られた皆さんから慶びのご返答を頂きました。そして遠路、はるばる岡山の地までお越しくださいました、フランスからの皆様方に対して、感謝の意と、これからのストラスブールと岡山の友好関係が深まりますことを祈念して、岡山円卓会議を代表して岡山県商工会議所連合会岡崎彬会長より、プレゼントとして、岡山名産の「なつかわうちわ」、「竹の花さし」が贈呈されました。

また、今回のシンポジウムは、金沢、熊本、岡山を結ぶ三都市シンポジウムの趣旨にも符合した内容で開催されました。それを記念して金沢・熊本・岡山の商店街や自治体の関係者が、表町商店街の中華料理店「廣珍軒」にて、まちづくり交流会が開催されました。大いに盛り上がりました。
そして、翌日6日は、朝からトロットマン女史を岡山市内にご案内いたし、午後は交通まちづくりや市民参加をテーマとして、市民との討論会が自然科学研究科棟を会場に開催されました。また、夜は関係者を中心にトロットマン女史を囲んで懇親会をJ-テラスで開催しました。深い感動の時間でありました。