2月15日、16日、18日の3日間、集中講義を実施しました。また、17日は自主学習日でした。授業では、初日「準備学習」、2日目「現場実践」、3日目「振り返り」の3段階構成として、大学(異分野)、地域(異社会)、国際(異文化)の3要素を構成する授業を目指すため、こうした点を理解した上で、参加意識を強く持ってもらうように心がけました。
授業は、岡山大学が掲げる、①教養、②専門性、③情報力、④行動力、⑤自己実現力の修得を意識しながら、実社会と関わることによる実践知の涵養を目的として、リーダーシップ、チーム力、判断力、責任、気概、観点を重視した実践型教育を実施しました。また、実際に地域活動を展開する学生サークル代表を授業へゲスト参画してもらい、気づき、動機付けを支援するという授業スタイルを取り入れました(おかやま百年構想)。
3日間の授業内容は、まず、初日の「準備学習」として、高校までの授業で学んだ知識を基にして、大学としての専門的学識を与え、時代を担う能力として現代コミュニティの実態を把握するために実際の調査データを読み解く能力を身につけると共に、地域社会における人々のつながりを意識し、地域社会が直年する課題を認識し、その解決策を探ることにより社会に貢献できる高度な教養の修得を目指しました。
次に、現代コミュニティや地域社会が直面する多様な問題に対して関心を持たせるため、まず、岡山市の都市計画、キャンパスがある岡山駅西口の活性化計画、岡山市商業調査結果を講義、映像、資料で学んでもらいました。そして、岡山市を構成するステークホールダーである①「商店街(奉還町商店街)と大型商業施設(イオンモール岡山)を対比することにより両者の独自性と連携プランを考える」、②「プロスポーツ団体への支援活動をまちづくりに結びつけるプランを考える」ことにより、現代コミュニティの重要性を認識しながら地域社会が抱える課題を解決するプラン提起することを授業の最終ゴールに設定して実践型社会連携授業を進めることを理解してもらいました。
そこで学生達は、イオンモール岡山と岡山放送スタジオ(ミルン:施設内インターネットテレビ放送・デジタルサイネージ)の見学と商店街経営者へのヒアリング調査を通じて、主体的に①インターネットテレビ放送のまちづくりにおける有効活用策、②シャッターが降りた商店街の活性化策、という二つの課題解決に向けて、論理的思考力と判断力を活かして現状分析と商店街の個店へヒアリング調査を行いました。時代を担う技術(ICT活用とWAONカード戦略)を身につけるため、チームに分かれて解決策を見出す作業を行うことにより、創造力を発揮し、学び、人間性や倫理観に裏打ちされた豊かな教養を身につけるように促しました。
さて、奉還町商店街ヒアリング調査では、かなり突っ込んだ意見交換が出来た模様です。帰校してまとめ作業を行いました。そこでは、イオンモール岡山で発信される岡山放送ミルンのメディア戦略と商店街との共生やプロスポーツとの連携による商店街の活性化をゴールにしてSWOT分析手法をベースに具体的なシナリオの策定を行いました。この授業をきっかけに引き続き具体的なアクションに展開してくれると良いなと思っています。
ヒアリングを実施による気づきに関しては、次のような意見が出されました。
● アーケードの入口が無機質
● 全体として暗い
● 閑散としている
● 何もない
● お年寄り向け
● 店員に話しかけづらい
● 暗い・入りにくいイメージ
● 店の人の思いは熱い
● 技術もあり、良いものがある
● 人情味にあふれている
<ただし>
● 具体的な活性化案に乏しい
<そこで>
● 学生でプランを作り実施する
- 近所の高齢者の客しか呼べてない→その実態を如何に打開するか
- 駅から商店街までの200メートルは顧客にとっては長く、何か魅力的なモノやコトがなければ客は来ない→その解決策はないか
- 新規の貸店舗には信用が必要だが、若い人が貸店舗を利用するのはなかなか難しい→若者が参加する仕組みを考えられないか
- ノートルダム清心女子大学の学生は商店街には来ているが横切っているだけ
- イオンの固定客は商店街へ連れ込むことは難しいが、商店街にもイオンにも固定化されていない客を呼びこめないか→イオンとの連携を視野に入れた施策
- 商店街を通るだけでは消費は生まれない→滞留時間が長いほど消費は伸びる仕掛けを
- 商店街の出口にある「わいわい広場」を商店街のゴールにして入り口と出口に意味づけをして買い物や食事をする動線を強化する(「わいわい広場」隣に神社があり、吉備津神社のパワーをもらっている。縁結びなど、神社仏閣の話題性を醸成すれば人があつまる。わいわい広場を学生が改装することによる「駅西口⇒わいわい広場コース」の確立
- 話題性のある店舗の出店(Ex.ハンドメイド雑貨、ハリネズミカフェ~池田動物園から小動物を借りてくる)
- お店を女子大生がプロデュースする(女子大生の一日店長、ワークショップで外装をおしゃれに改装、商品の配置やポップのプロデュース、歩くマネキン、ハンドメイド雑貨の販売、SNS配信など)
- 商店街への花壇・ベンチの設置、ボランティア清掃活動、学生イベント・ライブ
- 学生プロデュース企画→店の一角、1つの棚に学生がほしいと思う商品をおく→店を1つ構えるわけではないのでテナント料を気にせずに気軽に参加できる。例:ニコニコ堂
- まちづくりワークショップの開催→300~500円程度の参加料でワークショップを開催して、その参加費で材料を購入、改装資金に充てる
- 電柱にファジアーノやシーガルズの選手のコメントを貼りつけ、商店街の中に人を引き込む
- SNSでの情報発信:若者が親しみやすいTwitterやFacebookなどのSNSを利用して情報をさりげなく目に付かせ、毎日こまめに情報を発信することでなんとなく気になる場所になるようにアピールしていく
- 外国人観光客用の素泊まり宿泊施設を完備=空き店舗の利用(1階は昼カフェ・夜BAR、2階は宿泊と無駄なく利用~国際交流で若者引き付け)
- 西口は長距離バス、待合室に奉還町のパンフレットを置く(新作を学生が作成)
- ファジアーノ、シーガルズのプリクラ器設置→試合日、勝敗のプリント(その日、その時、その場所でしか取れないという
- 付加価値)→さらにプリクラというよりポラロイド写真のイメージ
- シーガルズによるチェキイベントinりぶら~ポラロイド写真とプリクラの融合
- スポーツと街づくり→商店街を通るルートの提案→商店街でファジフード販売
- 移動手段として、自転車置き場の整備は重要課題(自転車で通れるように)
- 奉還町シャッターアートコンテストinイオンの開催:シャッターアートの原案を未来スクエアにて展示&投票、展示会場への商店街店舗の出張屋台、インターネット放送を通じての全国からの原案応募&投票、WAONポイントの活用Ex.投票者へのポイントの付与
- イオンに複数個所あるカメラプラグの設置
- OHK館内放送は面白いか→岡山県PR動画(おかやま犬)、商店街PR動画
- 報道の力:地域が動かないと報道も動かない→マスコミが絵になるように仕掛ける
- イオンでのパブリックビューイング→試合の一部を館内放送で流す
- イオンの飲食店でも加茂川ふるさとの野菜を取り扱ってもらい、多くの人(若者)に知ってもらう→イオンの中に出張営業→お惣菜とか
- イオンモールとの連携による朝市の開催:奉還町商店街の産直の野菜、イオンの商品も一緒に提供→場所:未来スクエア、時間:7:00~10:00→ミルンとの協力:朝市を館内放送、奉還町で売っていることをアピールしイオンも新しい取り組みをアピールできる
- イオン店内にスペースを借りてアンテナショップを設ける:商店街各店の目玉商品を出しあって、奉還町商店街を象徴するような店を作る.若者の行き交うイオンに出店することで、若年層への知名度を上げる.
共通ポイントカードの導入:イオンと奉還町商店街の両方で買い物すると,ポイント2倍にするなど、両店を利用するとお得になるカードの導入 - ミルンでPR映像を制作:毎週違うルートでイオン~商店街を回るプランを放送し、家族や友達との散策、デートなどの参考にしてもらう
当初の目標に、ほぼ到達できた満足のゆく授業でした。きちんと報告書にまとめ、関係者へフィードバックして参る予定です。